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「ヤフー爆速36時間」その時、現場は…Googleリーダー乗り換えツールを2日弱で開発したMy Yahoo!チームを直撃

タグ : My Yahoo!, RSS, yahoo!, ヤフー, 爆速 公開

 

多くのネットユーザーが話題にした、Googleリーダーの終了(2013年7月1日予定)。そのニュースが日本に伝わり始めたのが3月14日(木)朝のこと。

それから約36時間後の翌15日(金)22時過ぎ、Yahoo! JAPANはGoogleリーダーのRSS情報などをそのまま引き継げる乗り換えツール『たった3分でMy Yahoo! へ引っ越ししよう!』の提供を開始した。

My Yahoo hikkoshi

3/15(金)夜にリリースされた、『たった3分でMy Yahoo! へ引っ越ししよう!』告知ページ

ヤフーは2012年4月に経営陣を刷新。同時に「爆速化プロジェクト」を推進してきたことは、当サイトでも何度か紹介した。今回のMy Yahoo!への乗り換えツール開発は、まさにその“爆速”を体現したプロジェクトといえる。

そこで、「あの36時間」に現場では何が起きていたのかを、開発を主導したメンバーに直撃してきた。

驚くことに、中核を担ったメンバーのうち、サービスマネージャーの新屋勝啓氏(2010年入社)、デザインなどフロント部分を担当した山口玲弥氏(2011年入社)、サーバーサイドなどバックエンドを担った加藤雄大氏(2012年入社)の3人は、それぞれ新卒1~3年目の若手社員だという。

現場発の「開発宣言」で半日後には5人+αのプロジェクトが発足

My Yahoo devteam

(写真左から)今回の“爆速”をやってのけた山口玲弥氏、新屋勝啓氏、加藤雄大氏

時系列で振り返ろう。まず、今回のツール開発を決断し、プロジェクトをリードしたのは、My Yahoo!担当サービスマネージャーで担当エンジニアでもある新屋氏だ。

「Googleリーダーのサービス提供が7月1日で終わるというニュースは、14日の早い段階で知ってました。メッセンジャー(複数人でチャットする社員用のコミュニケーションツール)でも、朝から『My Yahoo!で何かやらないの?』という声があちこちから挙がっていたんです。なので、ここは『すぐに乗り換えツールを作ります』とアナウンスしてしまおうと」

注目すべきは、このプロジェクトが現場発で始まったという点。しかも、始動するまでに新屋氏が了承を求めたのは、上長であるユニットマネージャー1人だった。

「以前だったら、まず上長に指示を仰いでやるかどうかの検討をした上で、必要な資料を用意して経営陣や関連部署に説明。それからゴーサインが出るまで待つという流れでした。が、現在は現場への権限移譲が進み、社内承認もたいていのことは2つのプロセスで降りるようになっています。今回も上長にやりたいと話し、その場で了承をもらってプロジェクトを開始したので、動き出しの速さが決め手になりました」

次に新屋氏が取り組んだのが、必要な開発リソースを確保し、仕様を決めること。チームに召集されることになった山口氏と加藤氏は、通勤中にGoogleリーダー終了のニュースを見た時点で「何かやることになるだろう」と予想していたそうだ。

「14日に出社して、すぐにミーティングに呼ばれたので、『あ、やっぱり』と(笑)」(加藤氏)

そうして組まれた5人のチーム+サポートメンバーの業務調整が終わり、同日午後の早い時間に開発が始まった。同時にYahoo! JAPANの公式Facebookページで、乗り換えツールの開発および提供をアナウンス。新屋氏らのチームは、もう後に引けない状態となる。

「当初リリース目標にしていたのは、翌日15日の夕方でした。14日の深夜は同じフロアに僕ら数名しかおらず、バグによってよく分からない挙動をし出した時は『正直間に合うかな』と思ったりもしました。でも、自分たちがやると公言したことはやり切らねばと、皆で確認~調整を繰り返していました」(新屋氏)

“爆速”でも現場が疲弊しないのは、自主性と風通しのよさがカギ

こうして15日の昼過ぎには、一通りの開発が終了。メッセンジャーで他部署、他チームへテストの協力要請をする。

すると、すぐにたくさんのフィードバックが届いたという。修正対応をするうちにリリース目標の夕刻は過ぎてしまったが、それでも15日の22時30分ごろに無事提供を開始。ネットユーザーの間で、その速さが話題を呼んだわけだ。

この日の午後は、チームにとってうれしい誤算もあった。新屋氏がメッセンジャーで「告知ページに(引っ越しを連想させるような)招き猫のキャラを置きたいんだけど時間がない」と書き込んだのを見つけた別チームのデザイナーが、サポートを名乗り出て挿絵を描いてくれたのだ。

My Yahoo maneki

キャッチを地で行くスピード感で別チームのデザイナーが作ってくれた“RSS招き猫”のキャラ

現在の告知ページ上段にあるネコのキャラクターは、その際のやりとりから生まれたもの。大企業の社員が陥りがちな「縦割り意識」がヤフー社内になくなりつつあるのが、この事例からも覗える。

最後に、今回の“爆速”をやってのけた3人に、ちょっと意地悪な質問をしてみた。急進的な経営方針がトップ主導で実施されると、場合によっては社員が疲弊したり、現場に混乱が生まれてしまうものだ。

ヤフーではそういう現象は起きていないのか聞いてみたところ、「むしろ開発時のストレスが減った」という答えが返ってきた。その理由となっている変化は次の3つのようだ。

【1】 サービスごとに「ユニット制」が定着し、現場への権限委譲が進んだ。
【2】 承認プロセスが減ったことで、現場の「待ち時間」が短縮された。
【3】 社員の当事者意識が高まり、オープンなコミュニケーションツールなどを通じた議論が活発に。

1と3の効果は、My Yahoo!乗り換えツールの開発中にも顕著に見られた。じゃあ2は?

「開発や制作の立場から言うと、ずっと手を動かしながらあれこれ試せるのは、やっぱりやりやすいですよ。開発中にはいろいろ問題や課題が出てくるものですが、サービスマネージャーとの距離が身近なので、やりながら克服できますから」(山口氏)

こうして動き続ける彼らは、すでに次の展開も考えている。

「今回のツールはGoogleリーダーの機能を完全に移行できるわけではないなど、課題がたくさんあることは認識しています。日々ユーザーの声を拾っていますし、何とか改善できないか、模索中です」(加藤氏)

「爆速で開発するからといって、効率化や採算性、さらには安全・安心といったサービスの品質を無視するわけにはいきません。My Yahoo!も、今後どうやって収益や他サービスの向上に結び付けるかをしっかり考えていきたいと思っています」(新屋氏)

Yahoo! JAPANのサービスポリシーである「課題解決エンジン」や「ユーザーファースト」は、社員たちの頭の中で常に進化しているようだ。

取材・文/浦野孝嗣 撮影/伊藤健吾(編集部)




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