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[特集:ギークなままで、食っていく 2/4] 増井雄一郎氏:フリーの利点を活かして「半歩先行く仕事」を選び続ける

タグ : Ruby, Titanium, ギーク, スキルアップ, ソーシャル, フリーランス, 中島聡, 増井雄一郎, 業界有名人, 稼ぐ, 起業, 開発 公開

 

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「ギークなままで、食っていく」フリーランス編

Appcelerator, Inc. Platform Evangelist
増井 雄一郎氏(@masuidrive

大学時代に起業を経験。2003年フリーランスとなり、Ajax、Ruby on Railsなどを使ったWebアプリ開発や雑誌、書籍執筆を行う。2008 年に渡米し、中島聡氏とともにiPhone関連アプリ開発会社を起業。2010 年に帰国し、現在はアプリSDK『Titanium Mobile』の伝道師としても活躍。個人ブログ『@masuidrive blog』でも情報発信を行う

<増井氏が「ギークなままで食い続けてこられた」ポイント>

2005年から本格的に取り組んできたRuby on Railsでの開発実績や、CMSツール『PukiWiki』開発、スマホアプリSDK『Titanium Mobile』の開発でその名を知られる増井氏。常にこれだと思う旬なテクノロジーを見つけ、人に先駆けて徹底的にリサーチしながら知識を深めてきた。

そのコツは、ズバリ「仕事にしてしまう」こと。例えばRails習得の際は、フリーランスである利点を活かして「2006年の1年間はRails関連の仕事しかしない」と決めて取り組んだという。

その結果をブログやコミュニティ活動、『10分で作るRailsアプリ for Windows』のような動画作品などで発表することで、業界内でオピニオンリーダーとして知られるようになっていった。

増井氏のエッジ力は、上に書いた「先行者」としての実績のみならず、その圧倒的な行動力によって支えられている。極めつけは、2008年に突然米国に渡り、あの『Windows 95/98』チーフアーキテクトとして知られる中島聡氏とともにアプリ開発会社を起業した時の逸話だ。

講演で来日予定だった中島氏に会社(UIEvolution)経由で打診をし、「講演会の昼食の時間だったら」という条件でアポを取りつけた。そして、たった30分程度の会話で意気投合し、氏からの「一緒にアメリカで会社を作ろう」という誘いに即応したそうだ。

その後、直接会うこと2回、最初の誘いからは約半年後、シアトルで中島氏とともに会社設立のための書類にサインをした。その際、「本当に、会社を作っちゃいましたね」と言わしめたその行動力が、常に新境地を開拓し続け、多くの人を魅了してきた増井氏の武器であることは間違いない。

ひらめいたサービスのアイデアや、取り組んでみたい開発テーマを、『masuidriveの作りたい物&試作品リスト』としてWeb上で公開している。

masuidriveの作りたい物&試作品リストはコチラ

masuidriveの作りたい物&試作品リストはコチラ

と同時に、いつでもプレゼンできるよう、常に『iPad』にリストを入れて持ち歩いている。

「これは!」という人に会ったらその場でリストを見せ、会話をしながら発想をふくらませていくことを習慣づけているため、これまで何度か企画を売り渡す話に発展したり、開発コンサルティングや正式サービスとしてのプロジェクト化を依頼されたそうだ。

「ちりも積もれば~」を地で行く活動を展開してきた結果、安定して収入を得られるようになっているという。

「得意なのは、最初の20mを誰よりも速く駆け抜けること」

現在では、アメリカと日本を行き来しながら仕事に取り組む日々を送っている増井氏

現在は、アメリカと日本を行き来しながら仕事に取り組む日々を送っている増井氏

現在、日本市場におけるスマートフォン向けアプリ開発支援ツール『Titanium Mobile』のエバンジェリストとして活動する増井雄一郎氏にとって、学生時代から「技術的な興味」と「仕事」は常にイコールで結ばれていた。

「やりたいと思っても、追い込まれないとなかなかできない性格なんですよ。だから興味が湧いたら仕事にする。仕事にすれば納期が決まりますから集中して取り組めるし、ほかの仕事をしながら勉強するのって、時間がもったいないでしょう?」

工業高校に入り本格的にプログラミングに取り組みだすと、技術の勉強のため、地元・北海道の企業から日報管理や発送伝票を打ち出すシステム開発を請け負った。また、大学時代、ゲームプログラミングに関心が向いた時は、知り合いのツテを辿ってゲーム会社のアルバイトを紹介してもらい、コーディング技術を会得。

学生時代から感覚に響くモノを見つけると、自分からアクションを起こさずにはいられないタイプだったようだ。

「大学には6年間在籍していたんですが、実は5年目の時に一度起業をしているんです。その会社では、通信キャリアの公式携帯サイトの受託開発を行っていました。社員を数人雇って、売り上げもそこそこはあったんですが、会社としての行き詰まりを感じていて、25歳ごろにこのまま社長業を続けるべきかで悩みまして。やっぱり僕は、開発の仕事が好きでしたから」

20代後半のこの時期を逃したら、もうエンジニアリングの世界には戻れないかもしれない――。そう判断した増井氏は、自ら立ちあげた会社を畳む決断を下す。

「得意先の仕事をメンバーに振り分けた上で、僕自身はフリーランスの道を選びました。経営の仕事をやってみて、僕は他人をドライブするより自分をドライブする方が得意だと気づいたんです。100m走にたとえると、僕が得意なのは最初の20mのスタートダッシュ。新しい技術を習得する際も、一つの分野を深く掘り下げていくよりも、いち早く取り組んで世間に紹介したり、実際にその技術を使ってモノを作ってみる方が性に合っていたんだと思います」

以後、関心の赴くまま自分が取り組むべき技術を定められるようになったのも、フリーランスの道を歩む決断をしたおかげといえるかもしれない。

「フリーになった当時は、Linuxのコアの部分をもっと学びたくて、組込み系の会社を経営する知人に仕事をくれるよう直談判しに行ったこともありました。タイミングよく新規開発のボードにLinuxを移植する仕事があって、運良くその仕事を全部任せてもらえました。当時は、そのチップに関する情報がとても少なかったので、かなり苦労しましたが(苦笑)」

「僕は、英語もプログラミングも得意じゃない」

こうして、常にゼロから実践することで名声を得てきたわけだが、増井氏にとってはまだ序の口。その後、元・マイクロソフトの中島聡氏とともに米国でiPhone/iPad関連アプリ開発会社を起業することになったのも、帰国後、『Titanium Mobile』の開発元である米アプセラレーター社から要請を受け、日本でのエバンジェリストを務めるようになったのも、すべて自らの行動が起点となっている。

中島聡氏とともに起業できた遠因に、「ネット上で公開していたアクティビティに興味を持ってもらったこともあるだろう」(増井氏)※写真は2011年4月の来日公演で撮影

中島聡氏と起業できた遠因に、「ネット上で公開していたアクティビティに興味を持ってもらったこともあるだろう」(増井氏)

※写真は2011年4月の来日公演で撮影

「中島とは、それまでブログを愛読していただけで面識はなかったんですが、いつかアメリカで仕事をしたいと考えていたため、ぜひ相談したいと思い連絡をしました。また、『Titanium』にしても、以前からコミュニティに参加したり、モジュール開発をやっていた関係で、あるイベントに参加して関係者に『Titanium』の弱みや日本展開についての不満を伝えに行ったのを機に、CEOのJeff(・Haynie氏)と直接メールをやり取りすることになり、『だったら君が日本でエバンジェリストをやらないか』と(笑)」

ちなみに、渡米前は英語がほとんどできなかった。さらに、「そもそも僕はコードを書く能力がそれほど高いわけではない。実際、自分よりもっと能力の高い人たちをたくさん知っていますし」とさえ言う。

それでも、ワールドワイドに尊敬を集め、幾多の開発プロジェクトに参加を請われてきた源は何なのか。

それは、増井氏の持つ行動習慣にほかならない。興味の対象を定めたら、驚異的な行動力と集中力で習得して広く世間に紹介する。そうすることで新たな人脈が広がり、次のチャンスも巡ってくる。

「僕がエンジニアとして気をつけていることがあるとすれば、仮に今日、仕事がなくなったり、すべてのものを失っても、明日からすぐに仕事を手に入れられるようにしていることだと思います。どの瞬間を切り取っても『売れる技術』を身につけて、その『売り先』を把握し、そこに『コンタクトを取る方法』を常に模索しています」

この3つを、誰に対してでもすぐに説明できるように、常に準備を怠らない。増井氏のような仕事術は、興味や関心をモチベーションにした発信型ギークの、典型的な成功パターンといえるかもしれない。

(3/4 ロケットスタート・和田修一編に続く)

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>>[ギークなままで、食っていく 4/4] ミクシィ・田中洋一郎氏(転職編)




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