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「みんなは起業にビビリすぎ」堀江貴文氏×村口和孝氏が語る学生起業の心得

働き方

    昨今、筑波大学の『筑波クリエイティブ・キャンプ』のように学生の起業を支援する動きがとても活発になってきている。

    そんな中、起業を目指す学生に向けたイベント『起業家スーパーキャリアカンファレンス 2014 summer』が2014年8月9日、東京ビッグサイトで開催された。先輩起業家たちのパネルディスカッションや講演などを通じ、学生の起業家マインドを磨くのがこのイベントの目的だ。

    その中で、参加する学生が登壇者に直接人生相談ができるというコーナーがあった。登壇者は堀江貴文氏と日本テクノロジーベンチャーパートナーズの村口和孝氏。

    学生が起業家になるためには何が必要なのか。モデレーターとして2人とともに登壇したジャーナリストの堀潤氏が、2人に寄せられた質問を通じて紐解いていった。

    「僕が学生だったら今日ここには来なかった」

    「起業家スーパーキャリアカンファレンス 2014 summer」に登壇した堀江貴文氏、村口和孝氏


    堀江貴文氏(@takapon_jp)(左)
    1972年福岡県八女市生まれ。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活動を展開。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」は1万数千人の読者を持ち、2014年には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」をスタート。『ゼロ』(ダイヤモンド社)40万部超、『本音で生きる』(SBクリエイティブ)30万部超などのベストセラーがある。近著に『10年後の仕事図鑑』(落合陽一氏との共著、SBクリエイティブ)、『多動力』(幻冬舎)、『好きなことだけで生きていく。』(ポプラ社)、『すべての教育は「洗脳」である』(光文社新書)など。 詳細はHORIEMON.COM

    村口和孝氏(@kazmura)(右)
    実業家。慶應義塾大学大学院経営管理研究科講師。1998年に立ち上げた個人型ベンチャーキャピタルの日本テクノロジーベンチャーパートナーズ投資事業組合代表。投資成功例としてDeNAが知られる。慶應義塾大学経済学部卒業。「ふるさと納税」制度の提唱者としても知られる。著書に『私は、こんな人になら、金を出す』

    会場の学生に向けてメッセージをと話を振られ、開口一番「みんなこんなところに来ないで遊びに行けばいいのに」と答え、会場の笑いを誘った堀江氏。

    堀江氏はもし自分が大学生だったら、今日のイベントには絶対に来なかっただろうと強調する。

    「村口さんと堀さんは『今日の学生さんたちは真面目ですごいね』と話されていましたけれど、僕はこういうのがすごく苦手で。学生時代は家で(PCのキーボードを)バチバチ叩いているような学生でしたからね」(堀江氏)

    堀江氏は東京大学の学生時代、大学にはあまり登校していなかったという。

    「僕は大学は『権威を与えられるための場所』と割り切っていたため、あまり興味が湧かなかったというか。だから、僕にとっての“学び”とは好きなことを好きな時間を使ってやり、それをとことん掘り下げていく、そんな感じでしたね」(堀江氏)

    慶應義塾大学に1年浪人して入学した村口氏も、同様の考えを持っているという。

    「1年予備校に通って、苦労して入った大学でしたが、授業があまり面白くなくて。サークルに入り、演劇に熱中していましたが、ある日先輩から『芝居では将来食っていけない』と、懇々と諭されました。それで、将来何で生活しようかと考えた時、たまたま経済学の勉強に意識が向き、熱中するようになりました」(村口氏)

    自分の起業によって未来の生活を変化させる

    実はPCを使った起業にあまり前向きでなかったと話す堀江氏

    実はPCを使った起業にあまり前向きでなかったと話す堀江氏

    堀江氏と村口氏には起業を決意した理由にも共通点がある。堀氏から起業という選択をした理由を問われた、堀江氏はこう話す。

    「PCの仕事って当時は『暗い』ってイメージだったので、PCで起業はあんまりしたくなかったんですよ。でも、Macと出会って、なんかのめりこんじゃったんですよね。結局、面白かったんですよね。うん、(起業のきっかけは)面白いからですね。

    当時からインターネットは人々の生活を変えると思ってましたから。いまだに紙で講演資料が作られていたり、銀行でプラスチック製のキャッシュカードが使われていることを見ると、まだまだ僕が思い描いていた未来ではないですけれど」(堀江氏)

    また、同じ質問に村口氏はこう回答する。

    「恩師から当時25歳のスティーブ・ジョブズの話をされたんです。その話の中で彼に資金を投資した『ベンチャーキャピタル』というものがあると知ったんです。当時、日本にベンチャーキャピタルってなかったと思うんですよね。だからこれは面白いと。今ない未来を作っていくことに協力したいと思ったんです」

    「雇う-雇われる」の関係は時代遅れ

    セッションの後半には会場やTwitterからの質問にも回答した。そこで「どのような人材と一緒に働きたいか」という質問に堀江氏は企業のあり方も含め、次のように答えた。

    「そもそも最近『採用』ということがばかばかしく思えてきて。最近オンラインサロンを立ち上げたんですけど、そのサロンの中で『法人営業』や『教育』などのグループが一晩で10個以上立ち上がったんですよ。共通したやりたいことや興味のあることでサロンのメンバーがグループを勝手に作り、実際にビジネスに向けて動いています。

    これってFacebookやLINEの進歩のおかげだと思うんですよね。21世紀はこんなに便利なんだから、(起業も)やればいいじゃん、というのが僕の考えです」(堀江氏)

    会場やTwitterからの質問に対し、熱いアドバイスがなされた

    会場やTwitterからの質問に対し、熱いアドバイスがなされた

    また、堀江氏の話を受け、村口氏も21世紀の就職と起業の関係についてこう話す。

    「雇われる、雇う、という労使関係の中に入っていくのが現代的ではないと思っています。21世紀には全員が会社に所属したまま、起業家になってもいいんじゃないかと思うんです」(村口氏)

    また、「どうしたらモチベーションを保ち続けられるのか」を聞かれた堀江氏は「やりたいことをやればいい」と話す。

    「人生には目標がある、っていう考え方がちょっと違うんじゃないですかね。夢をかなえるノート、みたいな商品がありますけど、目標なんてなくていいんじゃないですかね。毎日、明日が分からないから面白いんじゃないですか。そのためにも、日々面白いと思うことをやればいいんです」(堀江氏)

    「こんなに簡単なのになぜ起業しないのか」

    イベントの最後に会場に向けてのメッセージを求められた堀江氏は、よく聞かれる質問を例に出し、こう閉めくくった。

    「先日、地元の高校での講演でもその質問が出たんですが、『○○で社長になるためにはどうしたらいいんですか』ってよく聞かれるんですよ。その子は農業での起業がやりたいといっていたので、今からすぐに部活の練習がてら後輩使って畑耕して、野菜売れって言いました」(堀江氏)

    「起業」ということを学生は難しく考えがちだと堀江氏は続ける。

    「何でも商売になるんですよ。会社ってものをきっちり考えて起業する、っていう時代は20世紀で終わったんです。今日の帰りに堀潤さんからサインもらって売っても立派な商売なんですよ、倫理や法的な問題を抜きにすれば(笑)。起業したいといいながら起業しない人は、結局言いわけしているんです。とりあえずまっすぐやってみてください」(堀江氏)

    取材・文・撮影/佐藤健太(編集部)

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