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あふれる美少女愛!DeNA『ハッカドール』開発陣が実践する「好きを仕事にする方法」

タグ : DeNA, ニュースアプリ, ニュースキュレーション, ハッカドール 公開

 
DeNA『ハッカドール』プロダクトオーナーの岩朝暁彦氏(左)とiOS/Android開発エンジニアの広瀬裕規氏

DeNA『ハッカドール』プロダクトオーナーの岩朝暁彦氏(左)とiOS/Android開発エンジニアの広瀬裕規氏

名刺には美少女のイラストが全面に。肩書きを尋ねれば、「エンジニアは副業で、主な業務は美少女スペシャリスト」との答え。オタク向けニュースキュレーションアプリ『ハッカドール』開発チームの面々からは、まぶしいくらいの「美少女愛」が伝わってくる。

愛を形に、好きを仕事に――。

すべての職業人が一度は夢見ながら、さまざまな現実に突き当たり、あきらめてきた難題を、DeNAが誇る「美少女スペシャリスト」たちはいかにして実現したのだろうか。『ハッカドール』開発秘話とともに、その仕事哲学に迫った。

オタク業界に役立つことを。コンテンツとユーザーの橋渡しに

オタク業界が抱えていたコンテンツとユーザーのミスマッチ解消を目指して作られたニュースキュレーションアプリ『ハッカドール』

オタク向けニュースキュレーションアプリ『ハッカドール

プロダクトオーナーの岩朝暁彦氏とiOS/Android開発エンジニアの広瀬裕規氏。異なる部署に属していた2人が2013年夏、「美少女アニメ好き」という共通項によって引き合わされた。

美少女ゲームに特化したゲームプラットフォーム『美少女Mobage』を部署横断的なプロジェクトとして立ち上げ、初めてコミケの企業ブースに出展。好評を得たことで、さらなる事業展開の話が持ち上がった。

それが今回の『ハッカドール』だ。

オタクコンテンツを消費するユーザーとして、またさまざまな美少女版権を扱う事業責任者として、岩朝氏は業界に関する、ある問題意識を持っていた。

「オタク向けのコンテンツの点数はどんどん増えている。ゲームもたくさんリリースされるようになり、マンガの出版点数はうなぎのぼり。それでも、総売り上げは横ばいなんです。つまり、1点あたりの売り上げはすごく減っている」

出版社の側から見ればハズレの可能性が高く、儲かりにくい構造。ユーザー側から見ても、点数が増えている分、自分に合うコンテンツと出会いにくい状況になっているという。ゲーム、アニメ、ライトノベル……どれも置かれた状況は似たようなものと岩朝氏は言う。

コンテンツとユーザーのミスマッチを解消したい――。その一心から、『ハッカドール』の構想は生まれた。

「GunosyやSmartNewsと同じニュースキュレーションといっても、われわれがターゲットとするオタクは大きく見積もっても国内2000万人。マスメディアを目指す他のサービスとは競合しないと思っています。『ハッカドール』が目指すのは、コンテンツとユーザーを結ぶ幹線道路、ハブ空港のようなものなのです」

美少女愛を陰で支えるDeNAのデータ解析技術

「オタクのために、業界に役立つことをやって、結果としてユーザーとかお金とかがついてくるサービスがもっともっとあっていいはず」(岩朝氏)

外資系コンサル出身の岩朝氏。「業界のために役立つことをやって、結果としてユーザーとかお金とかがついてくるサービスがもっとあっていいはず」

「オタク業界のコンテンツとユーザーのマッチング」を掲げた当初、岩朝氏はその実現は難しいだろうと考えていた。出版社には出版社の論理、ゲーム会社にはゲーム会社の論理がある。長く業界が抱えてきた課題を解決してそれぞれをつなぐには、それこそ「魔法」でもない限り不可能だと。

しかし、「魔法」のようなテクノロジーは社内にあった。

「広瀬やサーバエンジニアらと話をしているうちに、要素技術はあることが分かってきた。それは、DeNAが過去にゲーム事業などを通じてたくさんのデータを取り扱ってきたからゆえです」(岩朝氏)

広瀬氏は、「ビッグデータの解析専門チームとガッチリ組んだのが大きかった」と振り返る。

例えば、『ハッカドール』の要素技術の中心にある検索エンジンシステムは、ユーザーの好みに応じた情報を「いい感じ」に持ってくる。

「いい感じ」とはつまり、まとめサイトなのかニュース記事なのか商品紹介ページなのかを日本語解析によって判断し、ユーザーが好きな種類のページをレコメンドするということだ。

この裏側では、検索エンジンに『ニコニコ大百科』と提携してオタク向け辞書を落としこみ、その上でユーザーのアクティビティデータを基にした最適化処理を行っている。これは、正しくデータを分析し、チューニングできるチームがあって初めてできたことだ。

「精度を上げるにはユーザーのデータをたくさん取らなければならないので、ユーザーに多くのアクションを促す必要がある。そのため、使いやすさや、アクティビティそのものの楽しさといった、UI/UXの作りこみにはかなり力を入れました」(広瀬氏)

ニュースアプリのUI/UXの最適解をめぐる議論

「システム的なものを表に出さずに人間的に見せること、ニュースアプリの基本として読みやすさを押さえることにこだわった」(広瀬氏)

美少女ゲーム2000本のプレー経験が活きていると話す広瀬氏。「UIは人間的に見せることと読みやすさに徹底してこだわった」

『ハッカドール』のUI/UXに関するこだわりは、大きく分けて2つあるという。

「一つは、システム的なところはあまり表に出さずに、人間的に見せるということです。キュレーションや分析の世界は一般の方になじみのない、専門的な言葉が多い。そういったものをできるだけ排除するように心掛けました」(広瀬氏)

例えば、初期設定で好きなジャンルを登録するキャリブレーションは、「好きなものを(バーチャルキャラクターの)ハッカドールちゃんに教える」といった表現にした。

「せっかくオタク向けのアプリなので、かわいい女の子を全面に出し、育ててあげるとどんどん自分のことを理解して、自分のために好きな記事を持ってきてくれるといった見せ方にこだわりました」(広瀬氏)

もう一つは、ニュースアプリとしての基本、記事の読みやすさを押さえること。

ユーザーによっては、アプリ内で完結せずに各媒体に飛ばす仕様を嫌がるケースがあり、記事を提供している媒体側は逆に、自社サイトに誘導できなければメリットが薄れてしまう。こうしたユーザーと媒体の間で板挟みになるジレンマは、どのニュースキュレーションアプリも直面している課題だろう。

この問題に対して『ハッカドール』が導き出した最適解は、「すごく快適に、ストレスなく媒体ページに飛ばす」というものだ。

「われわれが『ハッカドール』としてのUIを大切にしたいのと同じように、各媒体主も自分たちの世界観を大切にしているはず。アイドル系アニメのサイトなら華やかなイラスト、評論ならもっとシックなデザイン。こういったものを十把一絡げにするのは良くないというのがわれわれの考えです。だったらWebサイトにストレスなく連れて行き、またストレスなく帰ってきてもらえるものを作ろう、と」(岩朝氏)

そこでユーザーの行動の一歩先を読み、テキスト系の情報は一箇所にまとめてダウンロードし、ページ遷移をスムーズにすることを心掛けた。興味のある記事でさえあれば、ほとんどのユーザーが「続きを読む」ボタンを押すはずという前提に立ち、Webビューをバックグラウンドで先読みする処理も行っている。

実際、約50%のユーザーが、記事の検索結果からWebサイトの本文へと遷移しているという。

「できること」と「やりたいこと」と「やるべきこと」

どんなに過酷でもアイデアが尽きない自分たちの開発体制を、両氏は「モチベーション駆動開発」と呼ぶ

どんなに過酷でもアイデアが尽きない自分たちの開発体制を、両氏は「モチベーション駆動開発」と呼ぶ

「実際、好きを形にするというのは本当に難しいことです」と岩朝氏は深くうなずく。

「例えば、自分のような版権をお借りする立場の場合、一級品のアニメの制作者やライトノベルの作者に対して、なぜゲーム化しなければいけないのか、なぜDeNAと一緒にやらなければいけないのかを説明することになります。それは、まさに好きを形にしている人たちに対して、負けないくらいに好きを形にするという熱を示す行為なわけです」(岩朝氏)

その際に重要なのは、「できること」と「やりたいこと」と「やるべきこと」のバランスであると続ける。

「いろいろな会社を見ていて、『できること』と『やるべきこと』をやる会社は多いが、そこに『やりたいこと』がないから、熱量が下がってしまって最後の踏ん張りが効かないという例は多いと感じています。でも反対に『やりたいこと』ばかりだと独りよがりのものができ上がってしまう。1人で見るのか、チームで見るのか、第三者の目を借りるのかはケースバイケースですが、そのバランスを担保することが、好きを仕事にする上では不可欠なのではないでしょうか」(岩朝氏)

実際、『ハッカドール』は短い開発期間の中でも、50人規模のユーザーインタビューやβテストの操作モニタリングなどを通じて、独りよがりにならない体制作りを心掛けてきたという。

では、エンジニアの視点から見た「好きを仕事にする」コツとは何か。

広瀬氏はそれを、「志を同じくする他の職種の仲間の存在」であると表現する。

「『ハッカドール』はチーム専属の10人とは別に、さまざまなスキルで随時チームを助ける他部署の『美少女スペシャリスト』10人によって成り立っています。今回、私は幸運にもエンジニアリングと美少女という大好きな2つのものが重なったわけですが、それだけではおそらく、独りよがりのものになっていた。志を同じくする他の職種の仲間が、好きをビジネスにつなげてくれたと思っています」(広瀬氏)

好きを仕事にすることの最大のメリットは、尽きることのないモチベーションだ。

「太陽の光を浴びない毎日はもちろんつらいですが、それでもモチベーションもアイデアも、メンバーそれぞれから次々と沸いてきます。僕らはそれをモチベーション駆動開発と呼んでいます。エンジニアという一つの道を進んでいったら、もう一つ自分が大好きな美少女とつながり、iOSだけだったスキルも、Android、Webのゲームへと広がっていきました。この先も信じて歩み続けることで、例えばプロジェクトマネジャーの道が開けるかもしれない。その時には自分自身はもちろん、周りも巻き込んでモチベーションを上げられるようなエンジニアになっていたいですね」(広瀬氏)

取材・文・写真/鈴木陸夫(編集部)




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