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GinzamarketsのCTO交代劇に見る、スタートアップがキャズムを越えるためのエンジニア進化論

タグ : Ginzamarkets, Ginzametrics, キャズム, スタートアップ, レイ・グリセルフーバー 公開

 

6月19日、米サンフランシスコに拠点を置くGinzamarketsが、新しいCTOの就任を発表した。弊誌でも何度か紹介しているとおり、同社はエンタープライズSEO管理&分析ダッシュボード『Ginzametrics』の開発と提供で急成長中のスタートアップだ。

新CTOに就任したのはショーン・マックロー(Sean McCullough)氏。SNS関連サービスの『ping.fm』を立ち上げCEOを務めた後にSeesmicへ売却。次にスタートアップを支援するWebサービス『LaunchRock』の共同創業者兼CTOとなるなど、ベイエリアで優れたアントレプレナーとして高い評価を得てきたエンジニアだ。

レイ・グリセルフーバー氏

「今後の会社の展開にショーンは最適の存在」と話すレイ・グリセルフーバー氏

2010年5月にアメリカ法人を設立してから3年が経過した時点でのCTO交代について、創業者で代表取締役社長を務めるレイ・グリセルフーバー氏に聞いた。

まず気になるのが、サービス開始から約3年というタイミングでのCTO交代だ。日本の一般的なベンチャー企業では、あまりないケースと言える。

「今回ショーンを新CTOとして迎え入れたのは、単純に、新しいビジネスフェーズに移ったから。ちょうど昨年の半ばから今年の前半にかけて、『Ginzametrics』はSEOツールとしてのベース機能開発が一段落して、いよいよコンテンツマーケティングの支援ツールとして広げていくフェーズに移ったことを痛感していたからですね」

『Ginzametrics』は2010年のローンチ。以来、圧倒的な使いやすさと安価な価格設定が評価されて驚異的なスピードで世界各地のユーザーへと普及してきたことは以前紹介した(過去の記事『海外プログラマーとのリモート開発で成長するGinzamarkets「在宅チームで開発をうまくやる方法」』)。

実はこれまで、ユーザーから寄せられる意見や要望にいち早く応えるのを最優先に、前CTOであるニック・アレン氏が陣頭指揮をとって改善や機能追加に取り組んできた。それがサービスの初期フェーズで最も重要だと考えていたからだ。

この積み重ねによって、より完成度の高いSEOツールとなったことから、今後はより守備範囲を広げ、マーケティング活動の今後なども見据えつつ、コンテンツマーケティングの領域に進出していく算段とのこと。

ほかにも、さらなる世界展開を見据えてマーケティングや販売促進へと軸足を移すフェーズに至ったということだ。今回のCTO交代は、この新しいフェーズを迎えるにあたって適した人材を登用したというのが最大の理由だ。

事業拡大のフェーズにはビジネス面で力を発揮するCTOが必要

「ショーンにCTOとしてジョインしてもらうことになったのはホントに偶然。以前から顔見知りでしたけど、僕の考えや会社の今後のビジョンなどを話しているうちに、彼もCTOの役割を担いたいという意欲があることが分かってオファーしました」

グリセルフーバー氏が最終的にCTOとしてマックロー氏を迎える決め手になったと話すのは次の3点だ。

【1】 技術に明るいだけでなく、起業家マインドも持ち合わせている
【2】 それまでのキャリアや経験から、ビジネスディベロップへの理解が早い
【3】 投資家や社外へ向けて、ビジネス面からもアプローチができる

「事業拡大のフェーズでは、技術やツールに関する知識はもちろん、それをビジネス面からも適切に説明できることが求められます。投資家や社外の人たちとコミュニケーションできる人材が必要だからです。当社にとって、それにふさわしいのがショーンだったということ。また、ショーンは前職でビッグデータ活用やソーシャルの領域での経験もあり、今後の展開の即戦力になると考えました」

これまで進めてきた機能開発においては、グリセルフーバー氏と前任のCTOアレン氏が中心的な役割を担ってきたが、アレン氏が力を発揮できたのは対外的な面よりも、技術面での貢献が大きかった。

「でも、特に投資家たちは、開発に関するコアな話やこだわった点などには興味を示しません。重要なのは、その技術やツールでどんなビジネスをやるのかということ。それをきちんと説明できるというのが、現時点で『Ginzametrics』のCTOに求められる能力だったのです」

株主へのプレゼンテーション

From James Jordan
技術的な話を、投資家ほか社外のステークホルダーに分かりやすく説明するのも、CTOに求められる技術だ

アメリカのベイエリアやシリコンバレーでは、このようにITベンチャーやスタートアップが設立からわずかな期間でCTOやCOOが交代するケースが多いという。

日本のベンチャーの場合、創業に携わったメンバーは“仲間”という意識が強い。が、ベイエリアの起業家が目指すゴールは株式公開や事業の売却。その後は支援する側である投資家を目指す人も多い。

したがって、起業後の経営はそれぞれふさわしい能力や意欲を持った専門家に任せるケースが多いのだという。

「独学」によってエンジニアも起業家マインドを身に付けられる

これまでの経験、そして今回のCTO交代を通して、グリセルフーバー氏は日本のエンジニアにも起業家マインドを身に付けることで、新しいビジネスやサービスを見いだす人材になれるとエールを贈る。

「エンジニアは大きく2パターンに分けられると思っている。与えられた業務を黙々とこなす人と何かを創出する人。CTOに向いているのは後者で、その中でもさらに2つに分けられる」

その2つのパターンとは、【1】コーダーとしてサービスクオリティを追求していく人【2】ビジネスパーソン的な視点からサービスの問題解決法を考えられる人だという。前CTOのアレン氏は【1】のタイプで、現CTOのマックロー氏は【2】のタイプだということだ。

エンジニアとしてどちらが優れている、劣っているというのはなく、どちらも企業の必要なタイミングで重宝される。

「特に【2】のタイプのエンジニアは市場に少ないのですが、こちらに必要な能力は後天的に身に付けることもできます。わたし自身がそうでした」

そのキーワードを、グルセルフーバー氏は「独学」と言う。ユーザーからのフィードバックにただ漫然と応えるのを繰り返すのではなく、自分なりの創意工夫を重ねていくということだ。

「ユーザーの意見や要望には、マーケティングや営業にも活かせるヒントがあります。それに向き合って、より良い改善や機能追加を工夫していくことが、ビジネスマインドを身に付けることにもつながると思いますね」

つまり、少なくともサービス開発の上流を担うエンジニアには、自身の専門分野や役割だけをこなすのではなく、自社の製品やサービスに何が必要かを考えて創意工夫していく姿勢や努力が必要ということだ。

「日本はベイエリアと比べて、ビジネスと技術とを結び付けて考えられるエンジニアが少ないように感じます。その間を関連付けて考える習慣がないだけだと思います。逆にビジネスと技術の間を結ぶための独学を続けていけば、貴重な人材になるチャンスがあるということなのです」

どんな技術も製品も、すべてはビジネスに必要な要素としてマーケットに浸透していかなければ、収益も利益も生まない。今回のグリセルフーバー氏の決断によるCTO交代は、技術的に優れたサービスをさらにグローバルなマーケットへと広げていくフェーズを迎えたスタートアップにとって、必要不可欠なステップだったと言えるだろう。

取材・文/浦野孝嗣 撮影/伊藤健吾(編集部)




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