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UIデザイナーはいらないのか?その存在意義について改めて考える【連載:えふしん】

タグ : UI, UIデザイナー, えふしん 公開

 
えふしんのWebサービスサバイバル術

藤川真一(えふしん)

FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、2007年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。2010年、想創社を設立し、2012年4月30日まで代表取締役社長を務める。その後、想創社(version2)を設立しiPhoneアプリ『ShopCard.me』を開発。2014年8月1日からBASE(ベイス)株式会社のCTOに就任

Webやアプリのユーザーインターフェースを設計する専門家であるUIデザイナーという役割があります。先日、UIデザインは重要視されてないのでは? という問題意識から「UIデザイナー不要説」という記事がオンライン上に出ていました。

>> 「UIデザイナー不要説」【LSD LAB】

2014年の現状を知る上で、とてもよい問題提起だと思いました。UIデザインが重要視されていないとされる理由としては、

【1】多くの人が、「デザイン=見た目のこと」という認識になっていて、「使い勝手」を作り込むという意識が弱い
【2】エンジニアとの給与格差があって、役割として重要視されていないのではないか?
【3】日本のサービスは情報を詰め込む傾向があり、海外のエレガントなUIのサービスとは意識が違うのでは?

と仮説を建てた上で、「UIデザインは金にならない」、「相応の意識を持った会社に転職するのがよいのでは?」と書いておられました。

この記事にインスパイアされて、今回は、そもそもの「UIデザインの価値」について書いてみたいと思います。

エンジニア視点でのUIデザインの価値とは?

まず、エンジニア視点における、UIデザインの価値について考えてみます。

UIは、システム実装、ビジュアルデザイン、ユーザーインターフェースの設計が混在する交差点とも言えるので、複雑なシステムだと、誰がどう功績をもたらすのかが曖昧になってしまいます。

ここでは、話を単純化するために、シンプルなWebサイトのケースを想定し、サーバサイドプログラミングを「エンジニア」の役割とし、HTMLやCSSなどのフロントエンド側を「ビジュアルデザイン」と「UIデザイン」の集合体とさせてください。

このような前提で、優れた「ビジュアルデザイン」や「UIデザイン」が加わった場合、

「全く同じサーバプログラムの実装にもかかわらず、よりたくさんの人が使ってくれるようになる」

という効用をもたらします。

もたらすものが大きいからこそ、優れたUIデザインを考える必要がある

From juhansonin
もたらすものが大きいからこそ、優れたUIデザインを考える必要がある

私自身、自分で書いたサーバサイドのコードに対し、UIデザインをする人が違うだけで、その反響が全然違ったという体験を持っています。だから単純に楽しいことが起きる要素として「優れたUIデザイン」は必要だと肌感覚で言い切る自信があります。

具体的にどういうことが起きるかというと、自分が作ったものをいくらブログに書いたり、ツイートしても得られなかった反響が、UIデザイナーの1つのツイートでたくさんの人が反応してくれるようになる、そんなことが起きます。

UIデザインの成功体験がない人が、その重要性に気が付かない問題

その成功体験を持っていない人が、UIデザインの有用性を知ることは難しいでしょう。単純に知る機会がないがために、UIデザインの有用性について身を持って実感できない人がいることは問題だと思います。

「UIデザインのセンスのある意思決定者」は、その有用性を知っているし、「そうでない意思決定者」は、UIデザインを軽視する理由になると思います。

ただ、それだけなら教えてあげればいいような気がするのですが、世の中そうはうまくいかないのは、ビジネスモデルやその運営の良しあしで、体験する機会を失わせることがあるということです。

例えば銀行や証券会社のような「社会システムに絶対に必要なシステム」の場合は、UIデザインの良しあしが成果に与える影響は小さいです。また会社都合でユーザーに使用が強制される社内システムのようなビジネスも、UIデザインが与える影響は小さいです。

実際のユーザーと意思決定者が違うのであれば、もしUIデザインがダメだったとしても、ユーザーは文句を言いながらも使うしか方法がないからです。

「優れたビジネスモデル」×「ダメなUIデザイン」 > 「世の中に受け入れられるライン」

こういう構図になる可能性があります。

また、逆にビジネスモデルがダメダメだったり、それを構成する仕様が難解すぎる場合は、UIデザインがどんなに優れていてもその力を当然発揮することができません。

「ダメなビジネスモデル」×「すぐれたUIデザイン」 < 「世の中に受け入れられるライン」

という法則が成り立つと考えられます。

また、よくビジネスのプロの視点の発言では、UIは長期的には真似されるので差別化要素にならないとおっしゃっている方もいて、受け取り方を間違えると話が混沌とすることがあります。

UIは、他社との差別化要素になりにくいという話と、そもそもの「使い勝手」に基づくブランド認知の構成要素になっているかもしれないという部分はレイヤーが違う話として整理する必要があると思います。

もっと簡単に言えば、長期的な差別化要素にならないからといって、UIデザインが適当で良いというわけではないということだと思います。

真似されやすいUIデザインだからこそ、しっかり作りこんで先頭を行くべき

From PhotoBobil
真似されやすいUIデザインだからこそ、しっかり作りこんで磐石の体制で逃げ切るべき

ただ、真似されることに関しては、現状の法規制に則って報われない部分があることは事実だと思います。ただ、これも、パクられるからと言ってUIデザインが適当で良いというわけではないと思います。

そもそもパクられるにしても必ず時間差があるわけですから、ビジネスで先に行くダッシュ力があるなら、それを適切にユーザーに届けるために、UIをしっかり作りこむ能力は必要ではないでしょうか?

「UIデザイナーという専門職」の必要性について

ここまで意識的に書いていたのは「UIデザインの必要性」という側面でした。

「UIデザイナーという専門職」について考える場合は、また別の話が出てきます。専門職というのは、全体のプロセスの中で、特定のパートを深く追求する仕事といえるでしょう。

つまり、前後工程に別の役割の人がいることが前提になります。

私が理想として思っているのは、Webやアプリの真髄は「画面」なのですから、意思決定層や開発にかかわる全ての人が、表示する情報、文言、UIデザインに対する意識は高くあるべきということです。

別に自分がやらずとも、必要性を常に意識できるようになってほしいと思います。もしも、より良いユーザー体験を組織ぐるみで実現できるようになっているならば、UIデザインもシンプルな仕事に落としこむことができる可能性が高く、そこに必要な人材とはどういう人が良いのか?は議論が必要でしょう。

もちろん専門家はいてもよいですが、そこに時間を掛けるメリットが存在することは不可欠で、どうしても事業のフェーズや組織のサイズに影響する部分は否めないと思います。スタートアップであれば、ビジュアルデザイン主体の人に勉強を兼ねてデザインしてもらい、サービスフィロソフィーを作った経営者がレビューして足りない部分をカバーするという解決法でもいいわけです。

もちろん、ユーザビリティだけに責任を持つミッションのチームを作れれば、その人の肩書はUIデザイナーという肩書が適切でしょう。

最後に

「新しい職種」を作ることは、どこか権力闘争のような部分は否めないと思っています。例えばグリーの村越さんのように「その素晴らしさ」を徐々に周りに知らしめていくチャレンジングな役割の人がいればこそ、という部分は否めません。

>> 「1年で工数は4分の1に。グリーのゲーム開発部門がUXテストの効率化に取り組んだ本当の理由」

もし「自分が所属する会社では、UIデザインを意識すべきだ」と思っている人がいるなら、それが実現できていない現状の全てを、経営者の責任にして腐ってしまうのは、とてももったいないことかなと思います。前述した通り、メリットが見えていないからこそ興味が持てない問題というのは存在するからです。

もっとキツくいえば、まだ、そこにニーズがないと嘆いているフェーズではないと考えます。UIデザインは専門家がいなくても、サービスをローンチするにあたっては、どうにかなってしまう部分であり、開発者のようにいないと話にならないという役割ではありません。

その中で、より良いサービスの担い手として存在を認めさせるのは、チャンスを作り、結果を出し、信頼を深めることは不可欠だと思います。僕自身も昔いた会社で、「情報設計グループ」という組織を作ってもらったことがありますが、その仕事ができそうな仲間がいたからこそできたという部分は無視できません。

仮に経営者が、漠然とUI専門チームを作りたいなと思っていても、礎になってくれる人が社内にいなければ簡単に人を採用して組織を作るというわけにもいかない部分もあります。外部から人材を招聘する場合は、村越さんみたいな意識が高くてガッツのある専門家を雇えたら良いと思いますが、そうそう同じような人材は思い付かないです。

もし、自分が少し報われてないなぁと思う人がいたら、是非、「あたりまえのUIデザイン」の権利を獲得するために、まずは社内PRなどから頑張ってみてほしいと思います。そういう小さな取り組みと成功例の積み重ねこそがUIデザイン意識の変化をもたらすきっかけになると思います。

>> えふしん氏の連載一覧




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