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[特集:SEを辞める日③] SIerに残るなら、”問題発掘型人材”になれ

タグ : ITアーキテクト, ITエンジニア, ITコンサルタント, PM, SaaS, SE, SIer, Web, インフラ, オフショア, オブジェクト指向, クラウド, コスト削減, ソフトウェア, 受託開発, 情シス, 転職 公開

 

前項で取り上げた2人はそれぞれ、転職によって職種を変えたり立場を変えることで、SIerで感じていたストレスを自らの手で払いのけていった。とはいえ、SIerの世界に留まり、自らの能力を高めることで生き残ることも十分可能だ。

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日本マイクロソフト株式会社
執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長

大場章弘氏
大学卒業後、日本アイ・ビー・エムで業務系SEとして働いた後、1991年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社し、2008年より現職

日本マイクロソフトの執行役で、同社のクラウド・ビジネスの中核である『Windows Azure』にかかわる技術者支援の責任者である大場章弘氏は、今後このSIの世界で求められる人材についてこう語る。

「これからクラウド・コンピューティング発展期に入ります。そこで求められるのは、最新テクノロジーと従来のIT資産を連動させ、システム全体を最適化できるITアーキテクトや、顧客に有効な提案ができるITコンサルタント、さらに利用者の視点で使いやすさを追求できるSEです。彼らの存在は、これからますます欠かせないものになるでしょう」

では、”欠かせない存在”になるためには具体的にどのようなアクションを起こせば良いのか? 前出の田中氏と大場氏の意見をまとめてみよう。

【①流行の技術へのキャッチアップを怠らない】

「かつては新しい技術が世に出たタイミングで、エンジニア個人が身をもって体験するにはさまざまな障害がありました。でも、クラウドの場合、より手軽に体感することが可能です。コミュニティにはたくさんの優秀なエンジニアが集まっているし、興味さえあれば、個人レベルで新たなテクノロジーに安心して触れることができます。技術者であれば、技術へのパッションは皆持っているはず。プロセスや納期に追われ、決まったやり方の繰り返しになるのではなく、新しいところに踏み込めるかがポイントです」

そう大場氏が話すように、流行の技術には常にアンテナを立て、”まずは自分で試してみる”態度を保つことが肝要だ。

その一例として、日本マイクロソフトでは、次代を担う人材のために、技術情報Webサイト『MSDNオンライン』ならびに『TechNetオンライン』からの技術情報や「コードレシピ」と呼ぶサンプルコードの提供、テクノロジーイベント『Tech・Ed』の開催を通じて支援を積極化している。

システムをクラウド化するに当たっては、現在稼働しているミドルウエアの動作保証やセキュリティー、運用管理のほか、仮想化、多重化、自動化、さらにはクラウド同士の連携といったニーズにも応える必要があるため、個人のエンジニアリング・スキルもそうしたニーズに応じて、深化、発展させなければならない。

「現在の業務を行うSEの労働人口は、今後も減り続けるでしょう。しかし一方で、クラウドやスマートデバイスによる新市場が拓かれることにより、絶対数としてのSE需要は必ず増えます。例えば『組み込み系』。今は見えない組み込みが多いですが、タッチパネルが家の壁やテーブルに使われるなど、今後はパワフルなデバイスがさまざまなクラウドとつなげられていくでしょう。ただコードを書くだけの仕事はどんどん減りますが、高機能なデバイスに合った実装の仕事は、日本国内でももっと増えていきます。後はその波に乗れるかどうかです」

波に乗る側になる。そのためにはSEも、現在携わっている仕事の枠にとらわれず、先んじて最新テクノロジーに触れておくことが有効だろう。

【②経営判断が早い中小規模のSIerへ転職する】

組織が大きくなるほど、ビジネスモデルの変換に時間がかかるのは世の常。しかし、時流の移り変わりが早い現代では、”期を見て敏”な対応を取れないことが命取りになりかねない。

「今後を考えると、同じSIerでも大手ではなく先進的な取り組みを行っている中小規模の会社に移るというのも一つの手段になり得ます。動きの機敏な中小規模のSIerで、いち早く最新のテクノロジーに触れてみるのも良いのではないでしょうか」(田中氏)

転職先を見極める際には、その企業が新しい社員による新しい挑戦を許容する風土を持っているかがカギになる。経営陣に若手が含まれているか。社内ベンチャーが多く立ち上がっているか。気になる企業があれば、まずは調べてみるといいだろう。最近ではグーグルの「20%ルール」に感化され、社員にイノベーションを生むための時間を割り振る企業も増えている。

【③”問題発掘型人材”を目指す】

「SIerかユーザー企業かにかかわらず、経営陣が声をそろえて『欲しい』というのが、”問題発掘型人材”です」と田中氏は言う。

これまではいわゆる「問題解決型」の人材がもてはやされてきた。確かに、問題の所在がどこにあるのかが分かっていたころなら、その解決法を解き明かすだけで良かっただろう。しかし、今は「問題がどこにあるのか、経営者にも分からない時代」(田中氏)なのだ。

「問題解決型の典型例がコンサルタントですが、彼らに問題を発掘することはできない。多くの問題は現場とひも付いているからです。一方、SEの視点は常に現場にある。問題を特定し、技術を駆使することで解決策を導き出せる可能性を最も持っているのは、現場のSEなのです」(田中氏)

これまでの考察から分かるように、SEがこの厳しい時代を生き抜くために選ぶべき選択肢は多様だ。いずれにしてもSE個人が、現状を打開するという強い意志と行動力と自らのスキル向上への飽くなき情熱なくしては、新しい時代を生き抜くことはできないだろう。

明暗入り乱れるSIer業界。生き残るためには自らを進化、変革できるSEになることが必須条件となりそうだ。

取材・文/武田敏則




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