Vol.285

場所、時間、キャリア……あらゆるものから解放される、SIerの働き方革命。富士ソフトに見る、今後SEが身に付けておくべき3つの視点

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今、多くの業界で取り組みが進む働き方改革。中でもタイトなスケジュールや納期に追われがちなIT業界では特に大きな課題となっている。そんなIT業界にあって、いち早くエンジニアの働き方改革に取り組んできたのが富士ソフトだ。

社員数約6,000人、うち約8割を越える社員がエンジニアという同社は言うまでもなく日本で有数の規模を誇るSIer だ。大規模になればなるほど、組織のすみずみまで制度を適用し浸透させていくハードルは高くなる。

富士ソフトが本格的に働き方改革に取り組み始めたのは1997年のことだ。まず標準勤務時間の削減に着手し、順次、事業継続(BCP)対策や在宅・サテライト勤務の導入とその改善などを積極的に推進してきた。

その結果、多彩なプロジェクトの最前線で活躍するPLやPMの約7割が在宅勤務の経験を有するまでになり、人事と評価制度の改善を通してキャリアパスの選択肢も広がるなど、エンジニアにとって多様な働き方が可能な企業の1つとして確かな実績を築いてきた。

2017年2月、こうした取り組みと具体的な成果が高く評価され、富士ソフトは日本テレワーク協会主催の『第17回テレワーク推進賞』で会長賞を受賞。まさにIT業界の“働き方改革”を牽引する存在となった。

今回は富士ソフトの働き方改革にフォーカスし、SIerに在籍しながら多様な働き方とキャリアアップの両方を実現するエンジニア像について同社人事部の名古豊氏に聞いた。

富士ソフト株式会社 人事部の名古豊氏

富士ソフト株式会社 人事部の名古豊氏

変わりゆく環境の中でSIerに求められる新たな視点

今となってはテレワークを推進している企業として社外からも評価されるようになった同社だが、以前までは多くのSIerと同じく、“長時間働くこと=成果”という文化が根強く残っていたと名古氏は明かす。

「私が入社したのは十数年前になりますが、その当時も業務の最前線で働くエンジニアには勤務時間が長ければ長いほど仕事をしているんだという雰囲気はありました」

社内のそんな雰囲気が徐々に変わり始めたのがちょうど2000年頃。世間はいわゆる“ITバブル”の渦中だ。富士ソフトも当然、この経営環境を取り巻く激変への対応に追われたという。

「2000年頃、社内の変化としては顧客からの依頼にただ漫然と応えるだけの“受託”ではなく、“攻め”の姿勢で案件やプロジェクトをみずから開拓していくという方針に大きくシフトした時期でした。ITバブルによって社内の体制が変化し、それと同時進行で、社員たちには新しい働き方に順応する必要が出てきたんです」

常に変化の渦中に身を置いているSIerに在籍するエンジニアは、個々が“働き方改革”について考える以前に、変化に即応できる「3つの視点」を身に付けておくべきと名古氏は話す。

「2000年代に入って、“労働時間”や“キャリア”についての課題に取り組むことがまず私たちの目標になりました。エンジニア自身もタイムマネジメントを意識しつつ有益なキャリアパスを描くことなど、それまでは問題視すらされなかったような働き方の課題にもちゃんと目を向けるようになったんです」

富士ソフトが働き方改革実現のために、まずICT (情報処理や通信に関連する技術、産業、設備、サービスなど)の導入による環境整備と制度改革、そして普及のための啓蒙に取り組む一方で、従業員のほとんどを占めるエンジニアにも次の3つの視点を身に付けさせるよう取り組んだという。その3つの視点は以下の通りだ。

1.タイムマネジメントを意識した働き方という視点
2.有益なキャリアパスを描いて働くという視点
3.エンジニア各自の役割と職責を先読みする視点

とはいえ、5,000人超のエンジニア全員が大きく意識改革していくには、不断の努力と時間が必要だ。富士ソフトではそれをどのように実現していったのだろうか。

自由だからこそ成果が求められる。自由を制するためのタイムマネジメント

富士ソフトが実現した働き方改革の中で特筆されるのが、在宅・サテライト勤務の経験者が7割に達しているという点だ。名古氏自身も活用している1人だが、ここまで定着した秘訣は何だったのだろうか。

富士ソフト 名古氏

「在宅・サテライト勤務を本格的に導入するにあたって、まず取り組んだのが働く環境の整備です。従業員の全家庭でリモートデスクトップが利用できるようにして、随時ミーティングや会議ができるテレビ会議システムを導入するなど、いつでもだれでも在宅・サテライト勤務ができるインフラ整備を進めました」

他にもペーパーレス化や当日の申請で在宅・サテライト勤務が可能な柔軟な制度の運用などもこの制度の普及を大きく後押しした。ただ、大規模な組織の隅々まで浸透していくには課題もあったという。

「私自身もそうだったんですが、いざ家で仕事をしてみると逆にいくらでも働けるし、やろうと思えばいくらでも手を抜けるんですよね。上司や先輩が見ているわけではないですし、監視するシステムもありませんからね」

在宅・サテライト勤務が自由にできるようになった結果、業務の生産性や効率性が下落してしまっては意味がない。そこで生きてきたのが、“成果”による評価制度だったという。

「エンジニア1人1人と定期的に面談を行い、自分が組織の中でどんな役割を果たし、どのような結果を残すのかを目標として明確に定めました。この取り組みを地道に続けることで、自然とタイムマネジメントを意識して働く姿勢が根付いたんです」

新たな評価軸によって広がったエンジニアのキャリア

富士ソフトが実現した働き方改革の大きな特徴の一つに、エンジニア1人1人が柔軟なキャリアパスが描ける評価制度がある。

「当社に限ったことではありませんが、中にはPLやPMを経てマネジメントへというキャリアパスではなくて専門分野のスペシャリストとして第一線で活躍し続けたいという思いを持ったエンジニアがいます。そんなニーズに応えて『スペシャリスト制度』を導入しました」

このスペシャリスト制度が導入されたのは06年。通常、マネジメント職に就かなければ実現できないような報酬や職位を、実務や資格、業務経験などを踏まえて同等レベルにまで引き上げる制度だ。この他に知識やスキルアップを目指す『資格取得奨励制度』や『プロジェクトマネジャー認定制度』などがある。17年4月現在、920人がスペシャリスト制度の認定を受けている。

上記の制度を導入したことで、それまで評価されにくかった“技術志向の高い”エンジニアについても正当に評価されるようになったと名古氏は語る。

「社員数が多い分、マネジメントに従事する人が必要になるのは当たり前ですが、当社はあくまで“モノづくり”をする企業なんです。だからこそ、そういった環境の中でもクリエイターが評価されない環境のままにはしたくなかった」

また、技術志向の高いエンジニアを正当に評価する体制ができたことで、それまでマネジメントを行っていたエンジニアたちのキャリアパスにも変化が現れたという。

富士ソフト 名古氏

「これまではマネジメントならマネジメント、技術なら技術、という志向が根付いていたため30歳前後で自身のキャリアについて道を決めなければいけないような風潮がありました。しかし、制度を導入してからは途中からでも変更が可能になったんです。それまでマネジメントを行っていたエンジニアが途中から技術を突き詰めていくなど、横断的なキャリア形成ができるようになりました」

多角的な評価体制が整い、キャリアパスを自由に描けるようになった。だからこそ、自身のゴールをちゃんと見定め、それに向かってどのような道を進むのか考えることが重要だと名古氏は語る。

移りゆく環境の中で普遍的な活躍をする秘訣は、“先見の明”

時代とともに働き方が変化してきた同社のエンジニアだが、“モノづくり”を行う企業として、昔から変わらずに必要とされている視点があるという。

「私たちのいるIT業界は想定外の変化が起きうる業界ですから、常に柔軟な視点で物事を捉えなければいけません。また、SIerである以上、モノづくりにおいて会社や組織、クライアントの期待の“一歩先”を目指さなければいけないと考えています」

実際に同社の中で評価の高いエンジニアに共通して言えるのは、次の変化を予測して見極め、その変化に対応するための行動を自ら行える人材だという。

「会社は、そんなエンジニアを精一杯バックアップしていく環境を整えて必要な制度を運用していきますから、ぜひ高い意欲と熱意あるエンジニアにジョインしてもらいたいですね」

それまでのエンジニアの働き方のイメージとは180度違う、新たな働き方を提示した富士ソフト。これからのSIerの働き方革命を牽引していく存在として、大いに期待ができるのではないだろうか。今後、富士ソフトのような働き方改革を推進するIT企業は次々に増えていくだろう。自身に求められていることは何かを考えながら、その“一歩先”を目指すことができるかどうかが問われそうだ。

取材・文/浦野孝嗣 撮影/小林正

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