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新しいガラケー『iPhone5c/5s』を、開発者視点で考える【連載:えふしん】

タグ : iPhone5c, iPhone5s, ShopCard.me, えふしん, アプリ, ガラケー, キャリア 公開

 
えふしんのWebサービスサバイバル術

藤川真一(えふしん)

FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にpaperboy&co.へ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、2007年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。2010年、想創社(現・マインドスコープ)を設立し、2012年4月30日まで代表取締役社長を務める。その後しばらくフリーランスエンジニアとして活躍し、2012年11月6日に想創社(version2)設立

iPhone5s

by harry525
ついにドコモが参入したiPhone市場。国内のスマホシェアに変化はあるのか

9月20日に、iPhone5cとiPhone5sが発売されましたね。もうエンジニアの皆さんは買いましたか!?

わたしは、最近『ShopCard.me』というiOSアプリを出したばかりなので、品薄報道に恐れをなして発売日に買ってしまいました。

いざ蓋を開けてみたら、スペースグレイはどこでも買えるという状態で、見事に釣られた感があります。ゴールドも週明けすぐに入荷の連絡が来たという話も聞いており、若干騙された感が満載です。

ドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアで販売された“あたりまえのiPhone”時代には、もうわざわざ行列をなして買う必要もないのかもしれませんね。

iPhoneという新しいガラパゴスの誕生

日本はiPhoneが特異に売れている不思議な国です。無担保無金利の割賦販売で、サービス利用料による後払いで回収ができる先進国としての特権があるからです。

そこまで国民の信用がしっかりしていない国では、先払いで販売せざるを得ないのと、貨幣価値が低い国だと、相対的にiPhoneの値段が日本の数倍ぐらいの価値になってしまい、お金持ちの人しか買えません。

結果として、格安のAndroid端末が世界で売れているという状況です。だから、アプリ開発者として世界戦略を目指すのであれば、Androidを前提として考えざるを得ないことになります。

そんな中、日本国内ではiPhoneのシェアが6割程度になるのではないかと言われています。これはガラパゴスの再来であり、今後スマートフォンビジネスをやる上で、iPhoneファーストで行くかAndroidファーストで行くかというのが難しい舵取りを求められます。

ドコモが参入する以前は、サイバーエージェントの藤田社長が社員に向けて「Androidファーストを目指すように」とアピールされていたようですが、最近の藤田さんのブログを見ると、今回の5s/5cの3キャリア販売でいったん様子見のフェーズに変わったようです。

どこのキャリアのiPhoneを買うか

iPhoneを仕事に活用される方は、何だかんだとiPhone5sは買うと思います。

5sは、CPUがARM64という64bitCPUになった結果、それまでのARM7では発生しないトラブルがARM64の時だけ起きることが考えられるからです。例えばFacebook SDKがARM64対応版を出しており、その動作検証を考えても購入は必須でしょう。

また、キャリアについて言うと、今後、ドコモのdマーケットでキャリア決済が採用された場合を考えると、コンテンツホルダー関係者はドコモのiPhoneを買う必要性が高そうです。

開発者視点で考えると、iPhone5sは今まで通りのキャリアで買いつつ、ドコモでiPhone5cも買っておくのが良いのではないでしょうか。個人レベルの経費の話で言うと、どうせ来年iPhone6を買うという人は、一括払いの本体価格の割引が多いauなどが狙い目で、ドコモで買うなら本体価格が安いiPhone5cが良いのではないかと思います。

iPhone6時代を見据えた、「体験版」としてのiPhone5s

指紋認証

by CPOA
注目を集めた指紋認証だが、発売直後にドイツのハッカーに破られてしまった

さて、今回iPhone5sだけに搭載されている機能がいくつかあります。

すでにいろんなメディアが新機能紹介をやっていますが、代表的なのが指紋認証ですね。今回の指紋認証は、犬の肉球も登録できて、そのセキュリティ性に疑問符が付くという声も挙がっていますが、そもそもパスワード認証を面倒臭がる人も多いらしく、パスワードロックをかけてない人が多いという記事もありました。

ロックがかかってないiPhoneに比べれば、ユーザビリティを維持したまま指紋認証でロックをかけられるのは、素敵な進化と言えるでしょう。

さらに注目なのは、App Storeでアプリを購入する時に指紋認証を使うことができること。今のところ、開発者向けにこの機能は公開されていませんが、iPhone6時代になれば、下位機種にも指紋認証が搭載され、決済や個人情報入力に使えるようになるかもしれません。

もしシングルサインオン系や個人情報管理を作っている開発者は、ただの便利ツールではなく、コンテンツ性やそのアプリを使うストーリー性などを蓄えておいて、いざ機能が公開された時に殺されないようにしましょう。

そのほか、iPhone5sには高機能なM7コプロセッサと言うサブのICが搭載されており、位置情報や傾き検出などのローカルナビゲーションに使える機能が搭載されています。

今はまだiPhone5sだけの特別な機能ですが、今後は普及機にも搭載されるようになり、位置情報系の精度も向上すると思います。

そもそも現状のスマートフォンは、GPSでは精度が悪すぎるし、建物の中ではあんまり使えません。ラスト100mの位置情報の検出精度が非常に悪かったのですが、今後、その問題をAppleがどう解決していこうと考えているのかを、iPhone5sから感じることができます。

ともあれ、iPhone5sの新機能で多くの開発者が「今すぐ何かに使えそう」なのは指紋認証ぐらいで、この先のスマートフォンのあたりまえを司る体験版のような機種なのかなと思っています。

開発者が先々を見据えて準備をしておくには、面白い機種なのではないでしょうか。

Bluetoothがもっと普段使いされると、データ通信は変わる

個人的に注目している新機能としては、iOS7に搭載されたiBeaconという機能です。

Bluetooth

by baldbrad
Bluetoothの機能自体はフィーチャーフォン時代から存在していた技術である

これはBluetoothを使って近距離の無線通信ができる機能で、屋内でもお店に入ったら自動的にクーポンが表示されるなど、今までとちょっと違った使い方が生まれてきそうです。そのため、NFCキラーとも言われています。

専用アプリを起動しておかないと使えないのですが、特にO2O系の事業者が頑張っていますね。クーポンであればpassbookなどが対応してOS標準で対応しちゃうんだろうなぁという感が満載で、そこまでにどうシェアを獲っておくかという勝負になるような気もします。

作り手として、「サービスを使う意味」をどう形付けるかという競争です。もし、クーポンのやりとりがOSで標準化されたら、技術の問題ではなく、常にお店の中で起動されるアプリがないと勝てないということですね。

また、BluetoothのAirDropを使って写真を送り合えるようになったのは大きいです。

今までは、カメラで撮った写真を適切に友だちに渡す方法について、「これだ」というものが今一つなかったのですが、AirDropを使うことで、iPhone同士で直接送り合えます。

Bluetoothは、iPhone4sでBluetooth4.0になった以降も、電力消費がかさむという都市伝説が根強く残っており、それなりにITの知見を持っている人たちは、もれなく機能をオフにしています。

僕が作った『ShopCard.me』にも、お店の情報をBluetoothで送る「Shuriken」という機能があるのですが、感想を聞くためにデモをしていくと、たいてい「Bluetoothをオンにしてくださいね」というところから始まります。Bluetoothがデフォルトでオンになっていれば、話は何段階も早くなるわけです。

ShopCard.me

ShopCard.me』は気に入ったお店の情報を友人と交換することができるアプリだ

Bluetoothの待ち受けが低消費電力になって、もはや無視できるレベルであることを知っている人が、写真を送るという行為を通じて、Bluetoothのエバンジェリストになってくれれば、徐々に一般ユーザーも「常時オン状態」になっていくと思います。

なお、『ShopCard.me』には、そういうことも想定してQRコードでデータを渡す機能を付けています。しかし、QRコードだと渡せるデータ量が少ないので、データを受信するためにネット接続が不可欠であるのに対して、Bluetoothによる「Shuriken」は、お店のデータそのものを通信で渡しています。

Bluetoothの良いところは、インターネットを介することなくデータを通信できるところです。お店で友だちと会話している時に、その場所でネットがつながらないと、お店の情報を渡せませんからね。お店の中には、そういう場所は多いものです。

5sから6への道筋は、ローカルコミュニケーションの進化

話をまとめると、M7コプロセッサやiBeaconによって、屋内のナビゲーション精度の改善や、屋内での情報通信が今後の主役になるだろうと思っています。

個人的に、O2Oという概念がクーポンのやりとりで終わるのは全く本質的ではないと思っているので、もっとお店体験そのものがモバイルとインターネットで豊かになるべきだと考えて、僕も『ShopCard.me』のような「お店情報を通じた友だちとのコミュニケーション」を活性化させるアプリを作りました。

iPhoneの進化が、そっちに向いているようでワクワクしています。

今までスマートフォンが実現してきたものが、インターネットという場所や時間を超越したコミュニケーションの世界だとすると、それに加えて、場所や時間に依存した同期的なコミュニケーションの進化をスマホがもたらせられるのではないかと思っています。

iPhone5sからは、そういう期待への胎動が見て取れるように思えてなりません。




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