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話題の肉食就活サイト『ニクリーチ』は未経験新卒エンジニアがたった一人で開発していた~ビズリーチ流エンジニア育成の極意

タグ : ニクリーチ, ビズリーチ, 新人研修, 竹内真 公開

 
『ニクリーチ2016』を一人で開発したビズリーチ新卒エンジニアの荒井利晃氏(右)とCTOの竹内真氏

ニクリーチ2016』を一人で開発したビズリーチ新卒エンジニアの荒井利晃氏(右)とCTOの竹内真氏

「お腹を空かせた学生のための肉食就活サイト」をコンセプトにビズリーチが2014年1月にオープンした『肉リーチ』が、2016年新卒向けに大幅リニューアル。登録プラットフォームを他社にも開放し、ITベンチャー76社が参加する『ニクリーチ2016』として生まれ変わった。

ユニークなコンセプトが今年も話題を呼び、12月のリリース以降、2000人を超える高学歴な学生に利用されているこのWebサービス。実は、2014年新卒入社のエンジニア荒井利晃氏が、たった一人で設計からインフラ、DB構築、デザイン周りまでのすべてを担当、10月の着手から2カ月という短い期間のうちに完成させたのだという。

プログラミング自体ほぼ未経験で入社したという荒井氏がなぜ、入社からわずか半年でWebサービスを作り上げることができたのか。また、ビズリーチはなぜ、荒井氏にたった一人で『ニクリーチ』開発を任せる決断を下したのか。

その答えを探るべく荒井氏本人とCTOの竹内真氏にインタビューを行ったところ、ビズリーチ流の新卒研修に多くのヒントが隠されていた。

新卒2期生の2014年入社組が「1期生」と呼ばれるワケ

「2014年入社の新卒研修は、前年の失敗をすべて活かして設計された」と竹内氏

「2014年入社の新卒研修は、前年の失敗をすべて活かして設計した」と竹内氏

2014年4月入社の新卒エンジニアは、荒井氏を含めて8人。入社後、非エンジニア職とともに2週間のビジネス研修を受けた後、3カ月にわたるエンジニア研修を経て、ようやく各部署に配属されて現在に至る。

2014年入社組はビズリーチが新卒採用を始めて2期目にあたる。にもかかわらず、社内での彼らの呼び名は「1期生」。その上の2013年入社組は「0期生」と称されているのだという。

「ビズリーチにとって初めての新卒だった2013年入社組は、受け入れ側にとってもすべてが初めてで、『未成熟』でした。もちろん、本人たちにもそれをきちんと説明して理解した上で入ってもらいました。0期生に対して行った新人研修には多くの失敗があり、それを活かして行われたのが1期生の研修なんです」(竹内氏)

ビズリーチでは創業当時からの伝統として、研修の最後にオリジナルのTwitterクライアントを端から端まで一人で開発する「Twitter課題」と呼ばれる卒業試験がある。0期生のエンジニア研修は、2週間という短期間で竹内氏が一通りのことをレクチャーした後は、基本的に自学で最終課題まで進むよう設計された。

「0期生も一応、表向き最後までたどり着くことはできました。しかし、それぞれが得意分野を活かしてなんとかごまかしていたというのが実状で、アルゴリズムを理解できていなかったり、ある部分の基礎がごっそり抜けていたりと問題を抱えていて、現場に出た後に先輩と話が通じない。結局、再研修を3回くらい繰り返したという経緯がありました」(竹内氏)

こうして現場であぶり出された欠陥を全てフィードバックしてできたのが、1期生の研修だ。

竹内氏1人が担っていた講師役は現場の第一線で働くオープンソースのコミッターなど8人のエンジニアへと託され、3カ月かけてWebサービス開発のいろはを端から端まで指導する形式に変わった。

ビズリーチのエンジニアの業務は主にアプリ開発であるから、当然、Javaの講習には多くの時間が割かれる。一方でインフラ、ネットワーク、デザインといった領域の講義では、すべてを網羅的、体系的に教えるのではなく、なるべく現場で使うものに近いリアリティーのあるものに絞って指導したという。外部講師を起用せず、カリキュラムもオリジナルで作ったのはそのためだ。

「個の力」と「チーム力」を同時に育む方法論

『ニクリーチ』開発に自ら手を挙げた荒井氏。「開発していた2カ月は、毎日手札が増えていくように成長が実感できた」

『ニクリーチ』開発に自ら手を挙げた荒井氏。「開発していた2カ月は、毎日手札が増えていくように成長が実感できた」

3カ月のエンジニア研修の後、ビズリーチ本体の開発に配属された荒井氏。2カ月ほど現場で働いていると、ある時、竹内氏から声が掛かった。

「『肉リーチ』を大リニューアルするんだけど、やってみたいやつ、いる?」

「ベンチャーに来たのはもともと、自分でモノを作りたい気持ちが強かったから。『肉リーチ』はプロダクト自体すごく面白くて魅力があるし、これをやり遂げれば一人でモノを作る力がつくのではないかと思い、『ここだ!』というような気持ちで手を挙げました」(荒井氏)

とはいえ、この時点で持っていたWebサービス開発に関する知識は、3カ月の研修とその後のビズリーチのアプリ開発で身につけたものがすべて。特に、業務で使わないデザインやインフラ周りの知識はほとんどゼロといっていい状態だった。

足りない知識を補うべく荒井氏がとった手段は、とにかく先輩エンジニアに聞きまくるという方法。自分がやりたいことを実現するために必要な技術を最短で身につけるべく、各分野のスペシャリストに教えを請い続けた。

「あの時の自分の成長力はハンパなかったと思います。きょうはコレとコレとコレができるようになったという感じで、毎日手札が増えていく。それが2カ月も続くんですから。先輩の話はとにかく学びが多くて、質問に対して答えだけじゃなく、アプローチの仕方や考え方まで返してくれる。丁寧に対応してくれた先輩方には本当に感謝しています」(荒井氏)

結果的に荒井氏は会社からの期待に応え、無事『ニクリーチ2016』を世に送り出すことができた。それにしても、入社半年の社員たった一人に新サービスを任せることに、会社側に抵抗はなかったのだろうか。

「エンジニアというのは個人の能力がフォーカスされがちですが、一方でチームワークも学ばなければならない。両極にあるものを同時に身につけるためにはどうすればいいのかという問題がありますよね。思うに、一人でできることを限界までやって、それを超えたときに初めて、感謝を持って人と仕事ができるのではないでしょうか。

その感覚をできるだけ早く感じた方が、その後の人生でチームの中で輝ける存在になるし、チームを輝かせる存在にもなれる。荒井一人にすべてを任せるというのはもちろん大きな賭けでしたが、やらせてみてよかったと思いますね」(竹内氏)

「抵抗感」を払拭することこそが研修の意義

荒井氏が試行錯誤を経て制作した『ニクリーチ』のトップ画面。今後はビズリーチ新卒エンジニアの登竜門となっていきそう

荒井氏が試行錯誤を経て制作した『ニクリーチ』のトップ画面。今後はビズリーチ新卒エンジニアの登竜門となっていきそう

学生時代、情報通信工学を専攻していたという荒井氏だが、もともとプログラミングには苦手意識があった。

「趣味でHTMLに触ったりはしたのですが、すぐに無理と感じて、研究でもできるだけプログラミングをしなくていい方向に逃げていた気がします。当時はプログラミングはハードルが高いと感じていたんです。『Hello World』は確かに出るけれど、それで何が楽しいのかと思っていたくらいです(笑)」(荒井氏)

荒井氏に今回の『ニクリーチ2016』開発での収穫を問うと、技術スキルの向上や先輩エンジニアから得た仕事哲学とともに、「自分の手で作ったものが目に見えて動く楽しさを実感できたこと」を挙げた。

「『ニクリーチ2016』の開発を終えてある程度の自信を得ることができましたが、本業のビズリーチの方に戻るとまだまだ分からないことだらけ。でも、今はどんどん新しい知識、新しい手段を知りたいというモチベーションが沸いてくるんです」(荒井氏)

事業で使うのは主にJavaだが、他の言語を習得すべく、勉強会などにも自主的に参加するようになったという。「肉食就職サイト」の開発を経て、プログラミングへの姿勢は“草食系”から“肉食系”へと変貌を遂げたようだ。もちろん、そうした姿勢は同期の他のメンバーに刺激を与えてもいる。

ビズリーチとしては今回の成功を受けて、『ニクリーチ』開発を今後、新卒の登竜門的な位置づけとしていきたい考えだという。また、新卒研修自体も、さらに改善していくプランがすでに竹内氏の頭の中にはある。

「今度の新卒向けの研修では、開発言語は最低2言語、Webに加えてスマホアプリ開発もカリキュラムに入れる予定です。さらに、ゆくゆくはこれにハードウエアの開発も付け加えるつもりでいます」(竹内氏)

もちろん、こうした構想は今後の事業展開に直接結びつけることを目的としたものではない。竹内氏が研修を通じて実現したいのは、彼らの「壁」を壊すことだ。

「世の中の変化は速く、エンジニアが取り組まなければならないこともどんどん変化する。その際に、よく分からないから触らない、壁を跳び越えるのに抵抗感がある、では対応できないですよね。その抵抗感を払拭することこそが、研修の意義。言語を2つ覚えることができたなら、3つ目だって触れるような気持ちになるかもしれない。そういう気にさせることができれば、研修は成功したといえるのではないでしょうか」(竹内氏)

取材・文・撮影/鈴木陸夫(編集部)




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