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ustwoが実践する「プロダクトの質」を高める組織構築術~ビジョンづくりに時間を費やすのが大事【LEAN UX Japan Conference 2015レポ】

タグ : AppSocially, freee, Lean UX, ustwo, コンセント, ロフトワーク 公開

 

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2015年4月11日、東京・丸の内のリクルートで『LEAN UX Japan Conference 2015~LEAN UXが拓く未来~』が開催された。

本カンファレンスのテーマはズバリ「LEAN UXについて考える1日」。国内外の実践者から LEAN UX と、その概念である Lean Startupの思想を学び、育み、LEAN UXにおいて重要なマインドセットである「ビルの外に出かける」思考を得るというものだ。

当日の会場には、エンジニアやデザイナー、起業家など約100人の参加者が詰め掛けた。

>>「Lean UXとは組織文化をデザインすること」監訳者が明かす、UXデザインの本質

2014年に弊誌が取り上げた上の記事で、『Lean UX―リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン』の監訳者を務めた坂田一倫氏は、LEAN UXを「組織文化をデザインすること」と語った。

一つの機能やUIという枠ではなく、体験を届けるUXデザインは、デザイナーやエンジニア、ビジネスサイドが一丸となって作り上げていくもの。それゆえ、UXデザインを実現するためには、組織文化が重要であるという。

この前提をもとに、当日は「実践と実現」、「開拓と発見」、「創造と共創」の全3部で講演が行われた。

例えば「実践と実現」では、freeeの関口聡介氏が「freeeのUXは社内で炎上していた」と、ユニークな言葉で組織全体の課題を伝えた。エンジニア約50名に対し、UXチームは2名。リソース不足により作業効率の摩擦が生じていたと語り、その解決策として、UX開発はデザイナー、エンジニア全員で行うという意識を定義した事例を語った。

第2部の「開拓と発見」では、AppSociallyの高橋雄介氏が「Lean Startupの手法を教科書どおりに実践するだけではなく、友人感覚でお客さまとミーティングを行う」ことの重要性を説いた。その裏付けは、AppSociallyはソースコードを1行も書かずに投資を受け、受注を獲得するし、シリコンバレーでの起業というチャンスを手に入れたためだ。

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(写真左から)ロフトワーク の林千晶さん、コンセント坂田一倫氏。UXデザイナーの腕の見せ所はこれからだと語る

そして、最後の「創造と共創」のクロージングディスカッションにて、ロフトワーク の林千晶さんとコンセント坂田一倫氏は、「テクノロジーの進化に伴って体験できることが増えた」と語り、韓国が駅の改札をなくしたという事例から「UXデザイナーは常に現状に対して疑問を持つことが大切」と訴えた。

こうして、LEAN UXの実践結果のみならず、UXデザイナーとしての考え方にも踏み込んだ意見が飛び出す1日となった。

その中から、ここでは2014年のベストApp&ゲームやApple Design Awards(Appleデザイン賞)を受賞した『Monument Valley』をリリースしたustwoで、プロダクトデザイナーを務める中村麻由さんのセクション「オーガニック LEAN UX」を紹介する。

ロンドン、マルメ、ニューヨーク、シドニーなどグローバルに展開するデザインスタジオustwo。29カ国の国籍の人間が200人以上集まる組織が、組織の遺伝子レベルでLEAN思想を取り入れた軌跡と組織づくりについて紐解く。

LEANの思想を自然に取り入れることが重要

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ustwoのプロダクトデザイナー中村麻由さん

私がLEAN UXで面白いと感じたところは、モノのあり方にフォーカスしている点です。アジャイルやスクラムの本を読んで、方法論だけ覚えても、製品に上手く反映することって難しいですよね。ustwoにもそんな時代がありました。

私がustwoに入社した当初、ustwoはUIデザインの会社でした。でも、少し経ったくらいから、2つの動きがあったんです。

1つはフロントエンドのディベロッパーが入社し、アジャイルやスクラムのプロセスを導入したということ。次に、UXデザイナーの採用も強化し、ユーザー中心の視点に置き換えて構築するユーザーセンタードデザイン(UCD)を重要視し出したということ。この2つの流れが同時に起こりました。

組織の変化って、やっぱりストレスを生むもので、現場では「上手く進まない」という声も出ていました。アジャイルやスクラムは、ベースがない状態で取り入れてしまうとやりにくかったりしませんか? 何もないのに見積りを考えたりとか。

UCDに関しても、ユーザーテストを行うことに意識が向き過ぎてしまい、時間を掛けたり、テストをした結果に満足してしまったり。最も大切なプロダクトがおざなりになっていると、感じたこともありました。

そうした時に、LEANという言葉が登場しました。

私たちが今まで行ってきた方法論に、Lean Startupの優先付けやビジョンの作り方を当てはめることで、とてもスムーズに仕事を進められる印象を受けました。

ですが、本を読んだり、講義を聞いたりするだけでは、LEANを完璧に実践しようとするあまり、踏み出せないことや、諦めることもあると思います。そうした経験ってありませんか?

LEANは「サービスのあり方」についての思想ですので、考えすぎず毎日の日常業務の中から少しずつ変化させていく。遺伝子的な部分をLEANに近付けていくことをお勧めしたいですね。

協調性と客観性を持ったチーム作りを

昨年から、ustwoではプロジェクトマネジャーというポジションを廃止しました。今はコーチというタイトルで呼ばれています。

名称を変更した理由は、プロジェクトをマネジメントするのは、チームそのものだという考え方を浸透させるためですね。

彼らはプロジェクトに入り込みすぎるのではなく、チームを見るポジションです。適宜、プロジェクトを客観視して、アドバイスやアシストを出すことが仕事なんですね。こうしたポジションを設定することで、周囲が見えなくなってる状況やプロジェクトのビジョンの再確認できるなど、多くのメリットがあります。

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短時間の対面コミュニケーションが重要だと語る中村さん

こうした、組織改編が難しいようであれば、チームで集まって10分ほど話すことをオススメします。

物理的に距離が離れている場合は、ustwoでは『Google+ ハングアウト』を使ったりしながら、クライアントの顔を見て10分くらい話しています。日本と違って海外では、朝礼や朝会みたいな文化がないのに意外ですよね?

でも、こうした時間を設けることで、同じビジョンを持ってプロジェクトを進めることができます。ここで大切なことは、相談ではなく、報告のみにすること。長い時間を掛けてしまうと、だれてしまうのでお気をつけください。

プロセスがないことをプロセスにする

よく、「『Monument Valley』ってどういうプロセスでデザインや開発をしたの?」と質問されるのですが、『Monument Valley』のチームは「プロセスがないことがプロセスだ」と言っていました。

LEANやUCD、アジャイルをやろうという考え方ではなく、自分たちのチームにあった方法だけを取り込んでいるんですね。自然にLEANを実践したチームと言ってもいいかもしれません。

彼らは本当に時間を掛けて、自分たちの作りたいものを模索していました。いろんなアイデアが浮かんでは、スタジオの仲間に見せたりもしていました。

紆余曲折を経て、『Monument Valley』のビジョンにたどり着いた時、全員一致でこれは素晴らしいモノだと手を挙げていましたね。

また、ustwoではクライアントとプロダクトのビジョンを作ることにも時間を掛けています。「世の中をどう変えたいのか?」、「どうして変えたいのか?」などですね。レゴなんかを使ったりもしていますよ。

じっくりとビジョンを決めて、プロダクトに集中する。このスタートを切ることで、プロダクトの質も高まりますし、効率化にもつながると感じています。

失敗を恐れない思考へ

ustwoが品質の高いプロダクトを生み出し続けられる理由とは

デザイナーもエンジニアも、完璧な仕事を求めますよね。でも、Lean UXを実践すると、見せたくない途中経過でフィードバックを受けなくてはいけません。

これって、とても怖いことですよね。見せる相手もプロなので、批判の声なんて当たり前ですし。

ただ、「見せる」ということを、当たり前にしなければいけないと思うんです。常にユーザーテストを行うという発想ですね。ustwoでは、人に見せることを当たり前にするために、ポストイットで壁に貼ったり、人に感想を聞きに行ったりしています。

デザインやコードに対しての、指摘を恐れず客観性を得るチャンスだと思って、いろいろな人に途中経過を見せてみると、新しい気付きがあります。

これからLEAN UXに取り組みたい方や、取り組んでみたけど、上手くいかない方は、まずLEANの思想だけを自然に日々の業務に取り入れ、少しずつ行動を変えてみるといいのではないでしょうか。

取材・文/川野優希(編集部) 写真/Lean UX Circle提供




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