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大きなiPhoneに乗る感覚?うわさされるAppleの自動運転車を妄想する【連載:世良耕太】

タグ : Apple, 世良耕太, 人工知能, 自動運転車 公開

 
F1ジャーナリスト世良耕太の自動車開発探訪

F1・自動車ジャーナリスト
世良耕太(せら・こうた)

出版社勤務後、独立し、モータリングライター&エディターとして活動。主な寄稿誌は『Motor Fan illustrated』(三栄書房)、『グランプリトクシュウ』(エムオン・エンタテインメント)、『auto sport』(三栄書房)。近編著に『F1機械工学大全』(三栄書房/1728円)、『モータースポーツのテクノロジー2014-2015』(三栄書房/1728円)など

Appleが「数百人体制で電気自動車の開発に取り組んでいる」そうだ。確定情報としてお伝えできないのは、Apple自体が公表しているわけではなく、メディアが関係筋の情報として報じているからである。ここでは、ロイターの情報をもとに構成する。

最初にロイターがAppleの電気自動車開発を報じたのは、2月13日付けの発信だった。アメリカのウォールストリート・ジャーナル紙が報じた内容を伝えたもので、開発プロジェクトはTitan(タイタン)と呼ばれ、ミニバンのような形態をしたクルマで開発が進められていると報じている。

その後の報道では、Appleが自動運転車を開発しているらしいこと。バッテリーメーカーのA123システムズがAppleを相手に、技術者を不正に引き抜いたとして訴訟を起こしたこと。2020年にも生産を始めたいと考えていることなどを伝えている。

火のないところに煙は立たないが、湯気か何かを煙と見間違った可能性はある。が、あり得ないと否定する気はないし、本当にクルマを開発しているなら、これほど楽しみなことはない(開発と製品化は別の話で、研究開発は行っても、商品化に結びつかない可能性だってあるが)。

クルマとiPhoneをシームレスにつなぐ、では留まらないはず

AppleはiPhoneをクルマの中で使うための技術を実用化済みである。CarPlayだ。日本では2014年に一部の新型車から導入が始まっているし、クルマ側で対応していなくても、CarPlayに対応したアフターマーケット製品を購入すれば対応させることができる。

CarPlayを使えば、声やタッチスクリーン、車載のダイヤルやボタンなどでiPhoneのアプリ、すなわち、音楽やメッセージに電話、マップなどを操作することができる。

Appleが開発しているのが自動運転機能を備えた電気自動車だとすれば、現行のApple製品とは桁違いの高額商品になるはずだ。いくら商品がAppleらしく魅力に満ちあふれたものだったとしても、新製品が出るたびにAppleストアに行列を作って買うわけにはいかないだろう。

商品名がiCarになると決めつけるのは短絡的にすぎるかもしれないが、Appleが開発したクルマなら、iPhoneをクルマに持ち込んでシームレスにつなぐという発想ではなく、iCar自体が人を乗せて移動することのできる大きな端末になっていることだろう。iPhoneに乗る感覚だろうか。

携帯電話のような料金体系だってあり得る

そうなると、今までのクルマのような買い方でなくてもよく、スマホのような販売方法だっていいのである。端末ならぬ車両代は割賦。あるいはリース形式。通信料金や走行料金は通信量や走行距離に応じて支払えばよい。スマホのように、ヘビーユーザー向けとミドルユーザー向け、あまり使わない人向けのお得なプランがあってもいい。

そうすれば、よくよく考えてみたら結構な金額を毎月支払っているのだけれども、欲しくて仕方ない気持ちが先に立って「もう、これは絶対に必要だから全然問題ない(はず)」と、毎日口にするごはんだかパンだかの購入費と同程度に必要かつ重要な経費として生活費に組み入れてしまう感覚(すなわちこれを「マヒ」と呼ぶ)にとらわれてしまいそうだ。

実は、ある国産自動車メーカーが電気自動車を売り出そうとした際(実例が少ないので特定は容易ですね)、売り切りだと車両価格が高くなってしまうため、携帯電話やスマホの料金体系を参考にしたことがあった。そのために携帯電話事業社から料金体系のスペシャリストを雇い入れたことがあったそう。

iPhoneなら売りっぱなしでもいいが、エンジンを積んだクルマに比べて手は掛からないとはいえ、電気自動車はクルマゆえに定期的なメンテナンスは欠かせず、売っておしまいというわけにはいかない。

といって、Appleが独自にiCarの販売網を構築するとは考えにくいし非合理的で、既存の自動車販売会社へ委託するのが効率的だ。iPhoneがソフトバンクだけでなく、auやドコモでも買えるように、iCarがトヨタや日産、ホンダやマツダ、VWやBMW、メルセデス・ベンツやプジョーの販売店で売られるようになったとしても不思議ではない。

Apple“信者”のハートを動かせるか

AppleがEVの生産開始を目指しているとされる2020年は、奇しくも日産が市街地から高速道路まで、シームレスな自動運転を目指すタイミングと同じだ

日産が市街地から高速道路まで、シームレスな自動運転を目指すタイミングでAppleもEVの生産を開始するという

そもそもAppleにクルマが作れるのかという疑問もあるだろうが、シリコンバレー生まれのテスラを体感してしまった今となっては、心配は無用と答えるほかない。開発や製造技術は既存の企業で技術を会得したエンジニアを雇えばいいのだし、アウトソースしたっていい。

自動車専門のエンジニアリングコンサルタント会社に希望を伝えれば、希望に添った仕様で「クルマ」を仕上げてくれる。雨風やほこりが車内に侵入するのを防ぐウェザーストリップの仕様など、クルマづくりの経験がないAppleに分かろうはずがない。だが、そんなことはウェザーストリップの専門家に教えを請えばよく、ウェザーストリップの都合にあった車体設計はどうすればいいのかまでアドバイスしてくれる。

AppleがEVの生産開始を目指しているとされる2020年は、奇しくも日産が市街地から高速道路まで、シームレスな自動運転を目指す(つまり、運転操作の完全自動化を実現)タイミングと同じだ。

対向車がいなければ歩行者もなく、信号もなければ交差点もない高速道路で自動運転を実用化するのに比べ、市街地で自動運転を実用化するのは、相当にハードルが高い。物体を正しく認識するだけでなく、人やクルマがどう動こうとしているのか正確に予測しなければならず、高度な人工知能を必要とする。

自動運転が自動車会社の専売特許ではないことは、やはりシリコンバレーの住人であるGoogleが証明しているが、2020年には実現すると宣言している日産でさえ、クリアすべきハードルの高さと量を考えたら間に合うかどうか……と弱気にもなろうというのに、これから本腰を入れて開発するAppleに自動運転の実用化が可能なのだろうか。

もっとも、ユーザーとしては自動運転が可能かどうかが問題なのではなく、PowerBookやiMacが出たときのように、あるいはiPodやiPhoneが出たときのように、反射的に「これ欲しい!」と思わせるクルマを製品化してくれるかどうかの方が重要だろう。と、20年来のAppleユーザーとして期待しておく。

買ってしまうのかな〜。

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