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赤福とトヨタに見る、「イノベーションの寿命」を乗り越える企業の特徴~藤野英人氏に聞く

タグ : イノベーション, スタートアップ, トヨタ, 藤野英人, 赤福 公開

 

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会社に寿命はあるのか? あるとすれば、それはいつか?

今年3月、東京商工リサーチが公表した調査結果(参照元)によると、2012年に倒産した企業の“平均寿命”は23.5年だったという。かつて「企業の寿命は30年」と言われていたことを考えると、6.5年ほど“短命化”していることになる。

創業期から始まって成長期、衰退期、そして倒産……。大手であれベンチャーであれ、どんな企業も一定のサイクルを巡ると言われる中で、衰退期を乗り越えてなお成長し続ける企業とはどんなものか。

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レオス・キャピタルワークス取締役CIOの藤野英人氏

「企業には、組織の寿命とイノベーションの寿命の2つがある」

そう語るのは、5500人を超える経営トップと会った経験から、独自の視点で企業の現状と将来性を見抜く目を持つカリスマファンドマネジャー藤野英人氏である。

2004年に発刊した『スリッパの法則 ―プロの投資家が明かす「伸びる会社・ダメな会社」の見分け方』がベストセラーを記録し、今年9月には『「起業」の歩き方: リアルストーリーでわかる創業から上場までの50のポイント』を上梓した同氏は、いずれも過去の成功パターンに拘泥するがあまり、変化に適応できなくなるという踏みがちな轍だと指摘する。

「失われた10年」は決して景気の低迷期ではなかった

前提として、一般にはこの「過去の成功パターンに拘泥する」ことで成長を阻害されてきたという「失われた10年」問題について、藤野氏はその認識こそが間違っていると強調する。

日本の上場企業の経営推移を調査すると、2002~12年までの10年で実に約7割超にあたる1705社が、株価、売上高ともに上昇しているというのだ。

「パナソニックやソニーなど、日本を代表する企業が売上高、収益ともに悪化したために目立っていますが、これらは上場企業全体のわずか約30%に過ぎません。残りの約7割にあたる1705社は、着実に成長しているんです」

つまり、こうした大手や有名企業の名が連日TVや新聞紙面を賑わせてきたため、景気の低迷というイメージが強調され過ぎてしまっただけ。IT業界を筆頭に頭角を表してきた中堅・中小企業の業績は、むしろ好調を続けてきたのだ。

では、この10年間、低迷期に差し掛かっていた約30%の企業と、増収・増益を続けてきた約70%の企業とは何が決定的に違っていたのだろうか?

藤野氏はそのポイントを、社員1人1人の姿勢や働き方にあると説く。

「社員が会社の業務のため、業績アップのため働くのは当然ですが、生産者であると同時に消費者でもあるという姿勢を持って働いているかどうかです」

つまり、自社の製品や商品、サービスを世に送り出すだけでなく、そのクオリティについてもユーザーの目線から客観的に評価できるかどうかが大事ということだ。

「企業や組織にとって、社員1人1人が“目”や“センサー”となって製品やサービスをきちんとウォッチできていて、必要なジャッジを下せるかどうかが大きなポイントです」

長寿な企業になるために、変えるべき点と守るべき点

加えて、どんなイノベーションにも寿命があるというのが藤野氏の結論だ。

最初はどんなに革新的だった製品やサービスであっても、やがて競合他社の参入や激しい競争にさらされることによって、やがて陳腐化し衰退していく。

こうしたサイクルから脱し、成長を続けていくには、“第2創業期”ともいうべきステージを経てふたたび活力ある組織を築く必要がある。

「例えば三重県伊勢の名物として知られる『赤福』は、同じ名称とはいえ昔と今では味が全然違います。赤福の創業は1707年とされ、300年以上の歴史を持っていますが、かつては甘い=ぜいたく品だったため、甘さの引き立つ製法で作られていました。しかし、現代社会では甘過ぎる和菓子は敬遠されがちなため、とても控えめな甘さに“進化”しているのです」

この赤福の例が示すのは、「お客さまを最重要視する経営方針か、伝統を守る経営方針かの違い」だと藤野氏。

伝統を守ることは会社のアイデンティティにも通じるが、そこに固執し過ぎるあまりに変化できなくなってしまうと、ユーザーニーズから徐々に離れた存在になってしまう。

「そうなる前に組織の新陳代謝が行われているか、組織のイノベーションが起こせるかが、生き残りのためのボーダーラインになります」

藤野氏は、一時的な低迷を乗り越え、ふたたび好業績を挙げつつあるトヨタ自動車の生産現場にも、そのヒントを見いだしたという。

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From MIKI Yoshihito
脈々と受け継がれる「トヨタの伝統」も、時流に合わせて変化してきたからこそ築かれた

「トヨタの現場に行って驚くのは、同社で有名な“カイゼン”のスキームなどモノづくりに必要不可欠なシステムを遵守しながらも、現場ではAKB48のTシャツを着たりNYヤンキースの帽子をかぶって働く社員がいるということ。つまり、組織運営に必要なことさえ受け継いでいれば、働き方のスタイルや格好は自由に変わっていってもいい。そこに、わたしはトヨタの強さを見た気がしました」

企業や組織を構成しているのはヒト。その1人1人が高い意識を持って仕事や業務に取り組んでいるかどうか、またそのための環境を提供できてこそ企業は成長し続けることができるということだ。

取材・文/浦野孝嗣 撮影/伊藤健吾(編集部)




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