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企業、個人を問わず、デフレ経済をサバイブするカギは“副業”にアリ【連載:小松俊明⑪】

タグ : ワークスタイル, 副業, 稼ぐ 公開

 
キャリアコンサルタント・小松俊明の「最新ニュースから読み解くキャリアの未来」
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東京海洋大学特任教授/グローバル・キャリアコンサルタント
小松俊明 [@headhunterjp]

慶應義塾大学法学部を卒業後、住友商事、外資コンサル会社を経て独立。エンジニアの転職事情に詳しい。『35歳からの転職成功マニュアル』、『デキる上司は定時に帰る』ほか著書多数。海外在住12年、国内外で2回の起業を経験した異色の経歴を持つ。現在はリクルーターズ株式会社の代表取締役、オールアバウトの転職ノウハウガイド、厚生労働省指定実施機関による職業責任者講習講師を務める傍ら、東京海洋大学特任教授として理系大学生のキャリア&グローバル教育の研究と教育に取り組む。小松俊明公式HP転職活動コンサルHP

サラリーマンが副業するというと、どこかうしろめたさが付きまとう時代が長かった。その理由は、「本業がおろそかになっているのではないか」、「本業と競合することになっていないか」、「本業を行う時間に副業に取り組んでいるのではないか」という懸念が払しょくできないからである。

しかし今、副業が日本を救うと言っても過言ではない時代が来たようである。今回のコラムは、デフレ時代に活況となっている副業について、個人、および企業レベルで最新事情を取り上げたいと思う。

不景気が長引いている昨今、落ち込んだ収入を少しでも取り返すには、会社の業績回復に伴う昇給を待っているわけにもいかない。厳しい時代をサバイバルするためには、副業で収入を増やして生計を支えているというビジネスマンが激増中である。

リーマン・ショック後、東芝や富士通は副業を容認した

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文字通り「小銭稼ぎ」というイメージの強かった副業だが、昨今はその意味合いが変わりつつある

ところで、副業に関する法律はどうなっているのだろう。労働法を見る限り、副業を明確に規定している部分はない。つまり、副業禁止には法的根拠がないということだ。

言うなればグレーゾーンと言ってもいいのかもしれない。というのも、就業時間外に就労することに関して、会社が有する権限は及ばないのが原則であるからだ。

副業が会社に直接的な損害をもたらすことがない限り、会社の副業を禁止する規定ですら、いざ訴訟となったときに有効であるかどうかは定かではない。

最近の判例では、大方副業を認める内容が多いことも、サラリーマンが副業に取り組むことの追い風になっていることだろう。

実際、大手企業でも明確な副業規定を設けて、むしろ社員が副業することを奨励しているケースも増えている。その中でも象徴的だったのは、リーマン・ショックが起きた後、東芝や富士通などが1万人を超える自社の社員を対象に、賃金の目減り部分を補ってもらうという名目で副業を認める方向に舵を切ったことではなかっただろうか。

見方によっては、ずいぶん会社にとって調子の良い話をしているように聞こえる。ただし、何がきっかけであれ日本の大手企業が大々的に社員の副業を認めたことには変わりなく、この出来事をきっかけに、世の中の副業に対する意識が大きく変わったことだけは確かである。

東芝の場合、対象となったのは三重県や大分県の半導体工場や埼玉県の液晶パネル工場だったというから、多くの現場のエンジニアに対する副業が解禁されたことになる。

果たして東芝のエンジニアたちは、目減りした収入を補えるだけの副業にありつけたのだろうか。

インターネットの発展で副業が本業化することも

さて、目減りした収入を補うことも副業の大切な目的の一つであるが、最近の副業の特徴はそのことにとどまらない。本業に役立つ人脈を得たり、むしろ副業を始めたおかげで、本業のパフォーマンスが良くなった事例も多い。

それを支えているのが、インターネットメディアの発展ではないだろうか。インターネットを通じて多くの情報の発信や収集が簡単に実現し、副業の受発注を行う環境が整ってきたからだ。

個人が副業に取り組むことは本人の成長にもつながり、さらに人と人を結び付けることで多くのビジネスチャンスを生んでいる。本来、スモールビジネスであったはずの副業が成長した結果、それを本業にする人も増えつつある。

雇用が心配される時代であるが、日本のサラリーマン社会が欧米社会並みにフリーエージェント化し、多くの人が自らの生計を立てられるよう自立することを目指すならば、まずは副業を始めてみることは大きなステップになるだろう。

そうした意味でも、副業が日本を救うと言っても決して大げさではないのではないだろうか。

視聴率低下に悩むテレビ局も“副業”で収益UPを実現

では、企業にとっての副業とは何だろうか。本来企業には本業があり、そこから事業を多角化していくことが定石であった。バブル時代には事業を多角化し過ぎて、むしろ副業の不採算事業に足をすくわれ倒産の憂き目を見た会社もあったが、企業が副業を行う時には十分な注意が求められる。

一例を紹介しよう。ここ最近、テレビ局が多彩な副業に取り組むことで増収増益を繰り返し、過去最高益を記録するまでになっていることにお気付きだろうか。

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From monkist
本業である放送事業における広告売上が低迷する中、「副業」で稼ぎ始めたTV局

今年度の通期予想では、日本テレビは売上高3230億円(経常利益384億円)を記録する見通しで、これは過去最高の数字に迫る勢いという。

インターネットの隆盛や広告出稿量の低下とともにテレビ業界の凋落が伝えられて久しいが、テレビ局は今、放送事業者とは思えないビジネスに力を入れて業績を伸ばしているのだ。

例えば、フジテレビはイベント事業収入だけで昨年度は170億円を越す売上を上げている。グリーと提携してカードゲーム事業に取り組み、ほかにもウェディング事業にまで手を広げている。

日本テレビは番組関連グッズ販売で半期だけで200億円を超える売り上げを記録していると言うし、フジテレビと同じく、グリーと提携してソーシャルゲーム事業にも参入している。TBSも年間150億円以上を不動産事業で売り上げている。

※参考記事:絶好調TV局副業 フジは結婚事業、TBSは高級マンション販売(週刊ポスト)

視聴率が落ち込む中で、各局ともに副業が増収増益を記録していることになる。副業がこれだけの成長をしているのは、「不調な本業」が持つ公共の電波を自社の副業の宣伝や集客に惜しみなく流用しているからともいえるが、ある意味で個人のビジネスパーソンにとってもこれは参考になる話ではないだろうか。

副業の是非より、キャリアの重層化のメリットを考えよう

デフレ時代のリスクヘッジとして、副業に興味を持つエンジニアも多いだろう。エンジニアにとって、自らのキャリアを重層化することにはメリットが大きいはずだ。

今の時代に求められているのは、本業と競合しない副業を細々と行うことではない。むしろ、本業が副業を助けることもあれば、副業が本業を助けることもあるということ。つまり、本業と副業の相関関係が意味を持つことから、副業の是非を問うのではなく、どのような副業を選ぶのかが大切になる。

エンジニアのみならず、すべてのビジネスパーソンが副業を持つことが当たり前な時代がもうそこまで来ていたら? ――そう考えるのも、もう「現実離れ」しているとは言えない時代が来ているのである。




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