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[連載:Data Scope] 業務系SE、Web業界への転身で年収100万円アップの可能性大

タグ : 20代, 30代, ITコンサル, SE, Webサービス, アプリ開発, プログラマ, 年収, 転職 公開

 

「年収が下がった」。リーマン・ショック以降、さんざん耳にしてきたこのセリフ。実際、世の中のエンジニアの年収はどれだけ下がっているのか? また、今後上がる可能性は? 転職市場の最新動向から、今ひそかに広がりつつある”年収アップのパターン”が見えてきた。

転職市場では好調Web業界が20代エンジニアの年収アップをけん引

下の図1を見てほしい。これは、20代~30代の転職者が、転職決定時に入社先から提示された年収額を時系列で表し、前職の職種別に比較したものだ(注:転職後の職種は前職の職種と違う場合もある)。2007年以降、全体的に低調に推移していることがわかる。

図1(20代・30代).jpg

出典:『「typeの人材紹介」における、20代~30代職種別転職決定時年収の推移』(株式会社キャリアデザインセンター CDC総合研究室)

 「typeの人材紹介」の20代~30代登録者の職種別転職決定時年収を任意抽出して集計(2011年は1月~2月)。技術系職種以外も含めた全職種の転職決定時の平均年収(破線部)は、2011年時点で457.6万円

中でもITコンサルタント・アーキテクト等は、この5年で100万円近くも年収がダウン。2000年代初めには、ITエンジニアのネクストキャリアとして人気を集めていたITコンサルだけに、その凋落ぶりが目立つ。

しかし、20代のみでデータを抽出してみると様相は一変。図2のITコンサルタント・アーキテクト等の年収推移を見ると、リーマン・ショック後の2009年に落ち込みが見られるものの、翌年以降は劇的に回復している。なぜか? これにはカラクリがある。

図2(20代).jpg

全体傾向はゆるやかな右肩下がりなのに対して、ITコンサルタント・アーキテクト等だけはV字回復を見せ、2011年には482.2万円まで持ち直している

実はこの「ITコンサルタント・アーキテクト等」の転職者、前職とは違う業種・職種へ転身したケースが少なくない。行き先は、Webサービス企業だ。

SNSやモバイル関連で急成長しているWebサービス企業は内製化傾向が強く、若手エンジニアを中心に中途採用にも積極的。業績好調を維持しているため、当然ながら給与水準も高い。ただし、開発のスピード感は業務系システムの比ではない。求める人材は、上流から下流まですべてを一人で完結できる力量がある、フットワークの軽い若手だ。

Webシステム開発のプロジェクト経験、もしくはシステムの種類は問わず全体設計から開発までを手掛けてきた経験を持つ若手ITコンサルやチームリーダークラスのSEなら、業務系システム開発のみでアプリ開発に携わったことがなくとも採用に至るケースは珍しくない。

転職者にとっては、年収アップだけでなく、新しい技術をキャッチアップできるWebアプリ開発という仕事そのものも大きな魅力。Web業界への転身を希望する「ITコンサルタント・アーキテクト等」層は増えつつあるという。

業務系SEはWebシステム開発経験の有無で「100万円」の格差

一方、前述の要件を満たせず、経験不足から大手Webサービス企業への転職が難しいとされるSE・プログラマもいる。つまりはWebシステムの開発経験が浅く、上流から下流までを一気通貫で手掛ける機会に恵まれず限られた業務範囲にしか携わってこなかった層だ。

彼らの中には、いったん年収を下げてでも、採用条件がゆるい小規模Webベンチャーへ転職してアプリ開発の経験を積み、次に大手へのステップアップ転職を狙う、という動きも出てきている。

その背景には、景気低迷による業務システム開発案件の減少や、自身の技術スキルの陳腐化、今後のキャリアへの不安がある。Webサービスという無限の可能性を秘めたフィールドでこれからは力を試したい、という思いから転身を志す業務系SEは決して少なくない。

図2のSE・プログラマの2011年の転職決定時年収は362.5万円。ITコンサルタント・アーキテクト等は482.2万円。前者はWebサービス企業への転身が現時点では難しい層、後者は可能な層と考えると、両者には実に100万円以上もの年収差が生まれている。スキルと経験の不足を補えば、この差を一気に縮められる可能性は十分にあるのだ。

30代ITコンサルの求人も2011年後半から本格化の兆し

では、30代の技術系職種の転職時決定年収はというと、明確に右肩下がりの傾向が見て取れる(図3参照)。ITコンサルタント・アーキテクト等は、2007年時点で700万円を超えていたのに対し、2011年では約200万円も下落。これはリーマン・ショック以降、プロジェクトの減少により残業時間の短縮や賞与支給額が低下したこと、また特に30代は管理職比率が高く、会社の業績低迷が個人所得にダイレクトに反映することが多いなどの理由がある。

図3(30代).jpg

2007年は、ITコンサルタント・アーキテクト等725.5万円、SE・プログラマ531.4万円。約200万円の差があったが、2011年には前者538.3万円、後者525.8万円とほぼ同水準に

また、コンサルティング企業におけるITコンサルの業務内容が、上流工程の設計からアウトソーシング業、つまり運用コンサルへとシフトしていった背景があり、そもそものITコンサル職の給与水準が低下したことも大きく影響している。運用コンサルは従来のITコンサルよりも技術スキルが重視されるため、30代のベテランSEが運用コンサルへ転身し、年収が上がるケースも多く見られる。図3で、2011年のSE・プログラマとITコンサルタント・アーキテクト等の転職決定時年収が近似しているのはこのためだ。

2011年以降、社内インフラ更新やクラウド対応に加え、2013年に向けたIFRS、電子行政強化などによるプロジェクトの増加、また震災を経てさらに見直しと強化が図られるであろうグリーン・イノベーションなど、ITコンサルの本業である上流工程の設計が必要とされる場面が増えてくる。ITコンサルの求人増加が見込まれると同時に、給与水準の回復も期待できそうだ。

もちろん、今後求められるITコンサルの役割は、かつてのそれより複雑化・進化したものになるはず。加速度的に進んでいるビジネス・雇用のグローバル化を受け、マネジメントの手腕がますます問われていくことは間違いない。経験・スキルの豊富なベテラン30代SEが創る、進化版ITコンサルが新たな花形職種として耳目を集めるのも、そう遠い先の話ではないだろう。

取材・文/福井千尋(編集部)




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