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エンジニアの価値は「技術力」<「ビジネス視点」へ。RPAが普及した世界で求められるエンジニア像とは

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    2016年、ITコンサルティング業界やSI業界を中心に「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」という言葉が注目を集めた。

    この「RPA」について「昨年急速に普及・定着したテクノロジーでもなければ、一時的なブームで終わりそうなバズワードでもない」と話すのは、2016年7月に一般社団法人日本RPA協会の設立を主導、12月には著書『RPA革命の衝撃』を上梓したRPAテクノロジーズの創業者で代表取締役社長の大角暢之氏。

    ポジショントークに見えるかもしれない。だが現に、三菱東京UFJ銀行でもRPAはすでに導入されており、約8,000時間分に相当する事務処理作業の削減を実現。RPAテクノロジーズの提供するRPAサービス『BizRobo!』も日本ですでに100社を超える企業が導入し、4,000件超のロボットが稼働している。

    また、2016年11月には経済産業省の世耕弘成大臣が国会答弁の作成に導入する意向を明らかにしたことが大きく取り上げられ、将来性も期待されている。

    多くのエンジニアにとって意識せずにはいられない「RPA」だが、一体それが何を可能にし、何をどう変えていくのか、まだイメージの湧かない人もいることだろう。

    そこで、大角氏に、そもそもRPAとは何か、その普及がエンジニアのキャリアにどう影響するのかについて聞いた。

    RPAテクノロジーズ大角暢之氏

    一般社団法人日本RPA協会 代表理事 / RPAテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長
    大角暢之(おおすみ・のぶゆき)氏

    1970年、広島生まれ。早稲田大学卒業後、アンダーセン・コンサルティング株式会社(現アクセンチュア株式会社)に入社。2000年オープンアソシエイツ株式会社を設立し取締役に就任、ビズロボ事業部を発足し、『BizRobo!』の提供を開始。13年、ビズロボジャパン株式会社(現RPAテクノロジーズ株式会社)を設立し代表取締役社長に就任。16年7月、一般社団法人日本RPA協会を設立し代表理事に就任。近著に『RPA革命の衝撃』(東洋経済新報社)がある

    RPAは人の仕事を“奪う”のではなく、“代行する”ロボット

    そもそも「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」とは何か。

    単純に直訳すると「ロボットによる業務自動化」だ。

    これだけ見ると「単なる自動化ツールでは」と思うかもしれない。だが、RPAがそれと大きく異なるのは、繰り返させたい作業の内容をプログラミングさせるのではなく、人間がPC画面で操作した動きをロボットにマネさせる点にある。

    つまり、業務系システム上でRPAを動かす場合、バックエンドなどのインフラや開発言語を問わず導入が可能となる。また、人間の目があるからこそできていた、異なるシステム間をまたいだ業務でも、覚えさせる作業内容を変えるだけで実現できるのが大きな特徴だ。

    「社名に『RPAテクノロジーズ』と付けた私が言うのもなんですが、実は『RPA』よりも『デジタル・レイバー(仮想知的労働者)』という名称のほうがより実態に近いと思っています。日本だけでなく、世界中どの企業でも特にバックオフィス部門では膨大で単純なルーティンワークが日々行われています。特別な才能や専門的なスキルを必要としない、しかし、人間だからこそできていた業務をロボットに任せてしまおうというのがRPAです」

    日本RPA協会では、2025年までに全世界で1億人超のホワイトカラーの仕事がRPAに置き換わると予測している。しかしあくまで人の仕事を“奪う”テクノロジーではないと大角氏は強調する。

    「企業にとって一番のコストは人件費です。これまで膨大で単純なルーティンワークに費やしていたコストを減らし、人には人件費に見合った、より高度でよりクリエイティブな業務を担当してもらえるようになるはずです」

    歴史が語る、日本の産業構造とRPAの相性の良さ

    大角氏が力説するように日本のあらゆる業界に“革命”をもたらしそうなポテンシャルを持つRPA。しかし、日本型の経営では単純作業やルーティンワークの繰り返しこそが仕事の基本、と考える組織がまだ多そうなのも事実。だが、ここに実は一気に普及するチャンスがあると大角氏は言う。

    「私は『日本型RPA』と名付けているのですが、実はモノづくりが一番活気づいていた1980年代に日本の製造業はすでにこのRPAを活用できる基盤を築いてきているんです」

    RPAテクノロジーズ大角暢之氏

    大角氏の説明はこうだ。

    日本の製造現場はかつて、「人間+機械」の“2層構造”で発展してきた。それが80年代に入り「人間+ファクトリーオートメーション+機械」の“3層構造”へと進化し、さらなる飛躍を遂げてきた経緯がある。

    一方、ホワイトカラーの部門は依然として「人間+アプリケーション」の“2層構造”が主流のまま。このアプリケーションの操作をRPAが代行することで製造現場と同じく「人間+RPA+機械」の“3層構造”へと置き換えていけるという。

    日本で業務系システムを活用しているすべての企業でもこの“置き換え”が可能だと大角氏は考える。

    「業務の効率化やコストの削減といったメリットばかりが喧伝されて、日本でもITの導入が進んできましたが、その構造は『人間+IT』の“2層構造”。これを『人間+RPA+IT』の“3層構造”へと置き換えていくことで、企業や行政は最優先で取り組むべき課題にリソースを配分することができるようになるはずです」

    「RPA普及期」で求められるのは技術力より業務目線

    では、RPAが普及した近い将来において活躍できるエンジニアはどのような人たちだろうか。

    当社では業務系システムの開発経験があるエンジニア、特に上流工程の経験者を中心に募集しています。なぜなら、RPAサービスには業務目線とロジカルシンキングが必要だと考えているからです。顧客の事業のどこをRPAで代替したら利益を最大かできるか、その考え方ができるエンジニアは、今後RPAの導入をプロデュースする立場として市場価値が高くなっていくはずですね」

    RPAテクノロジーズ大角暢之氏

    大角氏が、RPA普及期でロジカルシンキングや業務目線が重要と考えているのには理由がある。それは、実際に自社内で活躍している、ある1人の社員の例があるからだ。

    「入社1年でマネジャーに昇進する予定のスタッフがいますが、彼は弊社のRPAサービス『BizRobo!』の導入支援のプロデューサーとして年間1億5千万円を稼ぎ出しています。入社1年でこの規模の案件を任される業界はそんなに多くありませんよね。彼は、RPAをうまく活用して現場の業務を改革していこうという強い熱意を持っているのです。それを楽しいと思うかどうか。いくらギークなエンジニアでも、それに魅力を感じない人はRPA業界で活躍できないのではないかとさえ感じています」

    どんな組織にも必ず存在する業務を、「人間+RPA+IT」の3層構造で劇的に効率化・コスト削減していくRPA。テクノロジーでインパクトある仕事を目指すエンジニアよりも、テクノロジーを使ってビジネスを変えていく意欲と熱意あるエンジニアこそ活躍の場が広がっていくことだろう。

    取材・文/浦野孝嗣 撮影/竹井俊晴

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