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女子高生がEvernoteフィル・リービンに質問してみたら、ビジネスの基本が見えてきた

タグ : Evernote, フィル・リービン 公開

 
品川女子学院の生徒とEvernoteのロゴマークである象のポーズで記念撮影に応じる同社CEOフィル・リービン氏(中央左)とリンダ・コズロースキー氏(中央右)

品川女子学院の生徒とEvernoteのロゴマークである象のポーズで記念撮影に応じる同社CEOフィル・リービン氏(中央左)とリンダ・コズロースキー氏(中央右)

クラウド、モバイルといった先端技術を活かした新しい教育の形を模索している中高一貫の私立校・品川女子学院(東京都品川区)に、2014年5月、米Evernote社のCEOフィル・リービン氏が訪れ、同校の女子生徒に向けて特別授業を行った。

「起業マインドを持った女性リーダーの育成」をテーマに、かねてよりIT教育に注力してきた同校では、教員や生徒の約半数がEvernoteのアカウントを持ち、教員間、教員-生徒間の連絡や情報・スキルの共有に、Evernoteのサービスを利用してきた。

2014年度からは、高校2年の全生徒にEvernote Businessのアカウントを取得させ、iPad Miniを貸与。年間の学習計画を「デジタルシラバス」としてまとめ、教員が制作した授業の解説動画のURLを共有することで生徒の自習環境を整えるなど、生徒が「自ら課題を探し、クラウドやモバイルを活用して共同作業をしながら、世の中の問題解決に取り組む」ための学習を本格化させている。

今回の特別授業は、こうした同校の取り組みや教育哲学にEvernote社が賛同したことで実現したもの。リービン氏から生徒へメッセージが贈られただけでなく、同校でのEvernoteの活用事例の紹介、さらには生徒側からリービン氏への質問も相次いだ。

世界的な最先端企業のCEOと日本の女子高生の邂逅は、何をもたらしたのか。ここでは、生徒からリービン氏、Evernote社で働く女性代表として訪れたインターナショナル・マーケティング担当のリンダ・コズロースキー氏にぶつけられた質問を紹介し、特別授業の内容をレポートする。

「良いストレス」を感じることが、自分やサービスを成長させる

講演で「自分をより大変な境遇に置き、成長を促すこと」の大切さを説いたリービン氏

講演で「自分をより大変な境遇に置き、成長を促すこと」の大切さを説いたリービン氏

女子生徒からの質問(1)
どうやってEvernoteというサービスを作ったのですか。

フィル まず、Evernoteを日々、より良くすることに協力していただいている皆さんに、私は感謝しています。ノートの情報をレイヤー状にして再編集しやすくするアイデアなど、今日皆さんからいただいた提案を参考に、新しい機能について先ほど、エンジニアにメールでリクエストを送りました。

このように、Evernoteは私自身が作っているわけではなく、皆さんや、チームの優秀なスタッフが作り上げているのです。CEOである私の仕事は、優秀な人たちを雇うことです。

女子生徒からの質問(2)
フィルさん、リンダさんは「やりたくないこと、面倒くさいことにあえて取り組むことが新しい発見につながる」とおっしゃいますが、私からしたら、それはストレスを感じることです。もし、ストレスを感じることなく、面倒くさいことをやり遂げる方法があるのであれば、教えてください。

リンダ 私が言いたかったのは、「やりたくない」という意味ではなく、「チャレンジ性が高く、怖くてなかなか挑戦できないこと」に挑戦すべきだということです。

ですから最初に考えるべきは、それが本当に「やりたくない」ことなのか、「やりたいけれど怖くてできていない」ことなのかを見極めることです。怖がっているのだとしたら、友人からアドバイスをもらうとか、とにかくやり方を考えることです。

もちろん、本当に「やりたくない」けれど、やらなければならないことも中にはあります。その場合は、自分にご褒美を用意して、なんとかやり遂げるのです。例えば、チョコレートを食べる、とかね。

フィル ストレスにも、良いストレスと悪いストレスの2種類があります。

難しいですが、それを区別することが重要です。悪いストレスとは、例えば家族の病気など、自分の力ではどうしようもできないストレスのことです。

一方、良いストレスとは、真剣に取り組みさえすれば、改善の可能性がある場合のことを指します。例えば試験勉強はストレスですが、頑張れば成績を上げることができる。ビジネスで言うと、生み出した製品が批判にさらされることもありますが、それを参考にしてより良い製品にすることができる。良いストレスは、それに取り組むことによってより良くなるわけですから、むしろ健全です。

女子生徒からの質問(3)
Evernoteのお仕事というとIT系の技術を持った人ばかりというイメージがありますが、リンダさんのお仕事はどんな内容ですか。

リンダ テクノロジー企業の役割は、単にテクノロジーを駆使して製品を作ることではなく、社会のいろいろな問題を解決することです。ですから、必ずしもプログラミングしたり、デザインをしたりすることだけが仕事ではありません。ライター、マーケティング、経理など、実際に製品やサービスを届けるまでには、さまざまな仕事があるのです。Evernoteのお客さまはアメリカ国外にもたくさんいるので、私はそうしたお客さまのための仕事の一部を担っています。

あらゆる面で賢い必要はない。何かひとつに秀でることが重要だ

Evernote社で働く女性代表として登壇したコズロースキー氏

Evernote社で働く女性代表として登壇したコズロースキー氏

女子生徒からの質問(4)
Evernote社の採用基準を教えてください。

フィル 最も重視しているのは、コミュニケーション力です。自分自身のことを説明できる力がなければ、周りの人の生産性も落ちてしまいます。ですから、どの部門の仕事であっても、コミュニケーション力が低い人は採用しません。

女子生徒からの質問(5)
フィルさんは「自分よりも優れた人を雇う」とおっしゃいますが、私から見れば、フィルさんご自身が十分すごいです。もっとすごい人とは、一体どんな人なのでしょうか。

フィル 自分より賢い人を探すのは、難しいことではありません。あらゆる面で私より賢いという必要はなく、何でもいいので、ひとつでも優れたところがあればいいのです。

私はものすごく得意な分野がない反面、いろいろな面である程度の力を出せる「ジェネラリスト」です。私自身が元プログラマーでしたので、優れたプログラマーに出会えば、そのすごさが分かります。PR、メディア戦略もある程度は分かるから、その道に優れた人のすごさも分かります。ですから、あなたたちも何かひとつのことに秀でることが重要です。

リービン氏は最後に感想を聞かれると、「きょうは良い質問をたくさんいただきました。質問するという姿勢が大事だと思います。人生において一番大切なスキルは、質問の仕方を知っていることなのです」と締めくくり、笑顔で記念撮影に応じていた。

講演の中では、「自分をより大変な境遇に置くことで成長を促すこと」、「学生時代からの友人関係を育むこと」「(サービスは)他人のためではなく、自分自身のために作ること」をアドバイスしていたリービン氏。極東の地で実現した異色の出会いは、ほかならぬリービン氏自身にも、新たなインスピレーションを与えたようだった。

取材・文・撮影/鈴木陸夫(編集部)




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