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入力の速さやテンポで「質」が分かる?口コミサイト『マンションノート』が導入した投稿の品質審査システムが面白い

タグ : スタートアップ, データ解析, マンションノート, 口コミ 公開

 

『食べログ』や『カカクコム』などの大規模CGMプラットフォームを例に出すまでもなく、いまやユーザー行動を左右する大きな要素となっている「口コミ」。一方で、口コミサイトを利用するユーザーが増えれば増えるほど、虚偽の内容だったり匿名による悪意に満ちた投稿も増えるのが世の常だ。

CGMサービスを運営する企業は、さまざまな方法で投稿内容の真偽を判断しながら、サービスの信頼度を上げていく努力をしているが、このたびマンションの口コミサイト『マンションノート』が興味深い方法を導入したと発表した。

>> 口コミ入力画面における「タイピングデータ」に基づく口コミ品質の判別サポート機能を本格導入

マンションに関する口コミサイトとしては日本最大級の『マンションノート

2013年3月にβ版をリリースして以来、全国数十万件のマンションを対象に、住人および元住人、周辺に住む人や専門家、不動産業者、物件オーナーなどそれぞれの立場から投稿を集めてきた同サービスは、100万件を超える口コミを有している。

この実績を元に、今秋から不動産総合情報サイトの『SUUMO』や『Yahoo!不動産』、『エキサイト不動産』と提携して「マンションの口コミ」や「エリア口コミ(マンションがある地区の住みやすさなどの口コミ)」の一部を提供するなどの活動も開始。ユーザーから集める口コミは同サービスの生命線となっている。

そこで『マンションノート』を運営するレンガでは、これまで数カ月に渡って、ユーザーが投稿した口コミの内容と共に、投稿時の行動データも取得・分析。それにより、投稿内容の質を一定の精度で推測できることが判明したという。

どういった仕組みでデータを取得し、口コミの信用度を測る上でどのように役立てているのか。レンガ代表取締役社長の藤井真人氏と、執行役員で開発を一手に担う小原和磨氏に詳細を聞いた。

投稿欄でのユーザー行動を分析することで質の評価アルゴリズムを作成

(写真左から)レンガ執行役員の小原和磨氏と、代表取締役社長の藤井真人氏

同社が注目したのは、『マンションノート』に口コミを投稿するユーザーが投稿欄に文字を打ち込む際に掛かった時間やテンポ、それにコピー回数やペースト回数といった投稿者の行動データだ。

そもそものきっかけは、同サービスの特徴でもある「独自スコア(不特定多数のユーザーによる口コミ情報と、住環境の良しあしを示す各種の客観指標を掛け合わせたもの)」の精度を高めるべく共同研究を進めている、東京大学大学院の北垣亮馬氏との会話にあったと藤井氏は語る。

「ある研究結果によると、人がある行動から次の行動に移る際、その間隔が短いほど熱意が高いらしい、というお話を伺いました。その視点からさまざまな議論をしていく中で、口コミの投稿においても『ちゃんと考えて投稿する人』と『適当に投稿している人』では入力スピードなどの行動パターンに差があるかもしれないという仮説を立てて、自社で調査・分析を始めたのです」

この仮説の下、小原氏が口コミ投稿欄における各ユーザーのタイピング速度を測るための仕組みを作り、さらにタイピングに関する一連の行動データを取り始めたところ、一定の精度で「どれくらい丁寧に書こうとしたか」を推察できることが分かった。

『マンションノート』はもともと、ユーザーの投稿情報を表示する前にカスタマーリレーション担当部署で目視による審査を行い、投稿された口コミの質をランク分けしてきたが、本データも合わせて活用することで「口コミを投稿したユーザーの人数と投稿にかかったスピードをX/Y軸で図表化し、グラフの最も高い部分から離れている場合ほど、質の低い投稿の割合が高い傾向があるということが判明した」(小原氏)という。

また、投稿を終えるまでのスピードが速過ぎる場合はコピペによる投稿である可能性が考えられるが、「同じコピペでも、人によっては別のファイルに投稿内容を書き溜めてから入力するユーザーもいる」(小原氏)ため、一概に入力スピードだけでは「質」を判断できないことも分かった。そこで着目したのが、入力時のテンポだ。

「例えば丁寧に口コミを入力してくださるユーザーの場合、途中で書き直したりしながら内容を推敲するためか、一定のリズムにはなりにくいのです。逆に、適当に文字を打ち込むユーザーほど、入力のテンポが一定のリズムになりがちだということが分かりました」(小原氏)

その他非公表の視点がいくつかあるようだが、こういった特徴を統計情報として分析することで、独自の評価アルゴリズムを算出し、審査の精度向上に役立てているという。

「これまでは試験的に運用していたのですが、微調整を続けた結果、口コミ審査の精度向上に活用できるレベルに達したと判断したため、正式に審査システムの機能として採用することに決めました」(藤井氏)

人数が少ないベンチャーだからこそ、技術で解決する

『マンションノート』では、「世の中に完璧なマンションも、魅力が全くないマンションも存在しない」という思想で、良い面と気になる面の両方を投稿してもらう仕組みになっている

現在、『マンションノート』の社員が閲覧する管理画面には、上記の手法で導き出した各種数値が表示されると共に、閾値を超えるとアラームが付くようにカスタマイズされている。

これまでは、目視による投稿内容の審査を行う際、口コミ件数が多い物件など一部のマンションについては別途“裏取り”の情報収集を行うなどしてきたが、この施策によって口コミの品質判断をさらに強化することが可能になった。

「我々はベンチャー企業ですので、容易に人を増やすことができません。だから、テクノロジーによってシステムを改善し続けることで手間を減らす方向に動くのが必要不可欠となります。その意味で、ユーザーには直接的に関係のない機能開発にも注力しなければならないと全社員が理解しています。それに、日々強化されていく裏側の管理・オペレーションシステムは、利用者の方々により良いサービスを提供する上で『表に見えないマンションノートの強み』として、今後も発揮されると考えています」(藤井氏)

こう語る藤井氏の念頭には、投稿内容の信用度を損なうことは口コミサイトとして死活問題になるという考えがある。

システム開発を行っている小原氏も、「口コミが増え、審査する人員も増えていくと、それだけ質にバラつきが生じるためサービス全体の品質低下につながりかねない。だから、システムで解消できる部分はどんどん改善していきたい」と語る。

その言葉通り、同社ではA/Bテストのツールなども「以前は『Optimizely』を利用していたが、2週間で自社専用のツールを開発した」(小原氏)そうだ。独自にバンディットアルゴリズムも導入して、同社のニーズに合ったより強いツールにしている。徹底したテクノロジードリブンの賜物だ。

「CGMプラットフォームが成長していくために最も重要なのは、口コミの信頼性を含めた良質な『場作り』だと考えています。今回の取り組みは、即ユーザー数の向上やマネタイズにつながる施策ではありませんが、良質な“場”を作っていくためには必要なアプローチだと信じています。また、たとえそれが直接的な収益につながらなかったとしても、サービスを利用する方々にとって何が大切なのか、今後も全メンバーが常に意識してサービスづくりを進めていきたいと考えています」(藤井氏)

取材・文・撮影/伊藤健吾(編集部)




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