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やまもといちろう×楠正憲「ネット業界“ソーシャルの次”を本気で考える」(前編)~楽しさだけを突き詰めても先はない

タグ : SNS, やまもといちろう, ソーシャル, 楠正憲, 業界有名人 公開

 

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「ユーザーが情報をポストするのもコスト」という意識はあるか

やまもと スマホ向けコミュニケーションツールのプライマリーをどこが取るかって時期に、本当にあのタイミングしかなかったってところでLINEが生まれた。

 それまでモバイルコミュニケーションの中心だった携帯メールが、OS間で仕様がそろっていないスマホの世界で使いにくくなってしまったのもあるかもしれません。絵文字が化けちゃうのなんて、もう致命的でしたよね。

やまもと 基本ですね、当然そう。で、NHNさんがバンバンテレビCMとか打ち始めたころ、競合に当たるサービスが軒並みサーバ障害とかに見舞われて。だから一気にLINEが普及できたんじゃないかと。

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有名タレントを起用したテレビCMで一躍有名になったLINEと、同じ手法でマスマーケットを取りにいくサービスもあるが、結果は!?

―― なるほど。

やまもと まぁ、LINEが大きな問題もなくユーザー数を1億近くまでスケールできた裏側には、インフラ技術では国内トップクラスといわれた旧ライブドアのエンジニアたちの存在も大きかったのかもしれないので、単純にラッキーとは言い難いところですが。

 ソーシャル自体のコモディティ化はかなり進みましたから、それぞれのサービスがソーシャル機能は当たり前に内包した上でどうマネタイズプランを設計していくかが、サービス開発のテーマになっていくのは間違いないと思います。

やまもと そうなると、行動分析に関する技術と、それを提供する会社やエンジニアの需要も高まりますよね。すでにその傾向は出てますけど。

 そうでしょうね。

やまもと ネット社会の持つプロパティとして「楽しけりゃいいじゃん!」という文化があるし、それ自体は否定すべきものじゃありませんが、「楽しい」だけを突き詰めてもやっぱりマネタイズは難しいんですよ。

 本当にその通りです。

やまもと そもそもユーザーが何かしらの情報をポストするのだってコストなのに、掛けたコストに対するリターンとして何があるのか、ちゃんと考えているアンタ?と思ってしまうサービスも多いですから。

GREE&DeNAは“スマホ界のヤフー”になり損ねた!?

―― マネタイズの観点で見ると、ソーシャルゲームはとんでもなく大きな産業になりましたが?

やまもと そうですね。ただ、ソーシャルゲームの会社が今一番ツラいのは、ゲームで獲得したユーザーが「外」に出て行かないことが分かっちゃったってことじゃないですか。

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現在のソーシャルゲームプラットフォームを、「作り手が予想した形ではない」と語るやまもと氏

―― 「外」というのは?

やまもと DeNAであれGREEであれ、最初は楽天みたいなプラットフォームサービスを展開したかったと思うんですよ。ゲームから入ってきたお客さんが、ほかのサービスの利用者に育ってくれることを期待して。でも、いろいろ試しても、ゲームで獲得したユーザーはゲームしかやらないってことが分かってしまった。

 以前ソーシャルネットワークのロックイン効果を緩和するため「グラフポータビリティ」や「データポータビリティ」なんて考え方が盛んに議論され、これは電話帳の持ち回りという原始的な方法で実現しつつあります。ところが現実には強いと思われていたプラットフォームで、ゲームをフックにした多サービスへの展開は必ずしもうまくいかなかったわけですね。

やまもと ええ、ゲームを入り口とした“ケータイ&スマホ界のヤフー”を目指したけど、なれなかったというか。それで、アイテム課金やコンプガチャみたいなマネタイズモデルが考案され、策が見事に当たった結果、収益面では文字通り化け物的なサービスに成長していった。

 僕はソーシャルゲームの業界事情に詳しくないので、もっともらしいことは言えないですけど、どうなんでしょう。最近は一時の社会問題はだいぶ乗り越えていると思いますか?

やまもと ネット業界の倫理問題や射幸心に対する考え方でいうと、むしろ僕が楠さんに聞きたいところなんですが、法的なカバレッジをどこまでかけるべきなのかって、みんなすごくジレンマを感じていると思うんです。今後どう展開していくべきだと思います?

倫理問題は必ず通らなければならない道

 ネットの倫理問題については、かつてのYahoo! JAPANなんかが国の専門機関と一緒になってオークション問題などの対処をしてきましたから、業界としては昔ほどナイーブではないと思います。が、最近いろいろ騒がれているソーシャルゲーム業界は、皆プレーヤーが若いじゃないですか。

やまもと そうなんですよ。

 これまで業界としてまとまって動いてきたかというと、そうはなっていなかったですよね。最近やっとJASGA(ソーシャルゲーム協会)のような業界団体が発足はしましたが、どこまで足並みをそろえてガイドラインを作れるかはこれから注視していきたい部分です。
(次ページへ続く)




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