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誕生から7年、GitHubは何を変えてきたのか~GitHub Universeから見えたエンジニアとコードの未来

タグ : GitHub, GitHub Universe, オープンデータ, プログラミング 公開

 

今年10月1日~2日、世界で1100万以上のユーザーに利用されているGitHubが、創設から初となる開発者向けイベント『GitHub Universe』を本社のあるサンフランシスコで開催した。

同社初となる開発者向けイベントは、GitHubの代名詞「OctoCat」を主人公にしたオープニングアニメ(以下の動画)からスタート。2日間にわたったプログラムでは、新サービスや機能を発表するキーノートをはじめ、GitHubが掲げるBUILD、COLLABORATE、DEPLOYの3つをテーマにしたBREAKOUT=セッションエリアが設けられ、ソフトウエア開発から企業関係者まで幅広いジャンルのスピーカーに迎えてさまざまなトピックが取り上げられた。

技術的な情報共有もさることながら、GitHubを取り巻くオープンソース市場の拡大や、ソフトウエア開発環境の変化に焦点が当てられており、政府機関やNPO、教育関係での利用拡大を具体事例と共に紹介するセッションが注目を集めていた。

オープニングキーノートに登壇した創業者兼CEOのChris Wanstrath氏は、GitHubをとりまく変遷として、2008年にソーシャルコーディングを実現するサービスとしてスタートしてから、10年には組織で使えるようオープンとクローズの両方へ対応し、12年にはエンタープライズ市場への対応を進めてきたと紹介。

それはそのままソフトウエア開発市場の変遷でもあり、現在は大企業や政府までもがオープンソースを利用し、その結果2700万を超えるプロジェクトで活用されている。結果、GitHubの月間ビジター数は3600万を超えているという。

利用企業はハードメーカー にも拡大。市場に合わせ「横のつながり」に注力

同社は何よりもサービスの使いやすさを重視し、ユーザーインターフェースやコミュニケーション機能の充実に力を入れ、新機能も次々に提供してきた。

今回はWebデザインやクリエイターの利用が増えていることに合わせて、大容量のファイルストレージ機能を提供する『Git LFS』や、GitHubパートナーによるさまざまなサービスやツールをプロジェクトに合わせて提案する『Integrations Directory』を発表。

さらに、ハードウエアオープン認証規格であるU2F(FIDO Universal 2nd Factor)に対応するセキュアな規格技術を開発するYubicoと提携し、ワンタイムパスワードを簡単に生成できるUSBキーことYubikeyをユーザーに低価格で提供するプランを発表し、会場では無料で配布された。

このようにGitHubはさまざまなパートナーとの連携を拡げており、キーノートではAWSやAzureをはじめ、ATOMなど競合関係に当たりそうなサービスも含めてパートナー関係にあることが強調され、会場内にも彼らが提供する交流スペースがあちこちに見られた。特に、今後強まるであろう大企業でのオープンソース開発においては、GitHubに加えていかに有用なツールが使えるかがカギになる。

実際に大規模組織での活用は増えており、例としてNASAの研究機関であるエイムズ研究センターが、米国内にある9つの国際パートナーと連携して300名以上とバーチャルで運営する太陽系探査プロジェクトの事例が紹介された。

5年間にわたるプロジェクトでは優秀な人材を一カ所に集めるのは難しく、その時々に必要な専門家がバーチャルに参加する方法が有効であるとしているが、こうした開発手法はすでに大企業での採用が始まっている。

会場で行われたセッションでも、Facebook、Microsoft、Airbnb、Spotify、Etsyといった企業からスピーカーが登壇し、活用事例を紹介。

中でも興味深かったのは、GE、Target、Ford、John Deereのソフトウエア開発担当者が参加したトークセッションで、ハードウエアや流通を手掛ける世界規模の企業において、アプリ開発などを含めたソフトウエア開発の重要性は高まる一方で、エンジニアの採用が重要課題になりつつあることが紹介されていた。

どんなコードが得意かより、マネジメントのスキルが必要で、企業カルチャーに配慮した開発ができるような人材が世界中で求められているとの声もあった。

キーノートに登壇したChris Wanstrath CEOは、GitHubのこれまでの成長要因としてユーザー本位のサービス提供とパートナー関係の拡大、市場への柔軟な対応をあげ、「全ての人がデベロッパーになり参加者になるのが目標」と参加者とユーストリーム中継の視聴者に向けて語った

キーノートに登壇したChris Wanstrath CEOは、GitHubのこれまでの成長要因としてユーザー本位のサービス提供とパートナー関係の拡大、市場への柔軟な対応をあげ、「全ての人がデベロッパーになり参加者になるのが目標」と参加者とユーストリーム中継の視聴者に向けて語った

キーノートではGitHubのサービスだけでなくパートナーとの連携についても時間をかけて紹介されていた

キーノートではGitHubのサービスだけでなくパートナーとの連携についても時間をかけて紹介されていた

オープンデータ活用で社会変革を担う一面も

GitHubが利用されるジャンルは幅広く、2日目のキーノートではで社会を変革するツールとしてのGitHub利用事例が、バイスプレジデントを務めるNicole Sanchez氏の進行で紹介された。

そこでもエンジニアの重要性が語られており、貧困で水道が使えない母子家庭を支える寄付オンラインで募る『Detroit Water Project』の担当者は、「Webサイトの開発やアイデアの面でエンジニアの協力なしには実現できなかった」と語った。これからも社会をより良い方向へとハックするためにボランティアに参加してほしいと呼びかけていた。

エンジニアを育成するための環境も必要であり、特に子供や女性が活躍するためのスキルとしてエンジニアリングとサイエンスの教育に力を入れていくべきとの発表もあった。初日のキーノートでも紹介された『GitHub Education』というプロジェクトはその一つであり、イベント後に『Classroom for GitHub』というオンライン教育用サービスも発表されている。

2日めのキーノートでは社会や教育の場でのGitHubの活用事例が紹介された。写真はの担当者の講演

2日目のキーノートでは社会や教育の場でのGitHubの活用事例が紹介された。写真は『Detroit Water Project』の担当者の講演

行政でもエンジニアの活用は強く求められており、実は日本でもすでにGitHubを通じてエンジニアと連携する動きが始まっている。

「Changing Lives with Open Data」と題されたセッションでは、ロサンゼルスのオープンデータの活用促進や、サンフランシスコ市内の交通データベースを活用して社会事業を立ち上げたREMIXと並んで、国土地理院によるGIS(地理情報システム)データの公開と利活用の事例が紹介された。

発表を行った情報普及課の藤村英範氏は、2003年から始めたGISのオープンデータ化から、より活用を拡げてもらうためGitHubの活用を決め、14年7月の御嶽山噴火や今年9月の鬼怒川堤防決壊では、ヘリやドローンで収集した情報をいち早く公開していると説明。

「データは公開するだけでなく使われなくては意味がなく、エンジニアが参加しやすいようプラットフォームの選択肢を広げるのは重要」ともコメントしている。

>> 藤村氏への詳しいインタビュー記事はコチラ

オープンデータを活用する先進的な自治体の事例としてロサンゼルス、サンフランシスコ、そして国土地理院の事例が紹介された

オープンデータを活用する先進的な自治体の事例としてロサンゼルス、サンフランシスコ、そして国土地理院の事例が紹介された

幅広いプログラム構成から見えるGitHubの広がり

プログラム全体として先進事例やメッセージ性の高い内容が多かったが、もちろん開発に関する具体的なノウハウを学べるセッションも多数行なわれており、APIやWebツールの開発、Gitについても取り上げられていた。

ソフトウエアアーキテクトのエキスパートであるMoziilaのMYK MELEZ氏は、GitHubのオフライン機能で活用できるツールの開発技術について解説。GitHubユーザーの増加と共にニーズが高まるのは間違いなく、ツールが増えることはコミュニティ全体にとっても支援になるはずだが、まだまだ数もアイデアも少ないので、興味を持って取り組んでみてほしいとコメントしていた。

GitHubやプロジェクトの運用管理をテーマにしたセッションでは、「利用者が混乱するのでWebのアップデートは48時間以内にしてはいけない」、「だが、セキュリティアップデートはできるだけ早急に行わなければならない」といった基本的な話題も取り上げられていた。

セッションの内容は幅広くAPIやアプリ開発について解説する専門的な内容もあった

セッションの内容は幅広くAPIやアプリ開発について解説する専門的な内容もあった。写真は情報管理ツール『Confluence』などで知られるAtlassianのセッション

GitHubは、オープンソースソフトウエアを通じて社会のあり方や働き方に変革をもたらそうというメッセージを発信し続けているが、その中でエンジニアが一体どのような役割を求められるのかというヒントが、本イベントではあちこちで語られていたように感じられた。

最近ではソフトウエア開発以外にも、Webサービスの構築や雑誌の編集、教育ツールとしての活用にまで広がっており、全体として参加者のスキルというよりは、GitHubの活用目的に合わせたプログラム構成だったように見える。

CEOのWanstrath氏は「プロジェクトにはビジョンとコミュニケーションが大事であり、それに対して必要な技術を磨くプラットフォームとしてもGitHubを活用できるようにしていく」と語っており、今後はオンラインでこうしたセッションが開催されるかもしれない。

GitHubの動きを知り、どのようなメッセージを発信しているのかに注目することは、エンジニアとコードの未来を知るためにこれからますます必要になりそうだ。

会場のPier 70は廃工場を再利用したユニークなイベントスペース

会場のPier 70は廃工場を再利用したユニークなイベントスペース

取材・文・撮影/野々下 裕子




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