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『Ameba Ownd』チームに聞く、時代に合わせたサービス開発手法〜CMSを超えるオウンドメディアプラットフォーム構想とは?

タグ : Ameba, Ameba Ownd, サイバーエージェント 公開

 
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(写真左から)『Ameba Ownd』プロデューサーの堀浩輝氏、エンジニアの生沼一公氏

2015年3月18日に正式リリースとなった、誰でも簡単にWebサイトを作ることができるオウンドメディアプラットフォーム『Ameba Ownd』。

サイバーエージェントとしては初となるCMS(コンテンツマネージメントシステム)領域での取り組みだ。

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正式リリース前から著名人や有名ショップがウエブサイトを開設した『Ameba Ownd』

正式リリース前から、俳優で作家の水嶋ヒロ氏、クリエイティブディレクター・音楽プロデューサーのNIGO氏などの著名人をはじめ、カフェの『Starbucks Japan』や美容室の『SHIMA』が『Ameba Ownd』を使ってサイトを立ち上げるなどしていたことから、リリース前から注目を集めていた。

もともとインターネット広告代理店として飛躍的な成長を遂げていたサイバーエージェントが、メディア企業としても名を馳せるキッカケともなった『アメーバブログ』と同様に、著名人や有名ショップとのタッグを組んだPR戦略はひとまず成功したといえるだろう。

『Ameba Ownd』はプロデューサー、エンジニア、デザイナーなど約30人のプロダクトチームが、約8カ月に及ぶ期間を経て作成したという。2014年夏に1600人から800人に削減されたAmeba事業再編の裏側では、『Ameba Ownd』の開発が着々と進んでいたそうだ。

では、『アメーバブログ』という強大なブログサービスを持つ、サイバーエージェントが、『Ameba Ownd』という新たなサービスをリリースしたのはなぜだろうか?

今回、『Ameba Ownd』のプロデューサーを務める堀浩輝氏と開発を担当する生沼一公氏に開発の裏側を聞いたところ、『Ameba Ownd』は、ユーザーと時代の変化に伴い生まれたサービスということが分かった。そして、『Ameba Ownd』はCMSという枠を超え、オウンドメディア同士のつながりを活かして情報を拡散させていく仕組みを作るという。

一般ユーザーに普及するサービス設計を徹底

個人がインターネットで情報を発信する歴史は1990年代の掲示板から始まり、2000年代には個人ブログが主流になるなど変化を続けている。そうした時代の変化に合わせた新しいサービスが、サイバーエージェントとしても必要になったと堀氏は語る。

「今のユーザーは『Facebook』や『Twitter』など複数のSNSを使うことが当たり前になっていますよね? 市場を見ると、ユーザーとソーシャルメディアの付き合い方や、発信の仕方が変化していることを感じていました。ブログという旧来のテンプレートだけでは、ユーザーのニーズを十分に満たすことができないと考えました。

また、個人ユーザーだけではなく美容院やネイルサロン、飲食店などの店舗もホームページを持つことが当たり前。スマホ最適化も当然という時代です。ブログの場合、情報発信拠点としての表現方法に制約ができてしまうため、簡単にデザイン性の高いWebサイトが作れるサービスが必要になる。これが『Ameba Ownd』がスタートした背景です」(堀氏)

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時代の変化に伴い、ユーザーとウエブサービスの関わり方も変化したと語る堀氏

新しいユーザーを「Ameba」に呼びこむためには、『アメーバブログ』の成功体験に縛られず、新しいことに挑戦することで市場にインパクトを残す必要がある。そうした思惑もあったそうだ。

「デザインに関しても『アメーバブログ』とは異なる少々尖ったデザインを導入しました。カラーバリエーションを含めれば100を超えるカスタマイズが可能です。全てがレスポンシブWebデザインに対応しているため、マルチデバイスでの閲覧も問題ありません。また、正式リリースに先駆けて開設していただいた著名人の方々も『アメーバブログ』を開設していない方が多く、とてもフレッシュな顔ぶれだと思います。リリース後の反響も上々で、これから一般ユーザーがどのくらい増えていくのか楽しみですね」(堀氏)

デザイン性に関して、生沼氏は「初期構想段階の方が尖っていた」と付け加える。

「もっとスカした感じでしたね(笑)。Amebaを名前に入れるか否かという点でも議論が起こり、結果的にAmebaの冠が付くことに決定したことで、今のデザインに落ち着きました」(生沼氏)

「サービスの世界観を振り切り過ぎてしまうことは、対象ユーザーを狭めることにつながりかねません。先進的なデザインでありながらも間口を狭めず、操作性、機能性、全てにおいてユーザー視点に立ち学習コストを下げることで、CMSビギナーにとっても取り組みやすいサービスを目指しました」(堀氏)

技術面でも挑戦を。サーバサイドにGoを用いる

一方で、CMSの領域には『WordPress』や『Tumblr』などライバルも多い。生沼氏はこう分析する。

「『Ameba Ownd』を始めるに当たり市場調査を行った際、2つのことに気付きました。1つは多くのCMSが日本人にとって使いにくいこと、2点目が上級者向けということです」(生沼氏)

日本語未対応のCMSに関しては、ユーザーがカスタマイズ時に投げ出してしまうケースも少なくないという声もある。そして、『Squarespace』のようにWeb制作の上級者向けのCMSはWebサイト制作の知識が必須になる。これはライトユーザーにとっては大きなハードルだ。

そのため『Ameba Ownd』では、サイトカスタマイズ時の機能面やUIだけでなく、登録後のチュートリアルにもこだわったという。サービス説明時にアニメーションも組み合わさるため、プロトタイプでは理解できない点もあり、デザインチームが数回作り直すという苦労もあったそうだ。

また、アメーバピグの開発を担当していた経歴を持つ生沼氏は、「『Ameba Ownd』には技術面に関してもサイバーエージェント初の取り組みが詰まっている」という。

「Googleで開発された並列処理言語のGoでサーバサイドを構築しました。サイバーエージェントのサービスでGoが使われたのは『Ameba Ownd』が初になります」(生沼氏)

Goを選択した理由は2つあるという。まず、構想段階から規模が拡大していくサービスモデルだったということ。そして、Amebaとして久しぶりに大きなプラットフォームを開発することでの技術的な挑戦だ。

「当初はスクリプト言語を検討していましたが、開発スピードが上がる一方で、後々のメンテナンスが課題になると考えました。『アメーバピグ』でも使用していたJavaでという声もあった中で、Goを選択した理由は『新しいサービスなんだから、チャレンジしよう』ということでしたね。半分は勢いもありましたが」(生沼氏)

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『Ameba Ownd』にはサイバーエージェントとしても初となる技術が詰まっているという

生沼氏自身も業務でGoを書くのは初の試み。どう着手したのだろうか?

「Goは書きやすさよりも、読みやすさを重視している印象を受けています。また、フレームワークが豊富にあったため、取捨選択に一定期間を費やしましたね。『Ameba Ownd』では、RevelとGorilla web toolkit の2つを比較検討し、結果的にRevelを採用しました。Revelの方が“お作法”が決まっていて、スムーズに書くことができると感じたためです。

現在、『Ameba Ownd』がスタートして数日ですが、秒間100リクエスト以上が届いています。今後10倍のリクエストが来たとしてもさばくことのできる仕上がりになりました。当然、Goのサーバサイド設計について、全てを理解したという状態ではありませんが、上々の出来だと自負しています」(生沼氏)

「ただ新規プロジェクトを作るのではなく、チャレンジがあった方がチームとしても結束が高まりますし、サービスの質も上がると私は思っています。プロデュース側としても、新しい技術を取り入れることに不安な面は一切なく、エンジニアチームに任せていました。Goだけではなく、iOS版にもSwiftを使用すると聞いたときは、攻めているなぁとは思いましたけどね(笑)」(堀氏)

『Ameba Ownd』はiPhone、AndroidアプリもWeb版と同時にリリースした。時代に合わせたサービス設計だけではなく、エンジニアリングでも多くのチャレンジがあった。

世界一使いやすくてオシャレなオウンドメディアプラットフォームを目指す

2010年代に入り、ユーザーとインターネットのかかわり方はより親密になった。その時代性を捉え、使いやすさに加えて、新しい技術を取り入れた『Ameba Ownd』の目指す未来について、2人はこう考えている。

「独自ドメインの利用やEC機能も導入し、B2Bとしても活用できるプラットフォーム展開を目指しています。また、『Tumblr』のリブログ機能のように、ユーザーが気になった投稿を自分の『Ameba Ownd』に引用できる機能も検討しています。

メディアとしてご利用いただく店舗ユーザーの方々は、ホームページを作って終わりでは意味がないと思うんです。『Ameba Ownd』にアップした情報を同じプラットフォームのユーザーに向けて拡散することにより、効果的に情報発信ができる場所としてご活用いただきたいと思います」(生沼氏)

「『Ameba Ownd』は1年後に500万ユーザーを目指します。国内発のCMSでトップを取っている企業はまだ不在という状況です。世界一使いやすくオシャレなオウンドメディアプラットフォームを目指すことで、将来的に世界で勝負したいですね」(堀氏)

これまでのCMSのように孤立したWebサイトを作るためのサービスではなく、プラットフォームとしてオウンドメディア同士のつながりやユーザーの回遊を作ることで、サイトにアクセスを集めやすくし、新たな情報発信拠点としてワークする場を作ることが『Ameba Ownd』の目指す場所だ。

個人ユーザーだけではなく、「店舗」の情報発信メディアとしても活用できる『Ameba Ownd』はどのように普及していくのだろうか。今後の展開が楽しみだ。

取材・文/川野優希 撮影/小林 正




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