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「進化する開発基盤」をどう作るか~クラウドワークス大場光一郎氏が学んだ5つの情報源【2014年後半のインプットlog】

タグ : 2014年後半のインプットlog, CTO, クラウドワークス, マイクロサービス, 大場光一郎, 開発体制 公開

 
業界で名の知れたプログラマーやクリエイターは、今年の下半期に何を学んでいたのか? 「同業者が役に立ったものは、自分にも役に立つはず」という仮説を基に、彼らの学びlogから、2014年下半期の流れを振り返り、今後の動向を予想してみよう!
プロフィール

株式会社クラウドワークス 執行役員 CTO
大場 光一郎氏

2014年1月に、クラウドソーシング大手『クラウドワークス』の新CTOに就任したプログラマー。伊藤忠テクノソリューションズを経て2011年に転職したグリーでは、開発本部インフラストラクチャ統括部に所属。オープンソースコミュニティでも活躍し、RubyおよびJRubyの発展に貢献。共著に『たのしい開発 スタートアップRuby』、『Ruby on Rails逆引きクイックリファレンス』がある

想定以上の変化の中、ChatOpsの導入やテスト自動化に奔走

「僕が入社したころと今を比べると、状況は想像以上に変わりましたね」

こう話すのは、2014年1月6日にクラウドワークスの新CTOとしてグリーから転職してきた大場光一郎氏。

創業間もないスタートアップが「中長期的な視点に立ったエンジニアリングのビジョンづくり(CEO吉田浩一郎氏のブログより)」を目的に外部からCTOを招くという稀有なケースとして脚光を浴びたが、大場氏がゆっくり構想を練る間もなく会社は12月にマザーズへ上場。『クラウドワークス』は国内のクラウドソーシング市場をけん引する立場となり、ユーザー数も大場氏が入社した1月時点で約10万だったところから、1年で約26万ユーザーまで増加した。

それに伴い、鳥取県からリモートで開発に参加するエンジニア1名を含む総勢9人の開発チームには、生産性の向上みならず上場企業としての体制づくりなどさまざまな変化が求められるようになった。

「入社した直後は、外部の勉強会に参加しても『ウチはまだ創業3年目のスタートアップですから』と話していたのに、今はもう上場企業。他社とのコラボレーション施策などに付随する機能開発も増え、ベンチャーっぽい開発のやり方だけでは回らなくなってきています」

クラウドワークスの企業ページにあるリリースを見ると、業務提携や新たな取り組みの情報が膨大に載っている

そんな状況下、この1年は「今やっておかないとチームが業務過多で死ぬ」(大場氏)という喫緊の課題を解消するために奔走。ChatOpsの導入やテスト自動化など、効率化の施策を試行錯誤しながら行ってきた。

「例えばCI(継続的インテグレーション)環境を整備する際、最初はJenkinsを使って行う計画を立てていましたが、継続して維持するのが思ったより大変で僕自身がボトルネックになってしまうリスクがあったので、CircleCIとかSemaphoreでCIする仕組みに変更しながら構築していきました。やるべきはサービスの開発に集中することであって、Jenkinsのメンテナンスではないので」

こうして目先の課題を解消しつつ、2015年以降は本格的に中長期で持続可能な開発基盤を作るべく、大場氏が着目したのは以下の2つだ。

【1】マイクロサービス関連
【2】エンジニア個々人が主導的に動く「内発的組織」の構築

そのための情報収集で、同氏が「特に役立った」と感じたというソースを紹介しよう。

大場氏が参考にしていた情報ソース

【1】マイクロサービス関連

■The Netflix Tech Blog
http://techblog.netflix.com/

■Netflix Open Source Software Center
http://netflix.github.io/#repo

■『AWS re:Invent 2014』の講演>>Effective Interprocess Communications in the Cloud: The Pros and Cons of Microservices Architectures
(※Slideshareにある講演資料はコチラ / 以下は約45分の講演動画)

これらはマイクロサービスだけを調べる目的ではなく、最新のWebアーキテクチャと勉強する際に見ていた情報ソースです。クラウドワークスのシステムは現状はモノリシックアーキテクチャなので、今後の機能開発を高速にするためにも、分散した疎結合な仕組みに移行させたいと考えています。

そのための情報収集をしていく中で、とりわけNetflixの取り組みは参考になりました。

Netflixはかなり前から自社ツールをオープンソースとして公開するなど、OSSコミュニティではよく知られた存在です。しかも、公開されているOSSの多くが非常に高度。例えばクラウド環境での耐障害性をテストするツール『Chaos Monkey』を使った事例として、NetflixはAWSのメンテナンス時もうまく別のクラウドサーバを使い、サービスを落とさず乗り越えたそうです。

ある程度大きなWebサービスを、分散システムとして構成する時に使える実践的なアイデアが学べます。

【2】エンジニア個々人が主導的に動く「内発的組織」の構築

個人的に、今年は「CTO1年目」ということもあって、CTOとしてどう働くべきか、何をやるべきかということをずっと考えてきました。その中で出したいったんの結論が、「今後開発チームの人数が増えても、エンジニア主導でサービスを考え、提案できる内発的組織にすること」です。

この内発的組織を作るには、会社がそういうエンジニアをキチンと評価することも大切になります。そういう評価制度・開発文化づくりについて、アレコレ考えていた時に刺さったのがこの2つでした。

■IVS CTO Night & Day 2014 powered by AWS
http://www.infinityventures.com/ivs/cto/

■書籍『How Google Works ―私たちの働き方とマネジメント

IVSのCTO Nightは、いろんな会社のCTOが100人以上集まって、さまざまな課題についてディスカッションできるというユニークなイベントでした。

今まで、CTOの仕事について相談できるのはグリー時代の先輩や同僚(藤本真樹さんや伊藤直也さんなど)に限られていたので、ここで得た人脈や他のCTOの経験則はすごくためになりましたね。

AWSがスポンサードしていることもあって、技術的な面でも勉強になりました。【1】でマイクロサービス関連の情報ソースとして紹介した『AWS re:Invent 2014』の講演資料も、実はこのCTO NightでAWSのエバンジェリスト@shot6さんに教えてもらったものです。

また、エンジニアの評価制度や育成については、ビズリーチのCTO竹内真さんとお話させていただいた内容が印象的でした。竹内さんは、ビズリーチの評価制度やエンジニア育成の仕組みを考える際、

「メディア・プラットフォーム事業で巨大企業となったリクルートと、Webベンチャーから大手企業に進化してきたサイバーエージェントを参考にしてきた」

とおっしゃっていて、クラウドワークスでも上場企業として各種の仕組みを整えつつ、クリエイターやエンジニアならではのモノづくりを楽しむ“ウェ~イな開発風土”(竹内さんいわく)を残しながら、企業文化を作っていきたいなと考えています。

>> 参考記事:エンジニアのキャリアパスを再定義する新人事制度をビズリーチが導入

もう一つ挙げた『How Google Works』は、この「組織の成熟とエンジニアリング文化の共存」を考える上ですごく影響を受けた本です。

著者でGoogle会長のエリック・シュミット氏が、「Googleの成功はスマート・クリエイティブに自由を提供し、刺激し合う環境を作ることでもたらされた」と書いているのを読んで、我が意を得たりというか。どうやってGoogleらしいクリエイティブな組織文化を作ってきたのかが詳細にまとまっているので、オススメの本でもあります。

>> 参考記事:Googleエリック・シュミット氏×村上憲郎氏に聞く、「クリエイティブな組織」を作る上でやってはいけないこと

2015年は本格的に「クラウドワークス流の開発文化」を作る1年に

フロアに掲げられたEngineer’s Way。「課題はコードで解決するべし」という姿勢を示す言葉だ

これらのインプットlogを見ても分かるように、大場氏が行う「開発基盤の整備」には、開発の効率化につながるテクニカルな取り組みから、風土・文化づくりという抽象的な取り組みまで、幅広い意味が内包されている。

特に風土・文化づくりには正解がないため、「勉強し、考えた結果を実際に試してみる」ことの繰り返しでベターチョイスを探ってきた。

その過程では、大場氏が想定していなかったような効果も出ているという。

「今年10月末に新オフィスへ移転した際、エンジニアの息抜き目的と『プログラミングへの初期衝動を忘れないように』という願いを込めて、アーケードゲームの筐体を1台フロアに設置したんですね。今、30~40代を迎えている僕ら世代のエンジニアは、ゲームづくりにあこがれてプログラムを勉強した人が多いので。そうしたら、他部署の人も開発チームのフロアに足を運ぶようになり、雑談をしながらコミュニケーションが生まれるようになったんですよ」

こうしたささいな打ち手の積み重ねが、全社に対して影響力を発揮する「内発的組織」を作ることにつながっていくはずだと大場氏は考えている。

「だから、評価・育成の面でも、事業への貢献度はもちろん、ブログ・勉強会での情報発信やOSSコミュニティへの参加などで社外での市場価値を高めようとしているエンジニアを積極的に評価するような制度にできないかと考え中です。これから中途で採用する若手の方々にも、社内外に存在感を持てるエンジニアになってほしいですからね」

取材・文/伊藤健吾(編集部)




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