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[津田大介責任編集①] 3.11後に見えたネットの未来。そして「進化」への提言

タグ : Web, コミュニケーション, ジャーナリスト, スキルアップ, ソーシャル, 地震, 業界有名人, 津田大介 公開

 
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プロフィール
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IT・メディアジャーナリスト
津田大介氏(@tsuda

「東京生まれインターネット育ち」を自称するジャーナリスト。大学在学中からITやネットに関する文章を多くの媒体で執筆。2006年から文部科学省の文化審議会著作権分科会の専門委員。2007年に「インターネット先進ユーザーの会」を設立。Twitter活用の先駆者として知られ、『Twitter社会論』(洋泉社/税込み777円)など著書多数

「これまではまだ『一部の人のもの』だったインターネットやソーシャルメディアが、初めて『国民のインフラ』になった日として、3.11は大きな転換点だった」

 

インタビュー冒頭、そう語り出した津田大介氏。過去にも、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震など大地震が日本を襲ったことは何度かあった。しかし、今回の震災では、「初めてICTが人の生き死ににかかわる問題を支援した」という印象を津田氏は持っているという。

――グーグルが3.11後すぐに立ち上げた『Google Person Finder』や、本田技研工業・トヨタ自動車・日産自動車などのデータ提供で生まれた『自動車・通行実績情報マップ』、USTREAMによるTVニュースのストリーミング配信など、今回の大地震で「ネット企業にできる社会貢献」が大きくクローズアップされましたよね。

僕個人としても、阪神・淡路や中越の時は何もできない状態でしたが、今回はTwitterで被害状況や現地からのつぶやきを多くの人に流通させるなど、わずかながら貢献できたと思っています。

津田氏記事(1).jpg

From 湯川伸矢(しんじょん)

宮城県の避難所で撮影された1枚。インターネットから得る情報は、被災者にとっては欠かせないライフラインに 

重被災地にいる被災者やご高齢者はそもそもネットに接続できないといった情報格差問題は依然残っているし、そこだけあげつらって「ネットは本質的には役に立たなかった」と揶揄する人もいます。でも、情報が届いていた人は実際にたくさんいたわけで、ネット企業の奮闘やソーシャルメディアの存在は決してムダじゃなかった。

僕は先日、気仙沼や陸前高田、南相馬など、津波や原発の被害に遭った地域に足を運んできましたが、幸いにも家が残った人たちにとって、ネットは文字通りのライフラインだったと聞いています。

例えば、テレビ塔がダメになったり、ケーブルテレビ局が丸ごと流されてTVが一切映らなかったけれど、Ustで災害報道を観ていた人はたくさんいた。水道・ガス・電気の生活インフラが断絶してしまった地域の人たちは、ケータイやネットから給水や炊き出しなどの物資情報を得て急場をしのいでいた。

震災後、東北でスマートフォンの販売率が上がっているという話も聞いているし、若者が緊急時の連絡手段として親たちにSkypeやTwitterの使い方を教えている光景を見たりすると、この震災を機に間違いなくICTへの社会的期待が一段上のものになったと実感しています。

今、エンジニアに求められる「イマジン」とは?

今回の地震は、先に挙げた『自動車・通行実績情報マップ』など、ネット上での新たな異業種連携を生んだ。そのほか、各種エンジニアがボランティアで手を取り合い、被災者支援サービスを続々と立ち上げるなど、業界全体で「知恵とテクノロジーの一大マッシュアップ」が巻き起こっている。

津田氏が注目していた、ネット企業「震災後の動き」

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※津田大介氏本人によるセレクト

 

こうした変化に津田氏は賞賛を送りつつ、今後を見据えてさらに大きな変化が起きることを期待している。引き続き警戒される余震への対応や、長期化が見込まれる原発問題を受けて、ICTが取り組まなければならない課題も見えてきたからだ。

その一つが、開発にかかわるエンジニアたちの「ニーズイメージ力」の向上だ。

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「Twitterのデマ問題は自浄作用で何とかなったが、技術的に解決する仕組みがあればより迅速に解消できたかも」

――震災情報をやりとりする上で社会インフラになっていたTwitterでは、ソーシャルの強みが最大限に活かされた半面で、デマの拡散も問題になった。これには、情報を整理できる人の少なさなど、使う側のリテラシー問題が根本にあります。

ただ、解決済みの問題がソーシャル上ではエクスパイア(失効、消去)されないという点を、技術的に解消していく仕組みがあったなら、もっと優れたサービスになっていたかもしれません。

各通信キャリアが立ち上げた災害掲示板も、あえてリクエストするならばジオタグ付きで展開してほしかった。投稿された救援依頼にGPS情報が付いていないと、救助する側は逐一場所をウラ取りしながら動かなければならないからです。災害掲示板に投稿すると、TwitterやFacebookにもAPIを通じて流れるみたいな仕組みもほしいですね。

たくさん立ち上がった災害情報サイトや復興支援情報サイトを見ても、UI的に優れたものは決して多くなかったですよね。例えば入力カラムを少なくするなど、情報発信者が情報を整理して伝えられるようなインターフェースになっていれば、被災者・支援者共にもっと使い勝手の良いものになっていたんじゃないかと思うわけです。

スピードが優先される災害対応で、こういった課題を踏まえながら開発するのが難しかったのは重々理解していますし、ネットサービスの魅力は後からどんどん改善していけるところにあります。が、これからは世間の「あったらいいな」の声を受け、時に想像しながら、それとスマートな技術とをつなぎ合わせるコミュニケーター的な役割をこなすエンジニアが今まで以上に求められるはず。

今後、世の中の防災関連サービスへのニーズは、もっと高まっていくでしょうからね。

サービスを出すことの社会的影響まで考えて開発を

ユーザーとのコミュニケ―ター的な役割をこなせるエンジニア――。これは、3.11以前のIT業界でもその必要性が叫ばれていた。だがそれは、あくまでもビジネスとしてのICT、エンタメとしてのWebサービスを前提としたもの。

 

3.11後は、社会貢献や人命にかかわる分野でのICTサービスが重要性を増していくと津田氏は予想する。そこでの「あったらいいな」は、状況に応じて刻々と変質していき、期待値もケタ違いに大きくなる。

 

この期待に応え得るエンジニアになるため、必要なものとは何か。その謎を解くヒントは、「いくつかの素晴らしい動き」(津田氏)の中に隠されていた。

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From newbeatphoto

約30万人もの死者を出したハイチ大地震での教訓が、今回の『Skype』の迅速な災害対応を生んでいた

――僕がスゴイなと感心したのは、Skypeの取り組み。地震直後、固定電話はもちろん携帯電話の通話も長時間不通になりましたが、Skypeはホントにすぐにつながった。なぜあそこまで早い段階で通話可能になったのかというと、実は2010年に起こったハイチ地震の際に通信手段が断絶してしまった教訓を受けて、災害時にどうIPアドレスを分配していくかという対応策が事前に決められていたからだと聞いています。

『YouTube』がNHKと連携して避難所の様子を配信したり、TBSやフジテレビがオンデマンドで避難所映像を流したのも、阪神・淡路大震災の時、家族や知人の安否がなかなか確認できなかった非被災地の人から「避難所の様子を映像で流し続けてくれ」という要望が上がっていたからだそうです。

これらの動きはすべて、「喉元過ぎれば」で終わらずに教訓をあぶり出し、未来に活かそうと努力してきたから生まれたもの。まだお金になるサービスにはなっていませんが、それでも「ICTが社会にできること」をマジメに考えた人がいたからこそ、いざという時貴重な情報インフラになれたんです。

この2つとは毛色が違いますが、アマゾンが始めた『ほしい物リスト』を使った物資供給なんかも素晴らしいサービスですよね。すでにあるシステムをうまく使って、被災地の人たちが本当に必要としているものを的確かつすばやく届けるという想像力が働くか否か。これも、良いコミュニケ―ターの条件だと思うんです。

津田氏記事(2).jpg

From xtcbz

津田氏自ら足を運んで撮影してきた被災地の様子。現状を目の当たりにすることで、必要なサービスが見えてくる

エンジニアの人たちも、有事になったときにユーザーが何を求めるのか知るために、被災地域が落ち着いたらどんどん現地に行ってみた方がいいんじゃないかと思います。

最後に、今回僕が改めて強く感じたのは、ICTはもっともっと世の中の役に立てるということ。

『健康計算機』を作って注目を集めた灘高生のTehuくん(@tehutehuapple) が、無料アプリの『放射能計算機』をリリースして再び話題になったように、高い技術力を持っている人たちだからこそできる貢献って、まだまだいろんな形があるはずです。

一方で、同じく放射能関連のアプリを見てみると、かえって風評被害を煽りそうなクソアプリもあったりする。震災後に生まれた新サービスの中には、今後マネタイズが可能なものもあるかもしれません。が、「本当に使えたサービス」のほとんどが、CSRの一環として生まれている。これが示しているのは、ひと山当てる感覚で、復興や防災に絡めた便乗商売をやったところで、すぐに駆逐されちゃうよってことじゃないかと。

3.11後のネット企業やエンジニアは、サービスを出すことによる社会的影響まで考えた上で動かないと、ユーザーからの信頼を得られない。今はもう、そんな時代になっているんだと思います。

取材・文/伊藤健吾(編集部) 撮影/小林 正

≪津田大介責任編集・ほかの記事はこちら≫
[津田大介責任編集②] 「震災後のICT」みんなのつぶやきで見えた、進化への3大課題

【GW緊急告知】 津田大介責任編集・第2弾に向けて”つぶやき”大募集!!
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震災後のあるべきICTと、そこで求められるエンジニア像をもっと深掘りするため、

この企画では「震災を機に必要性が高まったICTサービス」の開発者に取材していきます。

そこで、皆さんが「あのサービスの開発担当者に話を聞いてみたい!!」と

思うものをTwitterで募ります!

皆さんのつぶやきの中から、津田氏と『エンジニアtype』編集部が

興味深いものをピックアップし、取材先を決定します。

■募集する「つぶやき」のテーマ

震災を機に生まれたICT・ネットサービスの中で、

(アプリ含む)

今後の進化を期待するものは何? なぜそう思う?

■お願い

上記テーマであなたの考えをつぶやく際は、必ずハッシュタグ

#post311ict

をつけてつぶやいてください!

※もしくは、『エンジニアtype』編集部Twitterへのリプライでも可

よろしくお願いします。




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