Vol.9

PHP(Ruby)に興味あります、でも忙しいのでやったことありません、では絶対に面接に落ちる理由【えふしん】

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藤川真一(えふしん)FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、2007年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。2010年、想創社を設立し、2012年4月30日まで代表取締役社長を務める。その後、想創社(version2)を設立しiPhoneアプリ『ShopCard.me』を開発。2014年8月1日からBASE(ベイス)株式会社のCTOに就任

面接で、昔から最近に至るまで、言語経験の有無を聞くと「PHP(Ruby)には興味あります」、「でも業務では使わなかったので、まだやったことありません」と言う人がいます。

これ、ネット系からネット系の転職ならまだ大丈夫ですが、例えば、企業システムを作るソフトハウスでVBしか経験したことがなかったような人の転職では確実に禁句です。

理由としては、それは「できるのにやりませんでした」と言っているのと同じだからです。

最近では、OSから言語、データベースに至るまでオープンソースで公開されており、あらゆるライバルが同じ土俵の上で戦っているのがネット企業の特徴です。

そのため、最低限のラインはクリアしていないと戦うまでの準備に時間がかかり過ぎるし、空気のようにソースコードを書ける人にスピードで負けてしまうからです。

未経験者には、何が必要か?

先日、古巣であるpaperboy&co.の人事部長の『The Interviews』を見て、

ペパボが大好きで入社したいのですが、ウェブの仕事の経験が全くありません。情熱だけではダメでしょうか。

という質問に対して、こう答えていました。

「好き」というのは、私は”動詞”と思っているので、行動が伴うと思ってます。 相手に伝える場合は、感情と行動は一体かなぁと。

おそらく新卒採用に対するメッセージなのでしょう。非常に優しい表現で、行動に紐付けて「好き」を形付けなさいというメッセージはとても素晴らしいと思いました。

新卒にせよ中途にせよ、採用は競争です。とりわけ採用サイトや広告などでコストを掛けて採用活動をしているのであれば、採用する側はできるだけ多くの人と会って、その中で良いと思う人を採用することになります。

また、予算枠があっても頭数をそろえるための採用はしない慎重な会社も増えています。そういう事情があるため、採用される人はどこでも受かるし、そうでない人は上手くいかないという状況です。

何故、未経験者は以前ほど採用されにくいか

……と偉そうに書いていますが、2000年に僕がネットの企業に転職した時は、Webの技術は未経験でした。DBもWebの開発言語も転職してから勉強しました。

仕事でHTMLを触ったら、まったく感覚が分からなかったのがきっかけで、専門学校のWebプロデューサーコースに通い、そのカリキュラムの中で特別講師に来た制作会社の社長に誘われて転職しました。授業の後の飲み会で1時間程度話をしただけなのですけどね。

エンジニアなのに、Webプロデューサーコースに通っていたのが変わっていたのかもしれません。社長は直感で誘ったみたいで、後から僕がプログラムを書いた実績があることが分かった時に、なんだか安心されました。そんな状態で誘うのも凄いですね。

ただ、当時と今とではネット業界の状況もだいぶ変わっています。何が違うかというと、

・ ビジネスで成功して大きくなった会社(ライバル)が増えた。
・ インターネットが日常の中で役割を果たす機会が増えた。
・ 優秀な学生が新卒でネット企業に就職するようになった。

という大きな変化があります。これだけ見るとネットビジネスの世界はとても広がっているように見えます。しかし、なぜか現場には閉塞感があるようです。理由としては、

・ 求められる成果物のクオリティとスピードが求められるため、採用についてもスキルが高い人を求める傾向がより強まった。
(良いアイディアでも中途半端なアウトプットを出すとライバルに負ける。真似されるのは普通のこと)

・ 儲かっている会社が際限なく人を採用する力を持ったので、優秀な経験者が吸収されていき「できる人」の転職市場での総数が少なくなっている。

・ たくさん会社が増えたため、あまり目立たない会社は、前よりも知られる機会が減っている。

こういう状況から、活躍できる可能性は高まっているのに、スキルや経験が前より求められるという残念な状況になっているのが、ネット業界の特徴と言えます。

Webサービスには、ネットワーク効果といわれる、強いものがより強い状況になっていく現象がありますが、それと同じく、強い会社はより強く、そうでない会社は成長の余力が失われていくということなのかもしれません。

Web系企業の特性がもたらす、経験者優位の業界構造

藤川氏自身、前職ではエンジニア採用のために体を張った広告を展開していたことも。ネット業界の採用が一筋縄ではいかないことを物語る
藤川氏自身、前職ではエンジニア採用のために体を張った広告を展開していたことも。ネット業界の採用が一筋縄ではいかないことを物語る

料理人を育成する場合、お芋の皮むきをひたすら行う修業のフェーズがあると思いますが、Webを作る会社は、そういう人材育成の余力がないために、つい即戦力を求めてしまうというのはあると思います。

ネットビジネスで理想とされているものは、いかに少ない人数でWebサービスやアプリプラットフォームを作り、大きなビジネスを作るかという、「資本集約型のビジネスモデル」です。

しかし、業界全体で働ける人材を増やすという観点からも、未経験の人を集めて、人の成長を伴う労働集約型のビジネスモデルで、しっかり利益を確保していくというのも一つの成功例だと思うのです。

ただ、労働集約型の代表例の受託制作をメインにしている会社でも、制作、開発の仕事は外注依存になっている会社も増えており、残念ながら言うは易し行うは難し、ということなのかもしれません。

受託の場合は、既存顧客との信頼と、社内のノウハウが会社としての資産になり、利益の源泉になるのですが、冒頭にも書いた通り、インターネットはオープンな技術で、囲い込めるものではないので、自社でノウハウを貯め込むより、フリーランスで働く優秀な人と一緒に仕事をする方が合理的と考える会社が増えています。

これが最近流行りの「ノマドワーキング」が成立する要素として無視できない部分なのですが、その分、未経験者の方には、ハードルが高くなっている面は否めません。

いくらネット業界が大きくなったとしても、開発の部分は「頭数をそろえればできる仕事」ではありません。トップランナーの企業が新卒採用で高い給料を出しているのは、「できる人」の「頭数をそろえれば儲かる」ことが見えているからです。

ソフトウエアの仕事は、会社のビジネスモデルがどうであれ、本質的には知識労働であり、成果物が世の中にもたらす価値によって支えられている仕事であるということを改めて意識した上で、「戦う姿勢」が見える面接の準備をしていただくことで、より良い条件の仕事に就けるのではないでしょうか。

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