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えふしん氏が考える、日本におけるFinTech普及のカギとは

タグ : FinTech, TechLION, えふしん 公開

 

2015年元日に、日経新聞紙面に「FinTech」の文字が躍ってから約1年。

金融系サービスを扱うスタートアップが次々と登場し、そのサービス自体はもちろん、ブロックチェーンのように付随する技術もホットワードになるなど、さまざまな分野のエンジニアから注目を浴びている。

そんな中、「EC・決済最新動向」をテーマに2016年1月17日に開催された『TechLION vol.24』では、ビジネスサイド・セキュリティサイドの有識者を招き、FinTechに関するトークが展開された。

ゲストの1人として登壇したのは、EC出店プラットフォーム『BASE』や、オンライン決済API『PAY.JP』を提供する株式会社BASEのCTO、えふしんこと藤川真一氏。

えふしん氏のトークでは、自らがFinTechを手掛けるスタートアップのCTOという立場だからこそ見える、日本でFinTechを普及させるための持論が話された。

24回目を迎えた『TechLION』。会場は多くの観客で埋め尽くされた

24回目を迎えた『TechLION』。会場は多くの観客で埋め尽くされた

日本社会とFinTechの相性はイマイチ?

日本で「FinTech」という言葉が耳目を集めるきっかけとなったのは、2014年2月のビットコイン交換所Mt.Goxの倒産だろう。

その影響で、ビットコインと聞くといまだネガティブなイメージを抱く人がいるかもしれない。しかし、そのビットコインのバックグラウンドの技術が今、注目を集めている。えふしん氏はその技術「ブロックチェーン」について、次のように話す。

「僕の解釈では、ブロックチェーンとは世界各地にサーバを置き、相互監視のもと、取引の記録を蓄積することで改ざんリスクやデータ消失のリスクを分散する技術。これを用いれば、人間が介入しなければできなかった与信審査などの仕事を自動化できるかもしれない」

事実、先行するアメリカのFinTechサービスが対象としているユーザーは「機械化しないと、とてもじゃないけど手が回らない人たち」だとえふしん氏は言う。

「人間が介入しなければいけなかった仕事をFinTechで補えるようになると、その恩恵を一番受けるのは低所得者向け融資や中小企業への融資の与信など、案件数が多い仕事です。また、金融技術が完成していない国ともFinTechはマッチします。金融技術が成熟している国は、規制が多く、破壊的技術が生まれにくい。そもそもインターネット産業は発展途上国との相性が良いんです」

えふしん氏がFinTechと相性が良いと考えるのが、低所得者向け融資を手掛けるビジネスだ。しかし、日本では次の理由から相性が良くないかもしれないとえふしん氏は予測する。

「普段、日本で暮らしていると感じませんが、例えば、大学生でもクレジットカードを持てたり、ローンを組めたりと、日本はとても信用力が高い国。また、金利の上限が決められているなど、貸金業者においての規制が強く、他国のようにはいかないかもしれません」

大手金融会社との協業から得た学び

では、日本でFinTechが成立するにはどのような条件が必要なのか。えふしん氏は、日本のネット企業が金融ビジネスに参入して成功している例として、楽天の例を挙げた。

「楽天カードのビジネスモデルはFinTechの教科書と言ってもいいくらいの好例だと思います。楽天カードの特徴は、低い審査条件でカードを作れるものの、滞納などの不備があった場合はすぐに凍結されるということ。また、利用者にリボ払いをアピールし、金利を稼ぐという収益モデルをとっています。さらに上手なのは、楽天市場や楽天銀行など、グループ内でカードの利用機会を多く作っていること。これらのビジネスモデルはサブプライム層を相手にした時のリスクを運用とテクノロジーでクリアした最たる例と言ってもいいでしょう」

では実際、えふしん氏が携わる『BASE』と『PAY.JP』では、どのようにしてFinTechの潮流を作ろうとしているのか。

「『BASE』と『PAY.JP』において共通するビジョンは、お金や経済の流れを作ることなんです。『BASE』は実店舗がEC化する入り口として使ってほしい、『PAY.JP』は誰もが簡単に決済できるようになってほしいという思いがあります。だからこそ、手数料は0円にできるだけ近づけて、超薄利多売でより多くの人に利用してもらい、大きな潮流を作りたいと思っています」

この手数料を0円に近づけるという収益モデルは、大手金融会社との対話から見出したものだ。

「大手と組むことで得た気付きは大きい」と話すえふしん氏

「大手と組むことで得た気付きは大きい」と話すえふしん氏

「現在は三井住友カードなど、大手金融系企業とパートナーシップを結んでいます。加盟店審査の厳しさ、避けられない手数料の部分、ネット特有ビジネスとの折り合いの難しさなどを知りました。もちろんこれは、金融業なら避けては通れない道だと思うのですが、一方で、インターネットの時代ではもっと良い方法があるんじゃないかとも思うんです。この信頼性の担保を僕らで行うことができないかと模索しています」

そのために、将来的にはビッグデータ解析を用いた、事業戦略も構想しているという。

「すごく難しいことなのですが、『このお客さんは悪いことしないよ、信頼できるよ』ということをテクノロジーで証明できれば、もっと価値の高いサービスになると思っています。また、『PAY.JP』の加盟店であるショップの方々が、どのような商品が売れているのかなど、スコアリングして判断できるロジックを作ることができれば、それに付随するリスクなどもまた、スコアリングできるようになるはず」

技術オンリーではなく、技術+ビジネス視点で信用を勝ち取る

大手金融系企業と協業することによって、見えたことはこれだけではない。それは、日本でFintechスタートアップを起業する上でも、踏まえておかなければならない周囲の「期待」とも言えるものだ。

「パートナー企業が僕らに期待していることの一つに、ミッションクリティカル性とスピード感の両立があると思います。大手企業がFinTechを始めようとすると、いきなり数千万人規模の対象ユーザーを抱える可能性がある。金融はミッションクリティカル性が高いため、スタート時点での規模が大きければ大きいほど、システムを改善する際のリスクも大きくなりますよね。つまり、スピード感をもって改善を施しにくくなる。対象ユーザーが少なくスタートできるのは、スタートアップならではの強みなんです」

UXを速やかに改善し、スマホやネットユーザーを取り込めることは、大手にはできない、スタートアップだからこその生きる道だ。しかし、技術力は必要条件に過ぎないとえふしん氏は続ける。

「もし日本でFinTechのスタートアップを起業したい人には、エンジニアサイドだけでなく、ビジネスサイドの人間を入れることを薦めたいです。『PAY.JP』は『Pureca』というサービスをM&Aで獲得して作ったサービスですが、その『Pureca』と『BASE』はどちらも学生が興した会社です。『Pureca』が立ち上がりに苦戦した原因はいきなりクリティカルな金融という分野に手を出したことが大きかったんじゃないかと思います。一方で、BASEはある種CMSの提供というアプローチで、ビジネスマターの部分を解決するようなスタートでした」

この違いがその後の2社の明暗を分けたとえふしん氏は推測する。

「『Pureca』を作っていたのは超ギークなチームで、すばらしい技術力を持っていました。その技術力と、弊社の鶴岡(裕太氏、BASE株式会社CEO)がBASEという会社で作ってきたビジネス人脈が合わさって『PAY.JP』としてリリースできた。テクノロジーは必須ですけど、ビジネスを知っているということも重要で、その視点がないと信用を得るのは難しいという面もあります。もし、金融業界出身者にチームにジョインしてもらえるのなら、それがベスト。技術力+ビジネス力で信用を実現しようと考えたのが『PAY.JP』です。金融という分野で仕事をしていく上で一番大事なのはやはり、『信用』でした」

これを踏まえ、えふしん氏は日本でのFinTechスタートアップの成功の道筋を次のように示した。

「もしテクノロジードリブンでガンガンいきたいのなら、ブロックチェーンや暗号通貨など、いまだ一般化していないテクノロジーの時代を見据えて先取っておくのがいいのではないでしょうか。また、BASEのように今までのスキームを技術で置き換えるサービスで、ビジネスの人たちを味方に付ける方法は、日本にはマッチしているといえるかもしれませんね」

文/佐藤健太(編集部) 撮影/TechLION事務局




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