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DMM.com松栄立也氏が提唱する「場に存在し続け、生み出し続ける勝利学」【特集:New Order】

タグ : DMM.com, DMM.Make AKIBA, DMM.make ROBOTS, 松栄立也 公開

 
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(写真左から)DMM.com代表取締役社長の松栄立也氏、ロボット事業部長の岡本康広氏

「半年後には、『ロボット事業はもう古いよね?』なんて言っているかもしれませんよ(笑)」。

穏やかな顔でこう語るのは、DMM.comの代表取締役社長、松栄立也氏だ。

オンラインDVDレンタルサービス事業に始まり、オンライン通販、電子書籍、オンラインゲーム、オンライン英会話、オンラインFXを手掛けるなど、多角的なビジネスを展開しているDMM.com。

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2015年4月1日より、『DMM.make ROBOTS』はスマートロボットの予約販売を開始した

2013年には『DMM 3Dプリント』事業を立ち上げ、その後東京・秋葉原に総額10億円を超える機材を扱えるモノづくり拠点『DMM.make AKIBA』を設立。テレビCMでビートたけし氏を起用して業界の注目を集めたかと思えば、今度はスマートロボットキャリア事業を発表した。

目まぐるしく新規事業を興すDMM.comが持つ、市場参入と市場創造への考え方とは何か? そして、スマートロボットキャリア事業はどう展開していく予定なのか。

松栄立也氏とロボット事業部長の岡本康広氏に聞いたところ、会社として、人として、「新しい場」を生み続けることこそが勝利への鍵であるという。

職人肌のメーカーに代わり、販売を担う

―― 世界初のスマートロボットキャリア事業『DMM.make ROBOTS』の発表は、多くの注目を集めました。反響はいかがでしたか?

松栄 とてもいいですよ。特に理系の男性からは多くの支持を得ることができたと感じています。技術に興味のある方から大学教授まで。中には小学生もいます。

―― 未参入のロボットメーカーからはいかがでしたか?

岡本 各ロボットメーカーからお声掛けいただく機会はありましたが、新しく参入したいという声は想像の範囲内でした。

記者発表では多くのメディアが集まり、ありがたいことに注目を浴びましたが、発表以降はロボット発売に向けての準備を含めて、PRをあまり行っていません。こうした状況を含めて今、ロボットメーカー各社はDMM.comのことを「静観」しているという印象です。

当社としては、ロボット発売の5月に合わせてPRを含めて盛り上げていくので、取引のないロボットメーカーからお声掛けいただくのは、このタイミングではないかと考えています。

―― では、DMM.comとしてロボットを開発するのではなく、ロボットキャリア事業に発展させた理由をお聞かせください。

岡本 そもそも富士ソフトの高齢者介護施設向けロボットのPALRO(パルロ)を知り、調査するところからDMM.comのロボット事業はスタートしました。

市場調査のため多くのロボットメーカーに足を運んだ結果、2つの発見がありました。1つはどのロボットメーカーを見ても、素晴らしい技術力を保有しているということ。もう1つが、ビジネスに不慣れな点があるということです。

ロボットメーカー各社は、ロボットを販売すること以上に「動きや人工知能」などの機能に目が向いている。そんな職人肌な会社が多い印象を受けました。

―― 商売よりも、モノづくりに全力を投じている姿勢を目の当たりにした、と。

岡本 ええ。プロダクトは素晴らしいのにビジネス化できない点は、ロボット業界全体の課題だと感じました。そのため、EC販売やプロモーションが得意なDMM.comが販売を行うことで、各ロボットメーカーが研究開発に没頭できる場を作ろうと考えました。

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ロボットメーカーの実態を知ることで、ロボットキャリア事業は誕生したという

これが、DMM.make ROBOTSの原点だと言えますね。

―― これからロボットが普及するためには、何が必要になるとお考えですか?

岡本 普及のために必要な要素として2つ考えています。1つが、日本や海外のマーケットにロボットを展開する「ロボットプラットフォームの構築」。2つ目にスマートロボットの行動解析データの蓄積や分析、AIシステム構築、バージョンアップを行う「DMMロボティクスクラウド」です。

ただ、個人的にはこうした手段以上に大切なことがあると考えています。それは、とにかくやってみるという行動です。

ソフトバンクが『Pepper』を発表したり、以前はSonyが『AIBO』を作ったりと、“点”としてロボット事業を行っている会社はあります。しかし、我々が行うロボットキャリア事業のような、ロボット業界全体を巻き込む動きはこれまでになかった。

ですので、DMM.comがキャリア事業をやってみることで、日本のロボット業界に変革が起こる可能性を1%でも生むことができると考えています。

当たり前だと思う方も多いかと思いますが、行動しなければ1%を作り出すことはできません。1%を作り、数字を積み上げていくことが、DMM.make ROBOTSの目標。

まずはPR的な側面も含め、ロボットが身近であることをユーザーに伝えていきたいと考えています。

新規事業を興し続けているDMM.comの秘密

―― 新規事業を興し続けるDMM.comという組織についてお聞かせ下さい。なぜ、幅広いジャンルで新規ビジネスへの参入を続けるのですか?

松栄 語弊のある言い方かもしれませんが、一つ一つの事業に対し、ものすごく深いポリシーを持って事業を行っているわけではないんです。世の中の潮流に対して、機敏に会社の舵を取るためにやっている。そんなイメージですね。

例えば、DMM.make ROBOTSの発表以降、中高生の修学旅行で『DMM.make AKIBA』を見学したいという声が届くようになりました。日本の先端技術が集まっている場があるということで、中高生や教員の方々にも興味を持っていただけるようです。

この話然り、「市場に参入するということ自体が価値を生む」というのが、DMM.comの考え方です。

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常に市場を開拓することが、勝利の鍵だと語る松栄氏

―― 常に「場にいる」ことが大事だと?

松栄 そうです。例えば、DMM.make AKIBAはロボットキャリア事業のために作った場ではありませんでした。「DMM.comが最先端の機械を取り揃えた場を作りました。技術者の皆さん、休日を使って、何か面白いものを作ってみませんか?」という場所なんです。

以前存在した、著名な漫画家が居住していたトキワ荘のようなイメージですね。

ロボットというアイコンをDMM.comが持ったことで、会社の印象は変わりました。映画監督、音楽家の方々のような権威たちが、DMM.make AKIBAを見に来ています。これは、スマートロボット事業をDMM.comが始めて注目を浴びた結果、できたつながりだと思います。

―― DMM.make AKIBAとロボット事業が組み合わさったことで、異業種の方々からも注目を浴びたということですね。

松栄 DMM.make AKIBAにある工作機械の量や質では、右に出る場はないと自負しています。メーカーの方とお話ししていても、「どうして、この機械があるんですか!?」という具合です(笑)。基本的に何でも作れてしまうため、監視には相当力を入れていますけどね。

1976年に、秋葉原駅のラジオ会館7階にマイクロコンピュータ普及の拠点として『NECビット・イン』が開設されたことはご存知ですか? 当時、一部の子供たちの中では聖地と呼ばれるくらい人気のスポットでした。

それが今、形を変えてDMM.make AKIBAが生まれたことで、こうした拠点に改めて注目が集まったことにも、喜びを感じています。

ちなみに、DMM.make AKIBAはブランディングの一環として行っているため、突き詰めると赤字でもしょうがないと思っていました。にも関わらず、単月黒字になったことには驚きました(笑)。やはり、まずは参入すること自体が大切だと考えます。

岡本 DMM.make AKIBAは、2014年11月に「総額10億円の機材が使えるモノづくり拠点」としてオープンしました。社内でロボット事業の検討がスタートしたのが、2014年の9月ごろ。全てが平行ではないですが、順々に発表をすることができました。

DMM.make AKIBAという場所は作ったものの、モノづくりイメージとして、家電なのかガジェットなのか? と、イメージが浸透していないところに、馴染みのあるロボットが後から付いてきた。この相乗効果は大きいものだと実感しています。

―― 成功要因は後から付いてくることもあるということですね。では、DMM.make ROBOTS以外の事業ではどうでしょうか? 最近は『艦隊これくしょん~艦これ~』の大ヒットも注目されましたが。

松栄 『艦これ』や『刀剣乱舞』がヒットしたのは運の要素が強いです。いろんなことに挑戦していたからこそ、その中の1つ2つが当たった結果だと思います。社として、もちろん努力は重ねてきましたが、戦略的に狙って大成功というわけではありません。

先ほど岡本が申した通り、私も「やるか、やらないか」が最も大切だと思っています。動いた後で分かることも多いからです。

例えば、戦国武将や『艦これ』で使用した戦艦の版権ってどうなっていると思います? 実は版権が存在しないんです。

―― 企画を出して動かなければ、知り得ることのできない情報もあるということですね。

松栄 100個アイデアを出して、市場に参入する。そして、1つが当たればいい。これがDMM.comとしての考え方です。だからこそ、失敗を怒ることや、「責任を取ってほしい」なんて絶対に言いません。チャレンジしなければ、1%の可能性も作ることができませんから。

今後、新しい市場を作る、プロセスを変えるなど業界を変革するアイデアが思い付いたら、即行動することをお勧めします。もしもDMM.make AKIBAで業界を変革するようなアイテムを生み出したら、DMM.comの名前を少しだけでも出してくださいね、って(笑)。

ロボットは人を進化させるもの

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松栄氏が考えるロボットの未来とは?

―― ロボットの未来はどうなっていると松栄さんはお考えですか?

松栄 ロボットにはある意味、期待していません。しかし、人間を進化させることにつながると私は考えます。

例えば、将棋の電脳戦。チェスに関しては取った駒は復活できませんが、将棋は取った駒を盤に戻すので、パターンが膨大になります。そのため、機械は人に勝てないということが一般的した。

でも、ご存知の通り、最近では人間が負け続けていますよね。

「人間はコンピュータに勝てなくなったのか?」。そんな声も出ている中で、名人の羽生善治氏がこうおっしゃっているのを耳にしました。「人間が無意識に排除してた手を使ってきたことでロボットに敗北したわけですが、試合を目の当たりにした人がそれを学習し、対応できるようになり、結果、もっと強い棋士が出てくる」と。

また、ポケットベルから携帯電話、スマホなど、どんどん人が使う機械は進化をしています。今のスマホとポケベルを比べると、非常に不便なものでしたよね。最初は数字しか送信できませんでしたし。

この不便さがあったからこそ、ユーザー側に創意工夫が生まれたとも言えます。機械に合わせて、人が進化したんですね。

―― では、今後のロボットはどう変わっていくとお考えですか?

松栄 今はロボットを人に近付けよう、近付けようと努力していますが、完璧にまで届いた時、おそらく劣化させるようになると思います。便利になり過ぎると、機械を通じて人が進化できなくなってしまうためです。

ひょっとすると、今のルンバのように何かの機能に特化してる方が、人の役に立ち続けるのかもしれませんね。

―― 貴重なお話をありがとうございました。

>> 特集「New Order~現代のゲームチェンジャーたち」記事一覧

取材・文/川野優希(編集部) 撮影/竹井俊晴




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