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過去17回「App Storeで1位」を獲得したイグニスがやっている、勝率7割でTOP10アプリを生み出す4つの秘策

タグ : iOS, アプリ開発, イグニス, ヒット 公開

 
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(写真左から)イグニス取締役CTO の鈴木貴明氏と、代表取締役社長の銭錕氏

2015年3月卒業予定の学生を対象に、「App Storeでランキング1位を獲るアプリを一緒に創る」というユニークなインターンを実施しているベンチャーがある。2010年5月の設立以来、エンタメアプリ『妄想電話』(※注)やメモリ開放アプリ『サクサク for iPhone DX』など、硬軟織り交ぜたスマホアプリを次々に送り出している株式会社イグニスだ。

驚くのは、これまでにリリースした約80のアプリのうち、17本がストア総合No.1を獲得、総合10位以内に入ったアプリは60もあるという実績。実に7割超のアプリが、ランキングTOP10入りを果している計算となる。

今回イグニスが始めた「IGNIS SUMMER JOB 2013」では、プロデュースコースとエンジニアコースの2つに参加するインターン生に、彼らが培ってきたヒットアプリ量産の方法論をアドバイスするという。

IGNIS SUMMER JOB 2013

「IGNIS SUMMER JOB 2013」の告知ページ

同社の創業社長で、ネット広告代理店出身の銭錕氏は、そのノウハウ構築のプロセスをこう明かす。

「会社を立ち上げたばかりのころ、『しゃべるカメラ』や『ドリームコール』など、自分たちで面白がって作ったアプリが連続でストアNo.1になるという幸運に恵まれたんですね。ただ、中には今考えるとまぐれ当たりなものもあった。そこで、なぜヒットしたのかをきちんと体系化してみようとなったんです」

こうして紡ぎ出した「ヒット量産の方程式」によって、これまでイグニスがリリースしたアプリは累計で3000万DLを達成、月間アクセスの総ユーザー数は実に630万人超(2013年5月)を誇っている。

「iOSのアップデートがあると、ストアの上位はAppleの自社アプリや目玉サービスに関するアプリが独占します。それに、LINE POPのような他社の“お化けアプリ”が投入されるタイミングと重なると、当面1位は獲れません。ただ、こういった外部要因を考慮しても、たいていのアプリは『狙って総合TOP10以内』に入れられる自信があります」

ソーシャルゲームや人気アプリのヒット分析記事などを見ると、「ユーザーデータの分析が重要」といったようなポイントが強調して語られることが多い。が、そもそも企画が刺さらなければ分析も意味はない。イグニスでは、この考えに基づいて、ヒット量産の方程式を編み出している。

では、その中身はどんなものなのか? 企業秘密となっている細かな作り込みやマーケティングノウハウを除けば、おおむね4つのステップで企画~開発することで高確率でNo.1を獲ることができるという。

(※注)『妄想電話』は、根岸侑平氏が開発したものをイグニスが引き取っている。

【1】 App Storeに“住み込む”ことで大衆心理を知る

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日々国内のストアランキングをチェックするというアプリ開発者は多いが、「住み込む」とは…?

同社で企画・開発を担うスタッフは、全員が「App Storeに住んでいる」(銭氏)と言うくらい常にApp Storeのランキングをウォッチしているという。

1日1度、国内のストアをチェックするというレベルではない。日本のみならず各国のストアを、総合だけでなくカテゴリ別に、隙間時間があればちょくちょく見続けるというから、「住んでいる」という表現もあながち間違っていなそうだ。

その結果、肌感覚で「どんなアプリがヒットするのか」、「ヒットアプリに共通する要素は何か」といったものが分かってくるという。銭氏はそれを「俗っぽさ」と呼ぶ。

「僕自身がすごくミーハーで、今、何が流行ってて何に人気が集まっているのかっていうのがとにかく気になるんです。人気のマンガ雑誌は毎週欠かさず読んでますし(笑)。そういう俗っぽさを持ち続けないと、技術的な面白さや企画の斬新さだけで突っ走ってしまい、失敗作を生んでしまいます」

また、ストアを眺め続けているうちに、ヒットアプリに共通する要素の一つとして「組み合わせの妙」があることにも気付くという。

「アプリに限らず、Webサービスというのは、すでにあるサービスアイデアを組み合わせて新しい面白さを生んでいるパターンが多いのです。なので、定期的に社内で行っているアプリプランコンテストでも、『アレとあれを組み合わせたら今までないサービスが作れるよね』などとよく話しています」

【2】 アプリより「ストアに並ぶ素材」を先に作る

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App Storeで最初に表示される各要素が、DL数を左右する

App StoreでアプリをDLする際、ユーザーがまず目にするのがアプリ名とアイコン。そしてスクリーンショットと説明文だ。

そのためイグニスでは、企画を思い付いたら、これら4つの素材をアプリより先に作り、“擬似ストア画面”にはめ込んでみるのだという。ユーザー目線に立って「直感的に面白いかどうか」を判断するためだ。

この段階で面白くないと判断したアプリは、場合によって調整どころか開発すらしないという。取締役CTOの鈴木貴明氏はこう話す。

「この4つで興味を引かなければ、たとえ中身がすごく面白いアプリでも、ユーザーはDLしてくれません。なので、僕らはアプリの名前から説明文の一語一句まで徹底的にこだわります。この段階でチームメンバー同士が議論していくうちに、開発の方向性やアプリの魅力を全員で共有できるようにもなりますから」(鈴木氏)

【3】 開発は基本3名で“パウエル型スタート”を決める

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企画・開発の高速化をうながす、イグニス独自の「当たる企画シート」のフォーマット(一部)

“パウエル型スタート”とは、陸上100mの元世界記録保持者アサファ・パウエル選手のロケットスタートが印象に残っていたCTO鈴木氏が名付けた開発スタイルのこと。

つまり、上記【2】で共有した開発の方向性に基づいて、原則としてプロデューサー・エンジニア・デザイナーの3名体制ですばやく開発するという意味だ。チームメンバーを必要最小限にしてスピード重視で開発するのは、「App Storeのトレンドはすぐに変わってしまうから」(銭氏)。最短だと3日、長くても1カ月というのが、平均的な開発期間だという。

「App Storeでランキング上位を獲得し、多くのユーザーに使っていただくためには、タイミングと新しい体験を提供することが重要です。大所帯でエンジニア・デザイナーが指示を待つような開発スタイルでは機を逸してしまいます。少数精鋭で新しい体験をプロトタイピングした方が、結果的に良いタイミングでリリースできますね」(鈴木氏)

ちなみにイグニスは、これまで培ってきたノウハウを、スタッフ全員が利用できる社内ツールに落とし込むことで、開発スピードの向上を図っている。

【1】【2】のフェーズでも、独自の「当たる企画シート(上図参照)」や、PCで作成したスクリーンショットがスマホでどう見えるのかを同期しながらチェックできるツールなどを開発・利用している。

こうした開発環境の地道な構築も、“パウエル型スタート”を成功させるベースといえるだろう。

【4】 検索アルゴリズムに合わせて紹介文を精査

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取材中は、自らの大量なアプリリリース体験から得たヒットの方程式を各論で披露してくれた

さらに、ユーザーがアプリを検索する際のキーワードやその表記(かな、漢字、カタカナ)にまでこだわるなど、あくまで開発サイドではなくユーザーサイドに立ったアプリ開発を行っている。

App Storeの検索アルゴリズムはそれなりの頻度で変更されるので、それを【1】の習慣によって都度キャッチアップしながら紹介文を作り込むという。

ストア検索では、以下の例のように「正式なアプリ名」を入れないとヒットしないことも多いため、

(例)
サクサク for iPhone⇒ヒット
サクサク⇒ヒットしない
さくさく⇒ヒットしない

そのアルゴリズムを前提として、いかに検索でヒットさせるか考え、手を尽くすのだ。

「アプリ名を友だちに聞く時などは、略語で呼ばれることもあるじゃないですか。『じゃあ略語で検索してもヒットするようにするには?』などと考えながら、微調整していくのです」(銭氏)

現状は、無料アプリでランキング1位~10位を獲ることで多くのユーザーを獲得し、アプリに表示する広告で収入を得るというビジネスモデルでマネタイズしているイグニス。ユーザーがどうアプリを使うかを徹底的に分析した上で開発しているので、広告クリックの導線と露出タイミングについても“誤爆”狙いではないGoodノウハウが社内に蓄積されているそうだ。

今夏行うインターンでは、これらの仕組みを惜しげなく披露する予定ゆえ、「就業体験のレベルではなく実戦として勝負したい学生にはぜひ来てほしい」(銭氏)とのことだ。

>> 「IGNIS SUMMER JOB 2013」は2013年6月28日が事前エントリー締め切り(場合によって二次応募も)!詳細はコチラ

取材・文/浦野孝嗣 撮影/小林 正


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