エンジニアtype - エンジニアのシゴト人生を考えるWebマガジン
  • TOP
  • キーパーソン
  • 旬ネタ
  • コラボ
  • ノウハウ
  • 女子部
  • キャリア

「エンジニアの働き方もイメージも変えなければならない」トライフォート小俣泰明氏が常識の真逆の道を歩む理由【特集:New Order】

タグ : トゥモローアイランド, トライフォート, 小俣泰明 公開

 

NewOrder2015_06omata

>>SIとは違う“新しい受託開発”で急成長するトライフォート「僕らは4つの業界常識をくつがえす」

2013年に弊誌が取り上げた上記の記事の通り、受託開発の常識をくつがえすことで事業を拡大させてきたトライフォート

設立から2年半が経ち、初の自社オンラインゲームアプリ『トゥモローアイランド』のリリースや経済産業省との次世代コミュニケーションツール共同開発プロジェクトの発表など、自社サービスと受託ビジネスを組み合わせた事業展開へ発展を遂げている。

06_trifort_omata_06

2015年3月27日にリリースされた無人島体験アドベンチャーゲーム『トゥモローアイランド』

その事業戦略の裏側は何があるのか。

同社の代表取締役Co-Founder/CTOの小俣泰明氏は、「シリコンバレーに行った時に感じたギャップを解消し、日本企業が世界で勝負するためには、組織づくりや採用など全てを考え直す必要があった」という。

日本のテクロジーベンチャーの文化と採用、受託ビジネスの考え方、そして日本のIT産業の未来について、小俣氏は言葉を紡いでいく。

日本企業の伝統文化を捨てる勇気

―― 前回、従来型のSIとは一線を画す、採用&エンジニア育成の秘密をお聞かせいただきました。採用や育成を含めた、トライフォートの組織文化についてお教えください。

よくある日本企業の風習で、僕がダメだと思うのは、宗教じみた組織だと思います。日本企業の伝統っぽい「今月も売上達成するぞ! おー!」みたいな。

日本人の特性である真面目さを利用し、効率的に組織を統制する上では良策かもしれませんが、何か新しいサービスを作るという発想が非常に生まれにくくなると思うんですよ、この文化って。

仮にテクノロジーベンチャーがこうした発想で会社を運営しているのであれば、エンジニアの創造性が失われるのですぐにやめた方が賢明だと思います。

―― なぜ、そうした考えを持ったのですか?

トライフォートが「ソーシャル×モバイル」を軸に仕事をしていることもあって日々強く感じているのですが、エンターテインメントなサービスを生み出す時って、古い体質の文化だとユニークなサービスは生み出せないんです。

新しいサービスを作り出せなければ、めまぐるしく変わり続けるIT業界で勝ち抜くことなんてできませんよね? 正直、日本人の真面目さが仇になっているとさえ感じることもあります。

「右向け、右!」で「黒いモノを白と言わされる」、そんな旧態依然とした文化と真逆に位置するようにトライフォートの組織文化を作ってきました。

そこで重要なことは、バグを否定しないことです。

―― プログラミングのバグということですか?

いえ、プログラミングだけではありません。企画、デザイン、プログラミングなど全ての業務についてです。

日本人はミスに対して厳しすぎる。対策を立てることや原因を明確にする、経緯報告書を作るなど、一つの事象に対して、こだわりすぎている。とてもナンセンスです。そもそも日本とアメリカでは、ミスに対する反応にギャップがあるんですよ。

例えば、日本はクルマを100台作ってほしいと依頼されれば、100台を作る。一方、アメリカは110台作る。10台分はバッファーとして考えているということです。もちろん自動車産業など品質が重要な産業もありますが、IT業界、かつ我々の分野ではバグで人は死にません。

新しい技術に挑戦する、新しい企画にチャレンジするとバグやミスは絶対に潜むものです。ミスをして上司から詰められるくらいなら、チャレンジせずに、今の運用を回し続けた方がいいと考えるのが人の道理かもしれません。評価に響くと問題ですからね。

でも、エンターテインメントとは、新しい体験を生み出すことです。新しい体験を提供するためには、作り手は新しいことを生み出し続けなくてはいけません。ミスを恐れることで挑戦しない人が多い。その原因が組織文化にある。

これはIT業界にとって由々しきことだと僕は思います。

―― 小俣さんはどうして、日本企業の課題を俯瞰的に見る視点が身に付いたのですか?

日本人ってITの世界では、海外に相手にされていないんですよ。トライフォート創業前に僕自身がシリコンバレーを中心に海外を回った実体験でそう感じました。

アジアの中でもインド人は人気があるのに、日本人は不人気。僕自身は「大和魂」が強いタイプなので、日本のIT業界を世界に通用するためにはどうすればいいのか? について深く考えましたし、研究もしました。これが、日本企業伝統の文化を変えるという考えにつながっています。

経歴書を見ずに採用する理由

06_trifort_omata_08

トライフォートが採用を成功させてきた理由の裏側に迫る

―― トライフォートは設立から1年で、正社員、業務委託、派遣を含めて約100人の採用を行ったそうですね。一時のSAP(ソーシャルアプリケーションプロバイダー)バブル時にはヒットタイトルを保有する企業が大型の採用を行ってきましたが、トライフォートはどうやってエンジニア採用を成功させてきたのですか?

僕は面接をする時に経歴書をほとんど見たことがないんですね。直接会って見るポイントは一つだけ。「自分で考え動くタイプか否か」という点だけです。

例えば、Unityの勉強をしている人がいるとします。そういう人は面接でも積極的に学んでいることをアピールするのですが、よくよく聞いていると、「会社や上司に言われたから」という事実があったりします。

きっかけが自分ではなく他人にあるのでは、飛躍的な成長は望めません。目的が「勉強すること」になってしまうからです。

これは、特に日本人に多い傾向です。誰かに言われないと動くことができないマインドセットでは、イノベーティブな仕事やエンターテインメント性のある仕事を担うことが難しいんです。ですので、誰かに動かされるタイプの人は仮に技術レベルが高くてもお断りをしてきました。

逆に自分で考え、動けるタイプのエンジニアは、保有スキルや年齢をほぼ見ずに採用してきました。中には未経験者もいましたよ。今のスキルよりも、志向性の方が大事なんですよ。

近日中にリリースを予定している第2弾のオンラインゲームアプリ『クロススピリッツ』は、2015年4月に入社した新入社員が、面接時に持ってきた企画をブラッシュアップしたものです。これくらい、「何かを作りたい」という思いって、スキルや経験よりも尊いものなんですね。

技術はあくまで目的を叶えるための手段でしかない。この意識は多くのエンジニアに持っていただきたいですね。

―― とはいえ、人月ビジネスの側面もある受託開発では、「今」のスキルを重要視して採用していると耳にするケースが多いです。トライフォートが真逆の採用を行ってきた理由について、お教えください。

品質でも納期でも、最終的にCTOの僕が責任を取るという判断です。何か問題があれば、僕がプログラミングすればいいと思っていました。

この経営判断ができる企業とそうでない企業があることは認識していますが、トライフォートはこの経営判断を前提に、今のスキルや経験ではなく志向性を重視した採用を行い、事業を拡大してきました。

受託の方が自由度の高い開発ができる事実に気付くこと

―― 受託と自社サービスを同時並行で行っているのも、トライフォートの特徴だと感じています。今後もこの2軸でビジネスを進めていくのですか? それとも自社タイトルだけに絞ることもお考えですか?

トライフォートは今後も受託と自社サービスを並行して行います。ITベンチャーの自社サービスは、エンターテインメントを中心に、ある程度決まったものしか作ることができないという現実があるためです。

多くの人が間違った認識をしているのが、「受託よりも自社開発の方が、自由で面白いことができる」ということ。実は、受託の方が自由で好きな開発ができることに気付いていないんですね。

UberやAirbnbのように、産業を変革するほどの大きなインターネットビジネスを立ち上げたいと考えている企業以外、自社サービスは流行りのモバイルゲームや市場が伸びている分野を狙うのが定石です。

これは、基本的にベンチャーは出資を受けていますので、利益を出せるサービスでなければ、出資者に説明ができないためです。出資が受けられなければサービスを作ることができません。

つまり、自社サービスには投資が見込めるアイデアが必要になります。これって、純粋に自分たちの好きなサービスを作っていると言えるでしょうか?

―― 受託開発の方が自由に好きなことができる理由は何ですか?

まず、会社として技術力と発想力に長けていることが前提でお話しします。

06_trifort_omata_03

小俣氏が考える受託ビジネスのメリットとは

受託開発は資本力がある企業から委託を請けることができます。そして、資本力のある会社は、利益以外の目的でものを作るケースもあります。

例えば画像やカメラ、音楽の領域で、資本力を持つ企業から委託を受けることができれば、常に新しいフィールドでサービスを生み出し続ける可能性もあります。

そもそも発注する側は、言われたものを作る企業を求めていません。ユーザーの意見を100%聞いて作ったとしても、期待値はゼロ。ユーザーの考えが及ばないレベルのものを提供できなければ、受託サービスの価値は生まれません。

今の時代、言われた通りに作る、要件定義で出されたものを解決するという考え方そのものがダメなんです。受託開発でただ言われたモノを作るのであれば、コストの安いオフショアで作る方が最適解でしょう。

日本でテクノロジーベンチャーをやっていく以上、エンジニア自身に発想力を求められている時代です。

―― なるほど。しかし、そうした技術力と発想力を各人が持つこと自体、難しいことでもあります。なぜ、トライフォートはそうした仕事を実現できるのですか?

先ほどもお話した通り、そもそも自分で考えて動く人材のみを採用しているからです。

自分で考えることのできる人材がそろっているので、教えるのが最も難しい「発想力」を伸ばしてあげるだけでいいんですよ。

知的好奇心を持ち、新しいことに挑戦し続けるエンジニアは、将来的に必ず伸びます。1年で大きな差、数年で雲泥の差になることを、僕はこれまでの会社で多く見てきました。それくらい、意思の力って強いんです。

「かぶき者」が考える、未来のTechスターが生まれる重要性

06_trifort_omata_07

話は次第に、小俣氏の外見に関する話題から、未来のスターが生まれる重要性へ

―― 最後に、素朴な疑問なのですが、小俣さんはトライフォート創業時から髪型や服装がちょっと派手な雰囲気で自分を発信しています。何か意図があってのことですか?

ええ、半分くらいは(笑)。IT業界にもこういったスタイルの人がいるんだということを世間に伝えるためです。

僕はこれからIT業界の発展のためにはスターが必要だと思っています。特にイケメンの。プロスポーツの世界でも、スター選手はイケメンが多いじゃないですか。

―― 確かに(笑)。クリスティアーノ・ロナウド選手やダルビッシュ有選手はプレーでも観客を魅了していますが、ルックスもカッコイイですね。しかし、それと日本のIT業界の発展に何の関係が?

僕たちが子供のころ、PCを持っているだけで「オタク」だと言われましたが、今の時代、PCを持っていたらオタクだなんて言う人はいませんよね?

PCを持っていることが当たり前になった一方で、日本のIT業界には子供たちから見た時のスターがまだまだ少ないと思うんですよ。

僕はエンジニアを憧れの仕事にしたいんですよね。確かな技術力を持っていて、華もある。そんな分かりやすいアイコンが1人でも多くいることで、業界自体のイメージって変わるじゃないですか?僕がそうだ、と言うのはおこがましいですけど(笑)。

―― SMAPの木村拓哉氏が2000年のドラマ『ビューティフルライフ』で美容師役を演じたことで、美容師を人気の職業に変えたといわれます。この変革を、ドラマではなく、現実世界で起こすと?

僕がIT業界の中で「かぶく」ことで、ITを志す人に「エンジニアはオタクではなく、カッコイイ仕事なんだ」と、メッセージを伝えたいんですね。エンジニアの社会的地位が向上すれば、仕事にしたいと考える人は当然増えます。

だから、僕は仕事だけじゃなく、外見でもアピールし続けているんです。そんなに大層な話でもないんですけどね。

―― 貴重なお話をありがとうございました。

>> 特集「New Order~現代のゲームチェンジャーたち」記事一覧

取材・文/川野優希(編集部) 撮影/小林 正




人気のタグ
業界有名人 スタートアップ 開発 SE 転職 エンジニア プログラマー Web スキルアップ ソーシャル アプリ シリコンバレー キャリア プログラミング Android 起業 えふしん スマートフォン アプリ開発 SIer 技術者 UI btrax Webサービス クラウド Apple スペシャリスト CTO Twitter Brandon K. Hill ギーク 英語 村上福之 Facebook Google デザイン IoT SNS ツイキャス 世良耕太 モイめし IT 30代 採用 赤松洋介 コーディング 20代 UX 勉強会 プロジェクトマネジメント Ruby ITイベント Webエンジニア 中島聡 ビッグデータ 法林浩之 ウエアラブル iOS 五十嵐悠紀 LINE ドワンゴ ひがやすを ロボット 受託開発 モノづくり IT業界 コミュニケーション イノベーション ハードウエア MAKERS tips ゲーム 女性 ソーシャルゲーム Webアプリ SI インフラ iPhone 女性技術者 高須正和 マイクロソフト 研究者 UI/UX トヨタ 自動車 ノウハウ チームラボ 息抜き システム ソニー プラットフォーム Java メイカームーブメント オープンソース 和田卓人 エンジン グローバル 開発者 教育 イベント サイバーエージェント ソフトウェア 女子会 コミュニティ メーカー 家入一真 スーパーギーク 増井雄一郎 GitHub 人工知能 IPA 40代 日産 テスト駆動開発 ソフトウエア 音楽 TDD ニュース モバイル PHP TechLION

タグ一覧を見る