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[対談:小飼弾×猪子寿之②] 変化の時代は、何でもそこそこできる「フツーの人」が一番使えない

タグ : Web, スキルアップ, スーパーギーク, プログラマー, 小飼弾, 業界有名人, 猪子寿之, 経営者, 転職 公開

 
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――でも、大企業だと、誰か1人がいなくなっても組織は回っていきます。そういう会社にいる個人はどうなんでしょう。

猪子 小さなチームの集合体みたいな大企業なら、同じなんじゃないかな。

小飼 そもそも日本の大企業って、世界的に見たら大してデカくないんです。時価総額で見ても、売り上げや利益で見ても。スマイルカーブって、分かります?

猪子 すまいるかーぶ、ですか?

小飼 うん、部品メーカーなどの最上流と、サービスサポートとかやってる最下流が一番儲かって、真ん中に存在する組み立てメーカーはほとんど儲からないという収益構造を表す言葉。似たようなことが事業体の規模でも言えて、どの業界も、今儲かっているのは世界No.1の大企業か際立った個人です。

猪子 あー確かに。

小飼 これまでは個人が誰かに助けてもらおうと思えば、組織に入るしかなかったけど、今は外部とつながる手段がいくらでもある。「トイレに紙がない」とツィートすれば、誰かが助けてくれるほどです(笑)。だから、個人でもやり方次第でてっぺんまで行けちゃう。

そういう時代に一番困るのは、何でもそこそこできるけど、何にも際立っていない人。誰にも助けてもらえないし、誰も買ってくれない。組織で言うと、中間管理職とか、真ん中にいるような人たちが、一番苦しいんです。

猪子 そうそう。僕も、何でもそこそこできるのって、もう価値ないと思うんすよ。

身近な商売で考えても、20年前は日本中の商店街に個人がやってる酒屋とか八百屋がたくさんありましたよね。中には、5軒くらい掛け持ちでお店やってる人もいたりして。そういう人たちって、そこそこマーケティングの才能があって、隣近所とのコミュニケーションもそれなりにちゃんとできる、オールマイティーな人だった。そういう人が成功できた時代というか。

小飼 いた、「あの人の本業って何?」っていうおっちゃん(笑)。

猪子 でも、20年経って気付いてみると、小売りをやってくのに必要な人材って、コンビニでレジを打つ人だけですよね。その一方で、本部で過去データを基に売り上げとか在庫予測のアルゴリズムを開発してる人の価値は、めちゃくちゃ高まってる。

小飼 そういう人は、マーケティングセンスやコミュニケーションセンスがなくっても、成功できる時代になったわけか。

猪子 そうなんすよ。逆に、何でもできるけど、何も際立ってない人の仕事は、もうなくなっちゃった。

「全教科60点」の人生より、「3教科100点、ほか0点」の人生が得をする

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世の中全体の満足レベルが上がり続けてきたことも、「フツーの人」の肩身を狭くすると小飼氏は指摘

小飼 でも、注意したいのは、そうやって「フツーの人」を殺してきたのが、普通の人たちだということ。普通の人たちが何かをしてもらう立場になった時、「フツー」じゃ満足できなくなった。

ネット社会、情報化社会になって、「もっと良いのがあるじゃん」、「もっと安いのがあるじゃん」と言うようになったんです。その時に決まったんですよ、「フツーの人」の死が。ヨーロッパなんかは、そのあたりのことに自覚的だと思う。だから、コンビニとかあんまりないですよね。

猪子 ただ、日本じゃもう、この流れは止めらんないと思いますけど。

小飼 うん、止まらない。むしろもっと進んでいく。

――なら、これまで「フツーの人」として10年、20年と生きてきた人は、どうすればいいんでしょうか。

小飼 一番の近道は、儲かりそうな「突き抜けちゃってる人」を見つけること。彼らには通訳が絶対に必要ですから、そいつの通訳をやっているだけで、ある程度食っていけると思います。何度も言うように、通訳としての能力は高いものが求められますが。

最も救いようがないのは、自分には際立ったものがないのに、突き抜けちゃってる変わり者を毛嫌いしている自称「常識人」でしょう。そういう人には申し訳ないけど、「あなたの職業人生は、余命あとウン年です」と言わざるを得ない。

――厳しい時代ですね……。

小飼 でも、自分で「自分は普通です」と言ってる人たちって、本当のところ、どこまでフツーなんだろうかと思うわけです。よくよく見てみると、フツーじゃない部分があったりする。それを自覚的に伸ばしていく手はあります。

500点満点の試験で300点の人が2人いたとして、1人は5教科すべてが60点、もう1人は3教科が100点で残りが0点という場合、後者の人の方がサバイバルしていくための道が見つけやすい。

猪子 ホントそうですよね。

小飼 生まれた時の個人差なんて、わずかだと思うんです。いろいろな競争をする中で、他人との違いや得意なところが見えてくる。そういう部分を見つけることがすごく大事。

あと、通訳の話に戻ると、普通の人が分かりそうにないものを見つけ出して、みんなが分かる言葉で説明する能力があれば最強だと思う。たぶん、猪子さんみたいな突き抜けちゃってる人は、すごいものを作ったり見つけたりしても、それができないはずですから。

猪子 (笑)。いいんですよ、僕の目標はルフィですから。通訳してくれる仲間がいれば、幸せな人生を歩めるんです。

「デキる人」になるよりも、「やる人」になれ

――ちなみに、チームラボには、大企業から転職してきた方はいるんですか。

猪子 自己応募の人はいないですけど、親友のツテで入社してもらったスーパーエンジニアが1人いますね。そいつによると、前にいた大手SIerでは、入社2年目くらいからプログラムを書けなくなるらしいんです。彼自身は書きたくて、書きたくてしょうがないタイプなのに、「お前の仕事はそれじゃない」って。だったら、ウチに来てバリバリコード書いてよ、と。

――優秀なエンジニアがプログラムを書けないなんて、すごくもったいないですね。

小飼 あ、分かった! 『エンジニアtype』さんみたいなメディアが、何でこういう対談を企画しなきゃならなかったのかという理由が。日本では、大企業がなくならないからだ!

アメリカでは、あのDECやネットスケープでさえ解体された。大企業だろうが中小企業だろうが、経営が傾けばなくなるわけです。そして、DECやネットスケープがダメになった時に起きたことは何か。ほかの会社に優秀なエンジニアが散っていって、次の職場でまた新しいことを始めたんです。

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「結局、ホントにスゲー人って、たとえ会社が倒産したって困らないんですよね」(猪子氏)

猪子 あー、競争による淘汰で、業界全体でも、個人としても、イノベーションを生むための機運みたいなのが高まったんだ。

小飼 そう。でも、日本ではこういう現象が起きないわけですよ。某F社もH社も、T社やN社だってなくならない。もし、日本に健全な競争原理があったなら、財務面を見ても、日本の大企業がそろって生き残れるはずがないんです。そして、優秀なエンジニアが大企業で塩漬けにされることもなかった。問題は、誰を救うのか、ということで。日本は大企業ばかり守ろうとするけど、本当に救わなきゃならないのは個人でしょう?

――今回の企画に新しい意味付けまでしていただき、本当にありがとうございます(笑)。では最後に、これからの時代を生きるエンジニアにメッセージを。

 猪子 突き抜けちゃってる人、際立ってる人って、どの分野にもいると思うんですよ。そういう人を意識的に見ていれば、自分は何ができるのか、何だったら役に立てんのかが分かってくんじゃないですか。

小飼 みんなやろうとしないけど、誰かがやらないといけないことって結構あります。例えば、トイレ掃除みたいな仕事は、誰でもできるがゆえに誰もやらなかったりする。そういうことをするだけでも、周りから一目置かれるものじゃないですか。だから、自分に何ができるかよりも、今、何が行われていないのかに着目するのも一案だと思います。

猪子 なるほど。

小飼 あと、コイツはうまくやっているなと思う人たちって、とにかく行動が早い。逆に、自分はデキると思っちゃってる人は、案外何もやってなかったりする。「それくらいオレにもできる」と、何もやらないんです。

猪子 あんまり賢いと、やる前にいろいろ計算しちゃうんでしょうね。頭の良い人が予測すると、ほとんどのことが「やっぱやめよう」ってなっちゃうし(笑)。でも、物事って、やっていくうちに微妙に変化するものだし、いつの間にかマーケットだって変化してたりする。世の中、そういうことだらけでしょ。

小飼 僕も、何も手を動かさないで予測ばっかりやっているような人を見ると、「アンタに何の価値があるの?」と思っちゃう。だから、「デキる人」になるより、「やる人」になれと言いたい。やってる奴は、エラいんですよ。猪子さんも、だからエラいんです。

――お二人の意見が一致したところで、対談を終えたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

取材・文/津田浩司 撮影/竹井俊晴




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