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[連載:ひがやすを①] SIビジネス崩壊後も生き残る、「多芸SE」への道

タグ : SE, SI, ひがやすを, スキルアップ, スペシャリスト, スーパーギーク, プログラマー, 業界有名人 公開

 
OSSの先駆者・ひが やすをのSE進化論
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株式会社電通国際情報サービス  シニアITプロフェッショナル
比嘉康雄(ひが やすを)

国産OSS『Seasar』シリーズの開発などを主導してきた、SI業界を代表するアルファギークの一人。電通国際情報サービスに勤めるかたわら、さまざまな技術カンファレンス、コミュニティーに招かれて講演活動も行っている。個人ブログ『ひがやすをblog』で、SI業界や各種エンジニアへの提言も行っている

わたしが電通国際情報サービス(以下、ISID)に入社したのは1992年。そのころはまだ、メインフレーム全盛の時代でした。それから2000年代のオープンソースへと、ITは刻々と進化してきました。

にもかかわらず、それを提供するSIerの開発体制は、依然として非効率なままです。とりわけリーマン・ショック以降の劇的なビジネス環境の変化には、まったく対応できていません。

ホンネを言いましょう。受託開発に依存するSIerの労働集約型ビジネスは、完全に終わった。わたしはそう思っています。

理由はいくつかあって、まず内需が伸びない日本市場では、顧客企業のIT予算が右肩下がりで縮小していること。それに、コントロールが難しいと言われてきたオフショア開発も、最近はIBMのようなグローバルなSIerがオフショアの弱点を熟知した上でサービスを提供しているため、今後いっそう普及していくはずです。

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From niyam bhushan

オフショアの裾野がさらに広がれば、日本での実装作業はさらに減っていくだろう

開発業務だけを見れば、日本のSIerは、労働力の安い海外でのオフショア開発に価格競争で勝てるはずがありません。彼らと同じ役割しか果たせないなら、SIerのフィーは下がり、日本人SEの給料もみるみる減っていくでしょう。

つまり、受け身のスクラッチ開発に依存する限り、SI業界の未来はジリ貧ということです。グループ全体の従業員数が2300名を超えるISIDにとっても、これは死活問題。個人的には、より付加価値の高い頭脳集約集団になるしか、生き残る道がないと考えています。

SEには、本質的な価値を提供するという経験値が足りない 

そのためには、受動的な開発案件だけに頼らず、自ら利益率の高い複数のサービスを創り出す必要があります。少人数で自社開発したインフラを、たくさんの企業に長期間利用してもらうようなSaaS式の運用サービスや、コンシューマー向けの新サービスなど、幅広いサービスラインアップを用意し、それらを複合的に提供していく総合ITカンパニーとして生まれ変わるのです。

そこで大事になるのは、組織の規模や売り上げではなく、利益を生むための付加価値の追求です。

付加価値の大きさとは、海外も含めた競合他社と、どれだけ差別化しているかで決まります。ですから、例えばクラウド技術を使って、セキュリティーや信頼性の高い仮想マシンを顧客企業に貸し出すPaaS(Platform as a Service)など(多くのSIerが「クラウドサービス」と称して提供しているのはこれです)も、個人的にはあまり先がないと思っています。

既存のデータセンターをクラウド上の仮想マシンに置き換えただけの”箱貸しサービス”では、差別化が難しいし、いずれ価格競争に巻き込まれてしまうからです。

そもそも、従来型の受託開発には、作り手の技術的な創造性を発揮できる部分が非常に少なかった。顧客にシステムを提案するといっても、多くの場合は顧客に言われたことを「仕様書」という形にまとめ直しているだけで、難しい単語を羅列した資料を作っていたに過ぎません。

環境によってそうなってしまった部分が大きいとはいえ、SIerのSEには、本質的な意味で顧客に付加価値を提案するという経験値が、絶対的に足りないんじゃないでしょうか。

差別化するための一つの手段として、開発スピードを上げ、短期間で納品する動きもありますが、顧客となる企業群はそれ以上の速さでビジネスを進化させています。以前、わたしが開発を担当したあるベンチャー系証券会社のシステム担当者も、「外部に開発を全部頼んでいると、新しい商品・サービスをつくるのに時間がかかり過ぎてしまう」とこぼしていました。

ITを知らないと新しいビジネスモデルは生み出せないし、すぐに実装できないと競合他社に先を越されてしまう。今はそんな時代です。開発の内製化の動きを見ても、システム構築の主導権は、ビジネスモデルをつくる発注側企業に移っています。

芸の幅を広げるための素地はあくまでも技術力 

ならば、SIerの中にいる人たちはどうすればいいのか。わたしの持論はこうです。

SEやPGは、顧客企業のプロジェクトに最初から携わりながら、システムを作り、同時にビジネスアイデアも生み出す存在にならなければならない。実装をイメージしながら、仕様書・設計に落とし込むのがこれまでの「デキるSE」だとするならば、これからはより多芸にならなければ生き残れません。

ITを使った新しいビジネスを構想するアイデア力や、簡単なソフトならすぐに自作してしまうような高い実装能力、違った専門性を持つ人たちをチームとしてまとめるマネジメント力、特定企業向けに作ったシステムを汎用化し、横展開させるマネタイズスキルなどなど……。

これらの能力は、これまでのシステム開発で求められたスキルとはかなり異なります。現時点で身に付けているエンジニアは、ごく少数でしょう。

だから、今後もずっと「デキるSE」でいたい、もしくはそうなりたいと思うなら、すぐにでも、二芸三芸に秀でたSEを目指してアクションを起こすしか道はありません。二芸目、三芸目は、営業力やオフショア管理を含めたマネジメント力、ビジネスセンス、何だっていいと思います。自分が向いていると思うプラスアルファを、探してみてください。

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From Joi

舞良し、唄良し、気立て良し、の一流芸者のような仕事が、これからのSEには求められる!?

そして、最も気を付けたいのは、芸の1つは必ず「技術」にしておくことです。たまに、「SEには先がないからコンサルタントになりたい」と言う若手がいますが、わたしに言わせれば、そんな理由で転身するなんて逃げ以外の何物でもない。

開発の仕事が性に合わない、というのが理由ならまだ分かりますが、システムを作ることすらできない人が、ITについてコンサルティングするなんて、本来はおかしな話ですよね?

舞を踊れず、三味線も弾けない芸者は、どんな席へお呼ばれしても接待役にしかなれないのですから。

撮影/小林 正(人物のみ)




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