エンジニアtype - エンジニアのシゴト人生を考えるWebマガジン
  • TOP
  • キーパーソン
  • 旬ネタ
  • コラボ
  • ノウハウ
  • 女子部
  • キャリア

月面探査の『Google Lunar XPRIZE』で中間賞受賞のハクトが「今欲しい人」は意外な技術者

タグ : Google Lunar XPRIZE, HAKUTO, ハクト, 吉田和哉, 宇宙開発, 袴田武史 公開

 

HAKUTOが開発する月面探査ローバーのプレフライトモデル『Moonraker』

ロボット探査機を月に飛ばし、月面を走行しながら撮ったHD画質映像を地球に送信するのをミッションに行われている米XPRIZE財団主催のコンテスト『Google Lunar XPRIZE』は、1月26日に中間賞の受賞チームを発表した。

着陸・機動性・撮影3つの要素技術についての実験結果を審査し、5つのチームが選ばれたが、日本から参加する唯一のチームである『HAKUTO(ハクト)』も見事に受賞。開発資金などとして50万ドル(約6000万円)の賞金を獲得している。

このニュースを例に挙げるまでもなく、昨今、「宇宙開発」をテーマとした民間企業に注目の集まる機会が如実に増えてきた。日本ではHAKUTOのほか、堀江貴文氏らが手掛けるロケット開発なども話題を呼んでいる。

しかし、日ごろWebや業務システム開発に携わるITエンジニアにとって、宇宙に関する開発は縁遠い世界に感じるはず。単純に、身近なプレーヤーがいないことがその要因だろう。

その固定概念をくつがえすような話が、業界関係者から出ている。【宇宙×テクノロジー】の領域で今後必要性が高まるのは、むしろソフトウエアエンジニアだというのだ。

昨年12月18日、Google Lunar XPRIZEの中間賞審査も兼ねて行われたHAKUTOのローバー走行試験に筆者が立ち会った際、HAKUTOの開発を行うispace代表の袴田武史氏と、開発チームリーダーで取締役の吉田和哉氏(東北大学教授)から得たコメントを紹介しよう。

「ハード面の開発はほぼ完成に近い」

(写真左から)HAKUTO開発チームリーダーの吉田和哉氏と、代表の袴田武史氏

ローバーの試走が行われたのは、月の環境に近しいとされる静岡県の中田島砂丘。月面探査ローバーのプレフライトモデル『Moonraker』が500メートル走行可能であることを証明することと、Moonrakerに搭載されている『Tetris』という小型ローバーが月面縦孔探査を行う性能があることを実証すべく、関係者や報道陣たちが集まっていた。

『Tetris』の開発は『Google Lunar XPRIZE』の賞レースとは関係なくHAKUTOのオリジナルミッションとして行われており、日本の月周回衛星『かぐや』の探査によって発見されたとされる月の縦孔の探査を目的としている。

縦孔の実態を調査することで基地の建設などにつながれば、宇宙開発の新たなステップとなる。

走行試験はMoonrakerが着陸船から降ろされるところからスタート。時速約100メートルというゆっくりとしたスピードだが、確実に砂面を走り出した。

途中にある障害物は、搭載された360度カメラによって映像がコントロールルームに送られ、遠隔操作で回避が可能。当日は走行試験場から、100メートルほど離れたところに擬似コントロールルームが設置され、送られてくる映像だけを頼りに的確な操作を行っていた。

3時間ほどに及んだ走行試験は危なげなく成功。続けて行われたTetrisを縦孔に見立てた崖に降ろし、再度引き上げるという試験も無事に成功した。

この日の結果を受けて、吉田氏はこう話した。

「ハード面の開発進捗は順調。細かいブラッシュアップは必要だが、ほぼほぼ完成に近いと言ってもいい」

袴田氏も「Moonrakerの重量は10kg、他国のローバーは20~30kgで軽量化では頭一つ出ています。日本が誇る小型化の技術が活きている格好です。また、タイヤのホイールを3Dプリンタで作成したり、民生品の部品を活用してのコストカットも重視している」と自信を見せた。

さらなる発展に必要なのは、データ収集&分析の精度を上げること

『Moonraker』(写真右)に引っ張られる形で駆動する、小型ローバーの『Tetris』

順調な開発状況から、夢の実現に期待を抱かせてくれた走行試験の成功。今回の中間賞受賞は、その期待をより実現に近づけるものとなったが、HAKUTOのゴールはGoogle Lunar X Prizeのミッションを達成し、賞金を獲得することではないと袴田氏は語る。

「Google Lunar X Prizeは単なる賞金レースではなく、宇宙開発に関わる産業の活性化を最終的な目標としています。我々も、このレースを通じて日本の宇宙開発関連産業の活性化を目指していきたい」(袴田氏)

この宇宙開発産業の活性化に、ソフトウエア関連の開発者が求められているという。HAKUTOのチーム体制について吉田氏に聞いたところ、開発に協力してくれるサポーターを現在進行形で募集中だと話した。

「現在は東北大学の学生を中心としたメンバーで開発を行っていますが、人手が足りていない状況です。特に、これから必要になってくるのはソフトウエア系のエンジニア。ハード面での開発は、今回の試験が無事成功したように順調に進んでいる。これからは、ローバーにどのようにデータを取得させるか、取得したデータを分析しどのように活かすか、といった技術も重要になってきます」(吉田氏)

また、中田島砂丘でのローバー走行を視察していたGoogle Lunar X Prizeの審査員も、「走行機能と同様に、どのようなデータを得て、分析できるかという点を重視している」と話していた。両者の話から、ソフトウエア面の強化が次のステップへ進む上での課題となっているのはHAKUTOだけの話ではないことが分かる。

こうした流れを象徴する動きは、すでにアメリカでは起きていると袴田氏は明かす。

「Googleが積極的に宇宙開発やロボティクス事業に投資を行っているように、ソフトウエア開発が主軸だった企業が民間宇宙開発の中心となっていく兆しがあります。今後は特に、宇宙開発におけるソフトウエア分野の強化がトレンドになってくるはずです」(袴田氏)

多くのエンジニアにとって、宇宙開発が活躍の場として現実味を帯びてくるかもしれない。

取材・文・撮影/長瀬光弘(東京ピストル




人気のタグ
業界有名人 スタートアップ 開発 SE 転職 エンジニア プログラマー Web スキルアップ ソーシャル アプリ シリコンバレー キャリア プログラミング Android 起業 えふしん スマートフォン アプリ開発 SIer 技術者 UI btrax Webサービス クラウド Apple スペシャリスト CTO Twitter Brandon K. Hill ギーク 英語 村上福之 Facebook Google デザイン IoT SNS ツイキャス 世良耕太 モイめし IT 30代 採用 赤松洋介 コーディング 20代 UX 勉強会 プロジェクトマネジメント Ruby ITイベント Webエンジニア 中島聡 ビッグデータ 法林浩之 ウエアラブル iOS 五十嵐悠紀 LINE ドワンゴ ひがやすを ロボット 受託開発 モノづくり IT業界 コミュニケーション イノベーション ハードウエア MAKERS tips ゲーム 女性 ソーシャルゲーム Webアプリ SI インフラ iPhone 女性技術者 高須正和 マイクロソフト 研究者 UI/UX トヨタ 自動車 ノウハウ チームラボ 息抜き システム ソニー プラットフォーム Java メイカームーブメント オープンソース 和田卓人 エンジン グローバル 開発者 教育 イベント サイバーエージェント ソフトウェア 女子会 コミュニティ メーカー 家入一真 スーパーギーク 増井雄一郎 GitHub 人工知能 IPA 40代 日産 テスト駆動開発 ソフトウエア 音楽 TDD ニュース モバイル PHP TechLION

タグ一覧を見る