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[特集:SEが消える 1/3] 富士通・組織人事改革担当者「SEにはWebエンジニアのような創造性が必要」と話す真意

タグ : SE, SIer, ソニックガーデン, ベンダー, リストラ, 倒産, 営業, 変革, 富士通, 職務転換, 転職 公開

 

2012年1月19日、日経新聞に掲載されたある記事が大きな話題を呼んだ。

「富士通、余剰SE変身作戦」

そう銘打たれた記事では、富士通がグループで抱える約3万人のSEの大がかりな職務転換に乗り出したと書かれていた。

事実、多くのSIerは、クラウドの普及や市場のグローバル化による開発単価の低下、受託開発市場の縮小といった大小さまざまな問題を抱え、変わることを余儀なくされている。

ではそんな中、生き残りをかけて変わろうとしているSIerは、具体的にどのような対策を打っているのか? また、SIerが変わることにより、そこで働くエンジニアにはどのような変化・適応が求められるのか?

人材革新への取り組みを発表した富士通と、実際に従来のSIer型ビジネスモデルから脱却し、すでに新たな方向へシフトチェンジを行っている企業の例から、これからのエンタープライズ領域で活躍できるSEの条件を明らかにしたい。

「顧客利益」を第一に考えるなら、エンジニアは役割別に分類すべき

今回、富士通が発表した新しい取り組みは、「これからのSIerはどう変わらなければならないのか?」という問いに対する、富士通なりの回答と見ることができる。富士通が発表した人材革新の骨子は以下の3つだ(下図参照)。

■これまでスキルベースで機能別に定義されていた職種区分
 (コンサルティング/プロジェクトマネジメント/業務アーキテクチャ/
 品質マネジメント/ITアーキテクチャ/プロダクトアーキテクチャ/
 サービスマネジメント)を撤廃

■ビジネスプロデューサ/フィールド・イノベータ/コンサルタント/
 サービスインテグレーターという役割ベースで職種を再定義

■従来のSI業務や、カスタマイズや運用・保守を伴うクラウドサービスへの
 ニーズがあることも想定し、一部例外としてアプリケーション保守/
 コンバージョン/開発/サービスマネジメントの4職種を設ける

そもそも富士通は、何を現状の「問題」と認識し、こうしたSEの職務転換に踏み切ったのか?

「SIerに対するこれまでの顧客ニーズは、主に『人が担っていた仕事を機械で置き換え、業務効率化を図ること』でした。しかし、今やITは『機能から戦略』というフェーズ。

『何を効率化できるか?』から『どんな新しい価値を生み出せるか』という方向にシフトしていて、ただモノづくりをこなすだけのSIerには価値が認められにくくなっている。こうした顧客ニーズの変化が、そもそも今回のSE職務転換のきっかけです」

(左)富士通株式会社 共通技術本部 本部長 柴田 徹氏、(右)富士通株式会社 共通技術本部 ナレッジ推進統括部 迫田誠太郎氏

(左)富士通株式会社 共通技術本部 本部長 柴田 徹氏、(右)同社 共通技術本部 ナレッジ推進統括部 迫田誠太郎氏

そう話すのは、富士通 共通技術本部 本部長の柴田徹氏だ。ITの役割の変遷が、なぜ職務転換に帰結したのか、さらに柴田氏は続ける。

「もともとSIerには、3つの職種しかありませんでした。メインフレームを扱う技術者と、プログラムを作る技術者、そしてプロジェクトマネジャーです。ところが、技術の進化・深化によって分業化が進み、その都度、ネットワークエンジニアやデータベースエンジニアなど新しい専門家が生まれてきた。

ただ、それは顧客にとってはどうでもいいこと。ITの役割が変わった今、むしろ役割ごとに職務を分ける方が、顧客のニーズに応じやすいと判断したのです」(柴田氏)

エンジニアに必要なのは「クリエイター」としての目利きだ

今回、大々的に職務転換を打ち出した背景には、自社のエンジニアに対する「われわれは顧客ニーズを起点に変わらなくてはならない」というメッセージングの意図もあったという柴田氏。

では、職務が大きく変わることで、現場で働くエンジニアに求められるスキルに変わりはあるのだろうか。

あああ

「言われたことを忠実にこなすことは、もはや価値でも何でもない」(柴田氏)

「まずは、顧客の意思決定にきちんと関与できる能力が、これまで以上に必要になる。言われたことを忠実にこなすだけではなく、自ら企画し、戦略的な視点で提案できることが大切になります。

それに伴い、日々生まれてくる技術・製品の中で、これからメインストリームになりそうなものを見極める『目利き力』も重要になるはずです」(柴田氏)

現場のエンジニアとして取材に同席した迫田誠太郎氏も、うなずきながらこう加える。

「さらに、これまではそれほど重要視されてこなかった『クリエイティビティ(創造性)』も必要となる場面が増えるでしょうね。従来、受託をメインにやってきたSEは、御用聞きをして言われたことをやれば良かった面がありました。しかし、今は違います。

顧客の想定を超える提案を行って実現するためには、自分から問題を見つけ、その解決法をゼロから『クリエイト』できなければならないと感じています」(迫田氏)

「このプラットフォームを利用することで、社内SEに個々のエンジニアに「クリエイター」としての自覚を持ってもらうべく、富士通としてもバックアップ体制を整えつつあるという。

迫田氏が開発を担当するクラウド型プラットフォーム、「INTARFRM開発クラウドセンター」の設立は、そんな試みの一つだ(右図参照。クリックで大きく表示されます)。

「『INTARFRM開発クラウドセンター』は、エンジニアが社内ですぐに開発を始められるよう開発環境をオンデマンドで提供する仕組みです。イメージとしては、Web系の人たちがよく利用しているPaaS(Platform as a Service)に近いですね。

社内のエンジニアが思いついた新しいソフトウエアを簡単に開発・公開できる場を設けることで、最近のWebエンジニアのような『クリエイト』に励んでもらいたいという狙いがあります」(迫田氏)

もともと、富士通には社内に散在する個々のエンジニアが持つナレッジを集合知化する目的で作られた「Knowledge Base」があった。そこには43万を超えるコンテンツが所収されているものの、実際には単なるナレッジの「貯蓄庫」となっていたため、一昨年より本格的な整備が始められていた。

そんな「Knowledge Base」と、ソフトウエアを走らせることができるプラットフォームである「INTARFRM開発クラウドセンター」を融合させることで、SEのワークスタイルを刷新したいのだと、迫田氏は言う。

「組織重視の従順型」から「個重視の巻き込み型」への転換

「クリエイティブなエンジニア」を育てようと奮闘する富士通。最後に、今回の変革に伴い、SEのワークスタイルがどのように変わるかと思うかを予想してもらった。

「ひと言で言えば、『面白いことができる人が勝つ』時代になるのではないかと思います。

専門分野や社内外、組織の違いなどにこだわらず、新しい課題を自ら見つけて楽しみながら解決していく。SEはそんな仕事になるでしょう。その影響で、『ここからは仕事、ここからはプライベート』といった区分があいまいになるかもしれませんね」(柴田氏)

いいい

「社内で自分のプログラムを自慢しあえるような環境を作りたい」(迫田氏)

「ワークスタイルとはちょっと違うかもしれませんが……今、富士通では、異なる拠点のエンジニア同士がワイワイ集まって開発する環境が整いつつあります。ゆくゆくは、社内の人を巻き込んで『オレの作ったプログラム、すごいだろ?』なんて自慢できるようになるかもしれません。

逆に言えば、こうした環境でも創造性を発揮できなければ、それは自己責任(笑)。わたし自身も、クリエイターへと脱皮しなければと気を引き締めているところです」(迫田氏)

大規模な人事組織の改革プランを打ち出したことで、一歩先を行った感のある富士通。とはいえ、人月計算や多重下請け構造など、まだまだSIerは構造的な問題をはらんでいる

また、現在のプランにしても、「そもそも顧客の要望をそのまま実装していたエンジニアが、クリエイティブな役割を担えるようになるのか?」など、超えるべきハードルは決して少なくない。

大きく打ち出した人事組織改革を起点に、どう従来型SIerを脱却するのか? 富士通の実力が試されるのはこれからだろう。

後半では、いち早くSIerの問題点を捉えて「次の一手」を実行し、着実に歩みを進めている会社のキーパーソンをピックアップ。これからのSEに求められる変化・適応とは何かについて、対談形式で話し合ってもらった。
(2/3に続く)

>>[特集:SEが消える 2/3] 脱・従来型SIに必要なのは、第一に経営者の覚悟。第二に営業できる現場エンジニア
>>[特集:SEが消える 3/3] 自称スペシャリストほど使えない。新型エンジニアに「トータルフットボール」が求められるワケ




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