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Airbnbの「マネジメントしない」マネジメント方法とは:前編

タグ : Airbnb, シェアリングエコノミー, 開発チーム 公開

 

本記事は、ワールドトップ20ブログの一つにも選ばれている米のテクノロジーブログメディア『ReadWrite』の公式日本版、ReadWrite Japan(リードライト ジャパン)から転載したものです。同サイトと弊誌の相互コンテンツ掲載契約の一環となります

■ 記事提供:『ReadWrite Japan

Airbnbは現在人気急上昇中の、オンラインで宿泊場所を見つけるためのサービスだ。Airbnbのエンジニアリング担当上級副社長のマイク・カーティスは、一年ちょっと前に同社に加わった際、あることに気付いて「ショックを受けた」という。

一種の武者震いである。カーティスは、人々が世界中どこに旅行してもくつろげるような仕組みを作り出すというAirbnbの使命に突き動かされている、自立した企業文化を見いだしたのだ。体制面での不足は情熱によって補われており、エンジニア達は自分のタスクを自分で見つけ出し、それらに取り組んでいた。

毎月100万ものユーザーが、宿泊場所を求めてAirbnbを利用している。ホスト側が提供する宿泊用のスペースは様々で、予備のソファー、客室、アパートの一室、時にはツリーハウス等というものまである。利用可能な宿泊施設を探したりゲストからホストへの国をまたいだ支払いを取り扱ったり、技術的な課題には事欠かない

グロースチームのソフトウェアエンジニア、ヘンリー・チャイ(左)とグロースチームのエンジニアリング・マネージャー、ジェイソン・ボシノフが、Androidチームのソフトウェアエンジニア、キャロライン・リャンと話している

カーティス は、急成長を遂げている50人のエンジニアチームのプロフェッショナル化をはかるために雇用された。彼にとっては、FacebookやYahooの大規模なソフトウェアチームで長年培ったルールやプロセスを、そのままAirbnbのチームに押し付けた方が手っ取り早かっただろう。だが彼はそうする代わりに、Airbnb生来の企業文化を活かす優れた方法を考えだした。

カーティスは先日、我々ReadWriteをサンフランシスコのSoMa地区にある広々とした本社に招待してくれた。我々はそこでカーティスや他の従業員と話をし、エンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャーたちの仕事風景を撮影させてもらった。Airbnbのエンジニアリング文化に対するカーティスの考えは同社のサイトにまとめられており、我々とのディスカッションでも彼はこの考えについて話してくれた。

ホラクラシーは新しいスタイルか、それともマネジメントの放棄か

(写真左から)エンジニアのジョン・ハル、ベン・ヒューズ、ジョン、タイ、エンジニアリング担当上級副社長のマイク・カーティス

Airbnbのように急成長を遂げるテクノロジー主導の会社をいかに組織化するかという問題は、極めて重要だ。もしやり方を間違えたらめちゃくちゃになってしまう。

ソーシャル・コーディングのGitHub、アパレル系サービスのZapposといった会社は、「ホラクラシー(Holacracy)」と呼ばれるノーマネジメント戦略を採用している。ホラクラシーの下では意思決定機能が組織全体に広げられ、人々は役職ではなく役割を与えられる。

ホラクラシーは、組織構造が不十分で従業員のサポートが十分に行えないという批判にさらされている。著名な開発者であるジュリー・アン・ホーヴァスがGitHubを去ることになった事件は、こうしたゆるいシステムで起こり得る問題を端的に表している

ホルバートは同僚のトム・プレストン・ワーナーとその妻から嫌がらせを受けたと主張していた。調査の結果、ワーナーがホーヴァスの苦情を処理する方法に誤りがあったことが分かり、ワーナーは辞任を勧告された。同社は今年のはじめに、より経験豊かな人事の幹部を雇い入れ、CEOであるクリス・ワンストラスは状況の改善を約束した。

逆に、グーグルやマイクロソフトのような巨大ソフトウェア企業で働くエンジニアたちは、彼らの雇用主がますます「組織的」になっていくと不平をこぼしている。特にグーグルでは、あの有名な「20%ルール(エンジニアは仕事時間の20%を自主的なプロジェクトにあてるというもの)」でさえ存続の危機にさらされているという。

Airbnbは、トップダウン経営と自由な自律組織の妥協点を見つけ出したようだ。同社はエンジニアリング・マネージャーを雇っている。だが彼らの役割は、一般的に想像されるものとはかけ離れている。

「伝統的な組織では、目標や目的、さらにタスクまでもが上から個々の担当者に流れていくものだ」とカーティスは私に語った。「我々のやり方では、マネージャーというのは基本的に世話役に過ぎない。マネージャーは、作業担当者の障害を取り除くために存在しているんだ」。

障害とは、例えば知識や情報に関するものだ。従業員をサポートすることで、彼が取り組んでいるタスクの全体像が見えるようになり、より良いやり方で問題を解決できるようになるだろう。あるいは、キャリアに関する障害というのもある。その場合は従業員を別のチームに配属することで、プロとして成長する機会を与えることができる。

マネージャーが決してやらないのは、命令を与えること、ゴールを設定すること、プロセスを決定することだ。Airbnbの使命に突き動かされたエンジニア達に期待されているのは、マネージャーから十分な情報を与えられることによって、自分たちでタスクやゴール、プロセスを見つけ出すことなのである。

「それがどのような影響を与えるかを各担当者に伝えるのは、マネージャーの仕事ではありません」とカーティスは言う。

例えば、サイトのセキュリティ・エンジニアであるベン・ヒューズは彼の役割について「Airbnbのゲストとホストに向けた安定したプラットフォームを構築することがAirbnbの使命に繋がる」と述べている。

ビュー・ハウは、数週間ほど前にAirbnbのMySQLデータベースをアップグレードした際、各チームから参加した人々がいかに協力して作業を行ったかを語った。彼らは予約が大量に押し寄せる時間帯に間に合わせるため、自発的に土曜の夜に作業を行ったという。

サイト内のツール開発を担当するエンジニアのアルビン・スンは、彼が開発しているサイトのチャット機能によって、顧客サービス・エージェントとゲスト間のコミュニケーションが改善していると言っている。彼は自分の仕事によって「他の従業員がさらに効率的に仕事ができるようになる」ことが嬉しいと言う。

検索と発見の機能に携わるソフトウェア・エンジニアのスルビ・グプタは、自分の仕事が「他では決して実現しないような旅行を可能にする」と考えている。4月にAirbnbが開催した技術カンファレンス「OpenAir」で彼女が行ったプレゼンテーションを見てみよう。

Airbnbが採用しているこの妥協的なマネージメント方法は、誰にでも通用するわけではないようだ。一部の従業員は企業の評価サイト「Glassdoor」に匿名で投稿し、同社の環境を「まとまりのないカオス」だと言い表している。

Airbnbの企業文化について「やりがいがある」と言う者もいるが、それでも何か問題が起きた場合、従業員はそれについて文句を言う代わりに「率先して」解決しなければならないと認めている。

>> 後編(ReadWrite.jpの記事)はコチラ

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