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[特集:SEが消える 2/3] 脱・従来型SIに必要なのは、第一に経営者の覚悟。第二に営業できる現場エンジニア

タグ : SE, SIer, ソニックガーデン, ベンダー, リストラ, 倒産, 営業, 変革, 富士通, 職務転換, 転職 公開

 

<<[特集:SEが消える 1/3] 富士通・組織人事改革担当者「SEにはWebエンジニアのような創造性が必要」と話す真意

前ページで見てきた富士通しかり、SIerを巡る環境は、急激に変わりつつある。それに伴い、エンジニアの働き方も変わらざるを得ない状況だ。

では、エンジニアはどう動くべきなのか。そして、今後はどのようなエンジニアが求められるのか。従来型の受託開発から脱却し、新しいビジネスモデルを実現した企業の経営者2人に、本音を語ってもらった。

アジャイル開発による「納品のない受託開発」を実現

株式会社ソニックガーデン 代表取締役社長 CEO
倉貫義人氏

大学院を卒業後、東洋情報システム(現・TIS)に入社。同社の基盤技術センターの立ち上げや、社内SNSの開発と社内展開、オープンソース化などに携わる。2009年、社内ベンチャー「SonicGarden」を立ち上げ、2011年にTISからのMBOを行い、ソニックガーデンを創業

受託から自社製品の開発・提供へ、ビジネスモデルを大転換

デジタルコースト株式会社 代表取締役
荻島浩司氏

SIer勤務、フリーランスを経て、1996年にデジタルコーストを設立。2011年3月よりワークフォース・マネジメントサービス『チームスピリット』の提供を開始。同サービスのリリースをきっかけに、2011年10月下旬には、米セールスフォース・ドットコムより出資を受けることが決まった

月額定額制を採用することで、「納品しない受託開発」を実現

――今回は、従来型の受託開発モデルから脱却し、新しいビジネスモデルを打ち立てたお二人に集まっていただきました。まずは自己紹介の意味も兼ね、それぞれの会社のビジネスモデルをお教えいただけますか?

倉貫 わたしたちが手掛けているのは、ひと言で言えば「納品しない受託開発」。人月ではなく月額定額で顧客とパートナーシップを築き、オーダーメイドのシステムを作る方式です。

クラウド上で動くアプリケーションだけに限定し、小さな機能から開発を進めてすぐ運用。そして、顧客のニーズに応じて要件を変えながら、さらに次の機能を開発していきます。

現時点では、このスタイルの売り上げが半分。残り半分が、社内ナレッジ共有ツール『SKIP』など、自社で企画しているクラウドサービスという状況です。

荻島 わたしたちは、ワークフォース・マネジメント分野のアプリケーション『チームスピリット』などを作り、サービス提供型のビジネスを展開しています。

会社設立から10年ほどは、コンサルティング寄りの受託開発がメインだったんですが、それだと結局顧客に対してアドバイスしかできない点に限界を感じ、自分たちでものづくりをしたいと方向転換したのです。

倉貫 今はサービス提供型ビジネスだけですか? 受託開発はゼロなのでしょうか?

荻島 サービスに付随したインテグレーションを受託することもあります。ただ、全体の1割弱ですね。今後も割合は減らしていくつもりです。基本は、自社サービスの開発・提供です。

生産性を上げるほど利益が落ちるビジネスモデルに疑問。起業を決意

――お二人が「従来のSIer」を脱却し、現在のビジネスモデルに舵を切ったきっかけとは何でしょうか?

倉貫 わたしの場合は、大手SIerでエンジニアとして働いていた時期の苦い経験が出発点です。当時は、人月でコストが決定。エンジニアが生産性を上げると、かえって利益が落ちるという構造でした。また、一括発注なので、要件が変わってもすぐに対応できません。

こんなビジネスモデルでは、エンジニアにとっても発注側にとってもデメリットばかり。そんな問題意識を抱えていましたね。

荻島 すごくよく分かります(笑)。

アジャイルソフトウェア開発宣言

倉貫氏による「Manifesto for Agile Software Development」の日本語版レビュー

倉貫 状況を打開するため、アジャイルの方法論を勉強して現場で適用してみました。ところが、一介のエンジニアや、あるいはマネジャーとして取り組んでみても、どうもうまくいかない。

もしかしたら、営業の仕事の取り方が悪いのかと思って自分で営業もやってみたのですが、それでもダメ(笑)。

これは、「従来型の受託開発」というビジネスモデル自体がダメなんじゃないかと確信したんです。そこで、社内SNSのクラウドサービスの提供を2年ほど前に開始し、昨年にはクラウド上で「納品しない受託開発」をするスタイルで、2年ほど前に独立しました。

これなら、生産性を高めればその分利益が上がるだろうと。

荻島 わたしたちは、2007年くらいにクラウドが登場したころに、自社開発中心に切り替えました。ちょうど、海外のASPが銀行などでも採用され始めた時期。

クラウドなら、ハードもミドルウエアも運用もいらない。それらを扱って利益を上げるような、古いタイプのSIerは半分くらい消え去ると思いました

だから、わたしたちもASPを目指そうと考えたんです。また、その前後にお客さまからの要望が変わり始めたことも、きっかけの一つでした。

――顧客の要望は、どのように変わったんでしょうか?

マーク

セールスフォース・ドットコムがSaaSを提唱したのは1999年。2007年ごろから日本でもSaaSの概念が定着し始めた(写真は昨年、日本講演時の同社会長 マーク・ベニオフ氏

荻島 それまでは、人が担当していた仕事をシステムに置き換える案件がほとんど。作る側からすれば、ある意味単純な仕事でした。ところが、そうしたフェーズが急に終わろうとしていたんです。

お客さまの中には、「要件」そのものを持たない、見つけられないところが多くなりました。これも、SIerがなくなると思った理由の一つです。

倉貫 2007年後半くらいから、SaaSという言葉が広まり始めたんですよね。

荻島 そうです。当時、わたしたちはASPの事業を考えていたんです。ただ、ASPにはハードなどの設備投資が必要なんですよね。

倉貫 わたしも最初に事業計画を作ったときは、ASP型で行こうと思ってたんですよ。でも、経費を計算してみたら気が遠くなるような額(笑)。そんなときに出会ったのが、Amazonのクラウドサービスなんです。

これなら、コスト的にゴーサインが出ました。クラウドがなければ、わたしは事業をやってないですね

大手は背負うものが大きく、中小は人がいない

荻島 わたしたちはセールスフォースのプラットフォームを使っていますが、こちらもまったく同じです。コスト負担も少なくて済むし、何より、運用やハードの管理にパワーを割かなくて済む。アプリケーションやサービスを作ることに集中できる点が大きかったですね。

倉貫 その点、メーカー系のSIerは、自社のサービスやデータセンターを使わなきゃいけませんよね。これは、クラウドと競争する上で大きな不利でしょう。

荻島 おっしゃる通りですね。SIerもそれは認識していると思いますが、ハードや設備という今までの自分たちの存在価値を全否定することから始めなくてはいけないので、変わるのは難しいのではないでしょうか?

――すると、大手より中小の方が方針変更は行いやすいんですね。経営者が決意すれば、すぐに針路を変えられる。

倉貫 背負っているものがない分、身軽なんです。ただ、必要なのは決意だけではありません。受託から自社サービスに切り替えるためには、それにふさわしい人材が必要です。

「」(荻島氏)

「受託をやめて最も感じたのは、エンジニアが営業をすることの難しさと重要性」(荻島氏)

荻島 そうそう。まず大切なのは、営業ができる人材ですね。受託の場合は、元請けだけに営業しておけばいい。でも、自社サービスの場合は、幅広い顧客に営業しなければなりません。

倉貫 企画やマーケティングができる人も必要になりますね。でも、受託ばかりやっていた企業は、特に中小の場合、適任者を見つけるのが大変です。「大手は背負うものが大きくて、中小は人がいない」というのが、業界に共通した問題でしょう。

荻島 当社では、エンジニアが営業やマーケティングを兼務しています。最近は、TwitterやFacebookなどのメディアを使って営業やマーケティングができますから、営業・マーケ畑生え抜きの人よりも、むしろ最新技術になじんでいるエンジニアに分があると感じています。

特に、マーケティングの対象が一般よりITリテラシーの高い層なら、エンジニアでも十分対応できると思いますね。

(3/3に続く)

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