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新入社員になる君へ~仕事を楽しむコツは、些細なことにも改善する好奇心を持てるかどうかにある【連載:えふしん】

タグ : MBA, えふしん, エンジニア, キャリアアップ, 新卒, 転職, 開発 公開

 
えふしんのWebサービスサバイバル術

藤川真一(えふしん)

FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にpaperboy&co.へ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、2007年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。2010年、想創社(現・マインドスコープ)を設立し、2012年4月30日まで代表取締役社長を務める。その後しばらくフリーランスエンジニアとして活躍し、2012年11月6日に想創社(version2)設立

4月と言えば新入社員。僕が大学を卒業して、新卒で入社した会社は製造業だった。

入社式当日には、初々しい新入社員たちが集団で歩いている光景に出くわすことが多い。日本の春の風物詩である

半導体製造装置というジャンルで、製造装置の機械を作って売るメーカーだ。バブル崩壊直後の不景気な状況の中で就職したのは、誰もが知っているような有名企業ではなかった。

一般的には新入社員研修を経て、それぞれの部署に配属されるのだろうが、僕らはいきなり現場に配属された。電気工学科を卒業した僕は板金係で、鉄の板を加工して機械部品を作る仕事を、機械工学を卒業した同期は電気の配線をする仕事から始まった。

いきなり油まみれの仕事になり、同期は初日から夜9時まで残業していた。大卒以上の人は、3年ほど現場を続けた後に設計部門に異動するのが、社内の慣習になっていた。

電気系の学科で大学を卒業して、いきなり油まみれの仕事を始めるというのは、なかなかのカルチャーギャップで、複雑な気分だったのは否めない。後から考えれば現場を経験できたのはラッキーこの上ないわけだが、当時は、同じように現場で働く大卒の先輩が、「こんなことをやるために大学行ったんじゃないよなぁ~」と愚痴を言っていたのを覚えている。

僕も、当時聴いていた浜田省吾の中でもブルーカラーな歌詞の昭和な歌に浸っていた。パトレイバーの特車二課の整備スタッフみたいなモチベーションを培い、今でも、どこか泥臭いプロ意識みたいなのを抱いているような気がする。

社内における役割や立場の違いで悩むこともある

当時の会社の認識として、製造部門と設計部門との間にはジレンマがあり、製造部門としてはしっかりモノづくりができる人間、すなわち製造側の都合を上手く汲み取ってくれる人材を育てたいという狙いがあった。

そのため、新入社員はまずモノを作れるようになってから、設計に行かせるという意図があったという。しかし、後から設計に行って分かったのは、設計がモノづくりを理解していなかったのではなく、単純に立場が違うという問題があったことだ。

ソフトウエアの世界であれば、いわゆるプログラマーとSEの軋轢みたいな話と多分同じだと思う。

設計部門は、製造部門からすると上流工程にあたり、設計部門の不備は、製造部門の仕事の増加に直結する。お客さんの前で最初に恥ずかしい思いをするのも彼らだ。

ある時、新製品のプログラムで、出張先の海外からトラブルの連絡を受けた電話口で、現場の先輩に向けて、ソフトウエアの不具合を予見していたような発言をうっかりしてしまって激しく怒られた。不具合を予見していたのなら、ちゃんと作れという指摘だった。

社内のスタンスの違いから来る衝突でストレスを溜め込んてしまう場面は多い

それについては平謝りをしたが、言い訳をさせてもらうと、バグは避けられず、どうしても不確実性の高い部分も多々あり、いきなりすべてを完璧に設計するのが不可能に近い。しかし、製造部門側からすると振り回されるのはたまったものではない。かくして立場の差異、役割の差異は、埋めることができない感覚の差を生む。

それを理解した上で完成度を高める必要はあるし、同時に、立場の違う人には配慮が必要であるということを、その時に気が付いた。

また現場から設計部門へ異動してみて思ったのが、人は立場が変わると態度も変わるということだった。同じ製造部門では、仮想敵としての設計部門に対する愚痴を聞ける立場にいたのに、自分が設計部門に異動すると、一転して敵としての態度をとられる。

内心「半年前は一緒に仕事してたよね!?」と思いつつ、態度の変化に、「そういうものなんだろうなぁ」と知った。

組織で仕事をするのに必要なのは、与えられた立場、役割を上手く演じることである。自分の人間性より前に、立場における制約が大きくついて回ることを意識して、相手と上手く接する必要がある。

どんなに小さな仕事にも、改善して、楽しめる余地はある

いろいろ書いてしまったが、決してこういう組織についてのダメ出しをしたいのではない。そうは言っても、仕事はけっこう楽しかったのだ。

モノづくりの道には、常にチャレンジが付きまとう。大切なことは、そのチャレンジを楽しめるかどうか

やっぱりモノを作るというのは楽しい作業だし、難しいことがたくさんあるので、常にチャレンジしているという意識は強かった。しかし、そんな中でも、在職中に後輩の子で何人か仕事を辞めてしまった人がいた。彼らにとっては3年も続けるのは耐え難い、つまらない仕事だったのだろう。

そこで辞めてしまう人と、辞めない人の分岐点はなんだったのだろうかと改めて思うと、仕事を楽するために活動するか否かの差だったと思う。

プログラムを書いたり、モノを作るという行為を活用すると、自分のアイディアで環境を変えていくことができる。当時の自分も、自分でプログラムを勉強しながら、仕事の環境を変える努力をしていた。たまたま自分がいた製造現場に生産設備が導入され、それまで鉄の加工を人力で作業していたものが、自動処理でコントロールする環境に変わったので、そのスクリプトの管理や、計算を楽にするためのプログラムを書いていた。

そうすることで仕事が楽になると思ったからだ。

コンピュータは、「人間がいかに楽をするか」を考え、共通パターンを見出し、プログラムを書くことで、情報を素早く整理したり、情報そのものを作り出すことができる。そこで必要なのは、その情報を使って何かを変えよう、何かを楽しよう、何かを整理しようという好奇心にほかならない。それは仕事を楽しむということに通じる考え方だと思うので、僕は会社環境のネガティブな理由では仕事を辞めようとは思わなかったのだと思う。

僕は、居酒屋のバイトをしていた時にやっていた、箸を袋に入れる仕事がけっこう好きだった。最近だと、こういう単調な仕事のことを「マックジョブ」と言って価値がないものと見なすらしい。しかし、どんな仕事でも、多少なりとも改善することは可能で、素早くやろうとか、うまくこなそうと思うと、工夫することはいろいろあると思う。

そういう小さなところから改善点を見出し、実際に改善する行動に出ることが、与えられた仕事を楽しむコツではないかと思う。

その好奇心は、10年経っても人を成長させようとしてくれる

さて、そんな僕も結局その会社を5年程度で転職してしまったわけだが、転職した理由は、自分が成長する中で、もっと主役になれる仕事に就きたくなったからだ。

その会社で作っていた製品における、自分の役割は主役ではなかった。機械の主役はあくまでも機械設計のイロハにあった。いろいろ仕事を経験していく中で、欲が出てきた。もっと製品性の中心となる立場になりたかったので、Webという情報技術の世界に来てみた。

今後は、情報技術もあらゆる分野で活用されるようになり、今まで以上に重要度が広がっていくと思うので、流れ次第でもともといたような製造業にかかわっていけたらいいなぁとも思っている。

とはいえ、現状、僕の中ではもっと自分自身をパワーアップしていく必要があると思っていて。その活動の一つとして、4月から慶應義塾大学大学院のメディアデザイン研究科の博士課程に社会人入学で勉強することになった。

そこで、モバイルインターネットを活用した、近距離コミュニケーションの成立要件を研究し、ローカル情報のコミュニケーションメディアを作りたい。すでにできそうでできていない部分だと思うので、研究課題として面白いのではないかと思っている。

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