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[連載:高橋信也①] シンボリック・アナリストになればAKB48だって生み出せる

タグ : SE, コミュニケーション, スキルアップ, プロジェクトマネジメント, 業界有名人, 高橋信也 公開

 
PMOの達人・高橋信也のプロジェクト最前線
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株式会社マネジメントソリューションズ  代表取締役/CEO
高橋信也

外資系コンサルティングファーム2社を経て、大手メーカー系システム会社へ転職。PMとしてグローバル案件などを手掛けた後、2005年に各種プロジェクトマネジメント支援を行うマネジメントソリューションズを設立。著書に『PMO導入フレームワーク』(生産性出版/税込2310円)がある

リーマン・ショックをきっかけに、企業はあらゆるコストの見直しを行うようになりました。システム開発への投資もまた、緊縮へと向かっています。しかし最近、その流れとは別の変化が起きているのも見逃せません。

それは、ユーザー企業における、新規事業の立ち上げ方の変化です。既存事業とは異なった面白い事業を興している企業の取り組みを分析すると、エンジニアも見逃すことができない共通項が見えてきます。

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急成長する『ポンパレ』(上)と、飲料メーカーが運営する”メディア”である『コカ・コーラ パーク』(下)

例えば、リクルートが立ち上げた『ポンパレ』。

米国グルーポンが先駆けとなり、話題になっているフラッシュマーケティング・ビジネスは、簡単にいえば「割引クーポンの共同購入ビジネス」。これを日本市場にフィットする形で、企画から約3カ月という驚異的な短期間でサイト構築したのが『ポンパレ』です。

例えば、ローソンが中心となって展開している『東京メディア』。

ローソンの店舗に設置したPOSレジやデジタルサイネージを活用しながら、「店自体を魅力的なメディアに変え、街に情報発信していく」という取り組みが『東京メディア』。ローソンとアサツー ディ・ケイ、NTTドコモの3社で設立した新会社クロスオーシャンメディアがスタートさせています。

例えば、日本コカ・コーラが展開する自社メディアの『コカ・コーラ パーク』。

一方通行の企業サイトではなく、ソーシャルメディア的アプローチのエンターテインメントサイトをメーカーが自ら構築して、マーケティングのベースにしていくというビジネスモデルの成功例です。

これらの異なるビジネスモデルに潜んでいる共通項の一つは、テクノロジーがビジネスモデルの根幹をなしていることです。従来のビジネスとテクノロジーとの関係は、ビジネスモデルが先にありきでした。システムは、それを支援するツールとして位置付けられていた。しかし、ここで挙げた例はどれも、システム自体がビジネスの根幹を成し、収益を生んでいく形を取っています。これは大きな違いです。

システム開発の内製化で転職先が拡大するも……

リクルートやローソン、コカ・コーラの関係者に話を聞くと、さらに興味深い共通点が見えてきます。それは、立ち上げプロジェクトの中心人物として、エンジニアやIT畑出身の人が入っていることです。

『ポンパレ』の構想などは、SIer出身のSEが作ったと、あるメディアに書いてありました。だから、プロジェクトの立ち上げからリリースまでのスピードが異様に速い。違う見方をすれば、開発スピードを上げるために開発を内製化し、外部のSIerに頼んでシステム構築をする手間と時間を省いているわけです。

これは、今までSIerから「ユーザー企業」と呼ばれてきた一般企業の間で、エンジニアの自社採用が活発になってきたことの証しだと言えます。エンジニアにとっては、活躍する場所が増えるという点で、とてもポジティブな動きです。

ただし、ここで疑問符が浮かぶ方もいるでしょう。長年エンジニアとしてやってきた人が、ビジネスを理解できるのか、事業を動かしていけるのか?という問題です。

わたしは、SIerやITベンダーで技術とだけ向き合ってきたようなエンジニアは、この変化に乗り遅れてしまうと思っています。ある大企業のトップも、「システムの中で”飼われている”ことに価値を感じてきたエンジニアはいらない」と言っていました。

今、ビジネスの世界で将来を嘱望されるエンジニアとは、技術とビジネスの両方を語れて、双方を結び付けることができる人なのです。

SEの中途半端さを強みに転化して「究極のつなぎ役」を目指せ

とはいえ、これまでエンジニアとしてやってきた人が、すぐにビジネスや経営のエキスパートになるのは難しいでしょう。そこで注目してほしいのが、プロジェクトを創り出し、マネジメントしていくためのコミュニケーションスキルです。

ここで言う「コミュニケーションスキル」とは、プレゼンがうまいとか、会話が苦にならないとか、そういった次元のスキルではありません。異なる専門性を持つ人たち同士のコミュニケーションを助け、他人に”翻訳”して伝える存在になる――。それこそが、今求められるコミュニケーションの形です。

わたしがお勧めしたいのは、「シンボリック・アナリスト」としての役割を果たすこと。

これは、今から20年前に米国でロバート・B・ライシュ(元労働長官、経済学者)が提示した概念で、「要素と要素をつなぎ合わせる人」という意味です。今回の話で言えば、技術とビジネスを、または専門家と専門家をつなぎ合わせる役割を誰かがやらなければいけない。それができるのは、一定の技術知識を備えたエンジニアというわけです。

高橋氏記事(2).jpg

From kalleboo 

「秋葉原発のアイドル」という発想が斬新だったAKB48

小難しく考える必要はありません。かつては小室哲哉が「カラオケファン」と「音楽」をつなぎ合わせてヒット曲を連発したと言われていますし、秋元康も「オタク文化」と「アイドルビジネス」とをつなぐことでAKB48を生み出しました。

どちらかの要素に精通してさえいれば、後は異なる事象とつなぎ合わせることで、ビジネスをプロデュースできるようになるのです。エンジニアも、専門の技術以外に視野を広げる好奇心を持って、さまざまなビジネスを学んでいけば、シンボリック・アナリストとして機能するようになっていけるはず。

SIerにいる若手SEの中には、プログラミングも業務知識も極めていないという点で中途半端な存在だと思っている方もいるでしょうが、その半端さを逆手に取って「異なる専門家たちの間を取り持つ究極のつなぎ役」として際立つことができれば、光明が見えてくるのではないでしょうか。

撮影/外川 孝(人物のみ)




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