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自動車、バイオ、工作機械・ロボットが3本柱~AIが日本に勝機をもたらす産業をPFN西川徹氏が語る

タグ : AI, PFI, PFN, ディープラーニング, ロボット, 人工知能, 松尾豊, 機械学習, 西川徹 公開

 

人工知能を専門とする東大准教授の松尾豊氏は、以前弊誌の取材に対し、「ディープラーニングを学ぶことでエンジニアは世界的な市場価値を持つ人材になれる」と提言し、さらにはディープラーニングを「日本のモノづくりが世界的な競争力を取り戻す一手になり得る技術」と位置付けていた。

では、実際にいち早くディープラーニングの技術を身に付けたエンジニアの主戦場はどこになるのか。ディープラーニングが日本に勝機をもたらすのはどういった産業分野になるのだろうか。

この問いの答えを探るべく、世界最先端の機械学習技術の担い手であり、ディープラーニングの実用技術開発にも先駆的に取り組んでいる東大発ベンチャー、プリファードネットワークス(PFN)代表取締役社長の西川徹氏に話を聞いた。

研究と製品開発の両輪が高いレベルで融合するPFN

ディープラーニングの実用技術開発にも先駆的に取り組む東大発ベンチャーPFNの西川徹氏

ディープラーニングの実用技術開発にも先駆的に取り組む東大発ベンチャーPFNの西川徹氏

PFNの関連会社であるプリファードインフラストラクチャー(PFI)は2006年3月、東大の大学院生ら6人が立ち上げたベンチャー企業だ。西川氏は「何がやりたかったというより、まずはチームを作りたいという思いが先立っていた」と設立の経緯を振り返る。

もともと東大大学院でハイパフォーマンスコンピューティングの研究を行っていた西川氏は、大学での技術研究と実用化・産業化の間にある深い溝にジレンマを感じていた。

「国立大学の研究予算は国の方針に左右されるし、実用化よりもどれだけ論文を書いたかが重要な指標になっている。連携したくても研究室同士の壁が厚く、なかなか進まなかった。イノベーションが生まれる気がしなかった」

だからPFIは、「最先端の技術を継続的に生み出し、実用化する」組織として立ち上げられた。そのため、先端技術研究を行うチームと、それを活かして製品開発を行うチームが共存しているのが特徴だ。

当初は検索エンジン事業からスタートしたPFIだが、ビッグデータ処理技術を扱うようになった流れから、次第に機械学習の分野で知られるようになり、1年前にスピンオフする形でPFN設立に至った。

PFI、PFNの2社に共通して言えるのは、「研究と製品開発にかかわるチームが、密接につながりながら進めていること」だという。

「研究メンバーは製品開発に理解があり、製品に取り込まれやすいコードをどう書くかということを意識している。一方の製品メンバーも研究の成果を理解しながらやっている。最新の研究論文を読む輪講の場には双方のメンバーが参加しますし、深層学習の社内勉強会なども頻繁に行っています」

自動車、バイオ、ロボットの3分野が有望と言える理由

そんなPFNが注目し、現在ディープラーニング技術の開発を進めているのは、自動車、ライフサイエンス、製造用工作機械・ロボットの3分野だ。

自動車分野ではトヨタ、パナソニックと、ライフサイエンスではiPS細胞の京都大学と提携。製造用工作機械・ロボットではつい先日、ファナックとの提携を発表した

3つの分野に共通して言えるのは、もともと日本が強みを持っている分野だということ。自動車は言うまでもなく日本の主力産業の一つで、iPS細胞研究にはノーベル賞受賞者で世界的権威の山中伸弥教授がいる。製造用工作機械・ロボットのファナックも、世界的なシェアを誇っている。

ディープラーニングの活用が期待される分野には、大量のデータを扱う領域であるという共通項もあるという。

「ディープラーニングとは巨大なニューラルネットワークと言うことができますから、大量のデータを扱うのが得意。Googleフォトはその典型例ですし、アウディなども取り組む自動運転技術など、自動車分野もその一つ。また、創薬・ライフサイエンスの分野でも、がん化している細胞を映像から認識するなどの活用が加速しています」

その点、「大量のデータを分析することでメンテナンスに活用する」という話にとどまっている製造用工作機械・ロボットへの活用は、まだこれからという段階という。

「しかし、ロボットは特に日本にチャンスが大きい分野だと思っています。自動運転技術に一気に注目が集まったのはGoogleが参入したからですが、製造業については当分の間Googleが参入することはないでしょう。弊社では数年のうちにロボット分野で製品化したいと考えています」

具体的な研究内容は公開できないが、世界に誇る技術力を有する日本の製造工作機械・ロボットの分野にはかなりの期待を込めている様子。それも、先行して研究を進めている自動車分野以上のスピード感で、製品化を果たそうとしているようだ。

オープンソースのフレームワークも開発・公開

PFNが公開するディープラーニングのオープンソースフレームワーク『Chainer』

PFNが公開するディープラーニングのオープンソースフレームワーク『Chainer』

ディープラーニングが将来有望な技術であることは確かだが、一方で現状は、ややキーワードが先行している感じもあると西川氏は言う。

「ディープラーニングは数ある手段の一つに過ぎません。現状はまだパフォーマンス、リソースの問題がありますし、他にもたくさん優秀な機械学習のアルゴリズムはあるので、適材適所に使い分けることが重要だと考えています」

PFNは『Chainer』というディープラーニングのオープンソースフレームワークを公開しており、現在進めている研究は全てこのフレームワークをベースに行われている。オープンソースとして公開することには、コミュニティを育て、正しい理解が広まるのに貢献する狙いもある。

「いろいろな人にディープラーニングの未来を模索してもらいたい」と話す西川氏。こうした取り組みの先に究極的に作ろうとしているのは、ネットワークプラットフォームそのものだという。

「自分がかつて研究していたハイパフォーマンスコンピュータのように単体を賢くするというよりは、機械同士がリアルタイムで連携することにより、さらなる価値が生まれると考えています。そうすれば機械も人間のように協調していける。現在はまだ道半ばでモノ自体を賢くしている段階ですが、だんだんとそこに近づいていると感じています」

取材・文/鈴木陸夫(編集部) 写真提供/プリファードネットワークス




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