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話題の飲み会マッチング『JOIN US』は、作り手たちもつなげる「Startup Studio」から生まれていた【連載:NEOジェネ!】

タグ : gram30, JOIN US, エニグモ, スタートアップ, スタートアップスタジオ, マッチング 公開

 
世間をアッと言わせるユニークなアイデアと技術力で勝負しているニュージェネレーションを応援するこの連載。今回紹介するのは、飲み仲間マッチングアプリ『JOIN US』を開発・運営するgram30だ。通過率わずか23%という入会審査の厳しさも話題の同サービスは、日本ではまだ珍しいStartup Studioと呼ばれる事業モデルで、真に「使える」サービスを目指す
(右から)代表取締役社長 内田洋輔氏
取締役 橋本直樹氏

『JOIN US』とは?

飲み仲間マッチングアプリ『JOIN US』

飲み仲間マッチングアプリ『JOIN US

JOIN US』は、今夜飲みに行きたいと考えている人やすでに飲んでいる人同士が、合流して一緒に飲めるようにするマッチングアプリとして、2015年6月にリリースされた。

あくまで「今夜」の飲み会を楽しくすることにフォーカスしており、利用できるのは正午から翌朝5時まで、会話の履歴は朝になると全て消去されるという仕組みに特徴がある。

会員登録はFacebookアカウントで行うが、安全性や信頼性の観点から、その後に設けられている厳格な入会審査を通らないと利用することはできない。

審査基準の詳細は公開されていないものの、男女10人の審査チームがFacebookアカウントの情報を基に行っているという。

7月16日現在で通過率はわずか23%。そのハードルの高さが話題を呼んでいる。

アイデアの出発点:200人と飲み歩いた末に見つけた出会いのカタチ

内田氏

飲み好きの2人が200人以上のユーザーと酒席を重ねた末に、今の『JOIN US』がある

開発・運営するgram30は、ファッション通販サイト『BUYMA』を立ち上げたエニグモのメンバーが、2013年に創業したスタートアップ。『JOIN US』は、料理メニューから探せるグルメサイト『SARAH』(現在は分社化)に続く、同社2つ目の自社サービスになる。

アイデアの出発点は、代表取締役の内田洋輔氏と共同創業者の橋本直樹氏が前職時代からしばしば感じていた、飲みの席にまつわる「あるある」にあった。

「上司や同僚と仕事帰りに飲みに行く機会が多かったのですが、2次会に移るころには仕事の話題も尽きてきます。パーッと楽しむには男ばかりでは面白くないということで女性を呼ぼうという流れになるのですが、知り合いの女性を電話で誘っても、なかなかつかまらないことも多い。一緒に飲める相手をもっと気軽に探す方法はないかと考えたのが『JOIN US』の着想です」(内田氏)

しかし、昨年12月に出したテスト版は、現在の『JOIN US』とは大きく異なるものだった。

「人と人とをつなぐサービスをやるのであれば振り切ったものにすべきと考え、TinderやBumbleといった海外のサービスを強く意識した、いわゆる出会い系サービスに近いものとして作りました。ところが実際に飲み会好きの男女600人を対象に半年間ユーザーテストを続けてみると、想定外の反応が多数を占めたのです」

利用者のニーズは恋人探しではなく、楽しく飲みの時間を過ごせるコミュニティ探しにあることが分かった。それは結果として、自分たちが当初欲しいと考えたサービスのカタチと一致するものだった。

2人はこの半年間で、200人近いユーザーと飲みに行ってもいるという。実際の利用シーンでヒアリングしなければ、ユーザーの本当のニーズを知ることはできないと考えたからだ。

もともと飲み好きの2人とはいえ、肝臓が悲鳴を上げるほどの「はしご酒」を重ねた末に、現在のUIはでき上がっていた。

開発のポイント:リサーチ結果を即反映。テストファーストの開発体制

橋本氏

「テストファーストな開発体制にしてからうまく回り始めた」と橋本氏

マッチング候補として表示されるのは男女最大8グループで、ログインした時間帯や距離などによって決まる。同じオフィスで働く人ばかりが表示されないように、時間帯によってもアルゴリズムは変わる。

サービスの肝はこのアルゴリズムにあるため、6月のリリース以降もヒアリングの結果を受けて細かいチューニングを絶えず行っている。

フィードバック→チューニング→デプロイのサイクルは多い時で1日10回。Circle CIとDeployGateによるテストファーストな開発体制が、高速なデプロイサイクルを支えているという。

「ただ、最初はヒアリングで得られる情報が多すぎて、どこにフォーカスしてチューニングを行えば良いかの判断がつきませんでした。当初のテスト段階で出会い系サービスとしてスタートしたのも市場のデータに基づいた判断でしたが、結果としては正解ではなかった。リサーチやヒアリングが大切なのは当然ですが、100人中80人が『YES』と答えたからといって、それが正解とは限らないというのを実感しています」(橋本氏)

現在では、最終的な判断基準は「自分たちがどういうものを作りたいか」に置いているという。

「こういうサービスがあったら面白いはず、という自分たちの思いがまずあるべき。それに賛同してくれる人が世の中にどれくらいいるのかを知るのがリサーチだと考えるようになりました。そうした切り替えがあったからこそ、今までありそうでなかったサービスを生み出すことができたと思っています」(内田氏)

スペシャリストがプロジェクト単位で集うStartup Studioとは?

内田氏、橋本氏

gram30が採る事業モデル「Startup Studio」とは?

内田氏はエニグモ時代から企画職。橋本氏はもともとはエンジニアだが、キャリアの途中からはやはり企画側に回った。

『JOIN US』の開発にgram30の社員エンジニアはかかわっていない。開発しているのは、フィリピンからリモートで参加しているiOS担当の筒井直樹氏、サーバサイド担当の田中勇一氏という2人のフリーランスのエンジニアだ。

こうしたチーム構成を採っているのには、同社がStartup Studioと呼ばれる事業モデルを採用していることが関係している。

内田氏によればStartup Studioとは、自社サービスの開発と並行して外部のスタートアップ企業の育成や投資なども行い、双方で得られたノウハウを互いに還元するという事業モデルを指すという。

「働き方も社員か外注かといった従来的な枠組みにはこだわりません。必要なスキルや知識を持ったスペシャリストたちがプロジェクト単位で集い、役目を終えれば去っていく。プロジェクトの趣旨に本当に賛同した人だけが参加するからブレないし、プロジェクトが終わった後のスタジオにはスキルや知識が蓄積していくから、次のプロジェクトにもつながっていきます」

当初はウオーターフォール的な進め方だったものを、テストファーストなアジャイル方式へと切り替えたのは筒井氏の発案であり、『JOIN US』の核となるマッチングアルゴリズムは田中氏がいて初めて実現できたもの。エンジニア歴20年超というベテランらの存在が、gram30にもたらす価値は大きい。

そうした自由な働き方を成立させるためのポイントとして、メンバー同士が顔を合わせることには重きを置いているという。

「自分たちが作ろうとしているサービスは楽しさを追求したものです。ヒントは一見余計なことのように思えるところにあるし、会話の中で生まれる臨場感やノリが大切だと考えています。だから対面のミーティングは頻繁に行っていますし、たとえフィリピンからのリモートであっても、Skypeでのやり取りを多くしています」(内田氏)

Startup Studioとしての歩みはまだ始まったばかりで、現時点で他社がうらやむような知見が溜まっているわけではもちろんない。この先、理想的なサイクルに持っていくためにも、まずは『JOIN US』を秀でたサービスに育てることが最優先と考えている。

目指すのはライフスタイルの劇的な変革

利用状況の詳細な数値は公開していないが、DL数は当初想定の10倍以上、DLしたユーザーが審査を申請する割合は9割を超えているという。「アクティブ率も想定していた数値を超えており、運営が悲鳴を上げるほど順調な滑り出し」(橋本氏)となった。

しかし、チームの受け止め方は冷静だ。

「厳しい審査という部分が話題を呼んでいるのが現状であって、本当に飲みの場を楽しいものにできるかどうか、『使える』サービスになれるかの勝負はこれからだと考えています」(内田氏)

「アプリの構造としてはごくシンプルなものなので、カギはマッチングのアルゴリズムをいかに最適なものに近付けられるかにあると思っています。カスタマーサービスなど運営面の体制づくりも重要になってくるでしょう」(橋本氏)

現在はiOSアプリのみ、利用エリアも23区内に限られているが、近々にAndroidアプリのリリース、エリアの拡大も予定している。

gram30は、遊び方や働き方など、生き方のスタイルを変えることをフィロソフィーに掲げて立ち上げた会社。『JOIN US』が目指すのは最強の飲み会ツール、「飲み方」の変革だ。

「一時的に話題を集めるサービスは世の中に数多くあっても、本当に人々のライフスタイルを変革するところまでいったものは一握りではないでしょうか。Appleの音楽サービスが音楽の楽しみ方を変えたように、ライフスタイルを劇的に変えるようなサービスを生み出していきたいと思っています」(内田氏)

取材・文/鈴木陸夫(編集部) 撮影/竹井俊晴

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