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国内スタートアップの海外展開で「気をつけなくていい」3つのポイント【スタートアップカンファレンス2015レポ】

タグ : BASE株式会社, East Ventures, スタートアップカンファレンス2015, ラクスル株式会社, 株式会社トランスリミット 公開

 

昨今注目を集めている『Uber』や『Airbnb』といったシェアリングサービスのように、海外進出を行う際には法律を含め解決する課題が多々あるが、そんな逆境にも負けず急速に国際的知名度を高めるサービスは常にUSから生まれてきた。そうした現実の中、日本のスタートアップが海外展開を成功させるにはどうすればいいのか?

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2015年3月12日に開催された『スタートアップカンファレンス2015

2015年3月12日に慶應義塾大学日吉キャンパスで開催された『スタートアップカンファレンス2015』。「日本発世界を目指す若手スタートアップの展望」と題したセッションでは、East Venturesの松山太河氏がモデレーターを務め、今後海外を視野に入れた起業家たちへ向け、国内外のITベンチャーへの投資を通じて得た知見を提言した。

本イベントの登壇者は以下の5名。

株式会社トランスリミット 代表取締役 高場大樹氏
BASE株式会社 代表取締役 鶴岡裕太氏
ラクスル株式会社 CEO 松本恭攝氏
Slush Asia Co-Founder Antti Sonninen(アンティ・ソンニネン)氏
East Ventures パートナー 松山太河氏

ここでは、セクション内で議論された「日本の起業家たちが海外進出をする際に意識し過ぎない方がいい」3つのポイントについて紹介したい。

【1】黎明期からエンジニアの海外拠点を作る必要はない

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(左から)アンティ・ソンニネン氏、松山太河氏、鶴岡裕太氏、松本恭攝氏、高場大樹氏

2010年代の初期、ソーシャルゲーム関連企業の台頭から、アメリカ企業の買収や海外へ人材を投入し、支局を立ち上げるなどの活動が日本企業でも目立った。が、海外で絶大な支持を得ることができなかった。

この背景の一つには、「海外でのエンジニア採用」という課題がある。世界1000万ダウンロードを記録した『BrainWars (ブレインウォーズ)』を開発・運営するトランスリミットの高場氏は、起業前にサイバーエージェント・アメリカに籍を置いていた経験からこう話す。

「特にUSベイエリアの場合、現地でエンジニアを採用するには日本人のエンジニアと同じレベルでも約2~3倍の報酬を支払う必要があります。そのため現地採用が難航し、結果的にサイバーエージェント・アメリカでもアメリカと日本のハイブリッドチームでチームが組まれていました。また、2拠点で開発を進めていたため、コミュニケーション面でも課題が生じていたと感じています」(高場氏)

高場氏が日米連合チームに身を置いたことで得た教訓は、「コミュニケーションコストを考えれば、サービスの立ち上げ当初は日本一拠点で開発を行い、プロダクトの品質を高めていく方が、複数拠点を持つより有益だ」ということ。

日本で海外向けにローカライズすればいいという考えのもと、トランスリミットは渋谷にあるオフィスから全世界にアプリを発信している。仮に2拠点で運営するのであれば、「現地の人材に全権を委ねた方が、成果を挙げる確度が高まる」とのことだ。

また、松山氏は自身が投資しているメルカリの戦略について言及する。

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自身が投資しているメルカリの事例を挙げ、海外事業をスタートさせる際のポイントを語る松山氏

「メルカリのUS進出が順調に進んでいる理由に、チームの切り分けがある。エンジニアリングは全て日本で、マーケティングは全てサンフランシスコで行うという具合です。最近は現地でエンジニアの採用も始めましたが、初期段階では特に開発コストが課題になる。日本人のエンジニアが英語対応を行った方が割安で品質も担保しやすいでしょう」(松山氏)

ITベンチャー企業を時価総額で換算した際、Google1社に日本のTOP100社は劣っているという事実があると高場氏は語った。こうした情勢を考えると現地のエンジニアの報酬が高騰していることにも納得せざるを得ないだろう。

「日本をオフショア拠点」として考えるという発想転換が、US進出の初期段階に適応する第一歩になるのかもしれない。

【2】シードの段階ではiOS、Androidの2つを抑える必要はない

App StoreとGoogle Playは世界中に市場を広げた。松山氏が率いるEast Venturesが出資する企業でも、アプリをリリースしただけユーザー比率50%が海外になったという事例が生まれているそう。グローバルなプラットフォームの誕生は、スタートアップが世界中で勝負できる土壌を整えたともいえるだろう。

では、App StoreとGoogle Playどちらを先に抑えるべきなのだろうか。

「Androidの方が世界的に見ると普及しているので、ポテンシャルを感じますが、iOSの方が開発者として作りやすいと感じています。どちらとも取れない難しさがあります」(高場氏)

スタートアップのリソースで最善の開発手法を取ることが重要

「BASEではiOS版しかリリースしていませんので一概には言えませんが、iOSユーザーの方が新しいモノに飛びついてくれやすい印象を受けています。日本はiOSファーストでサービスを作る傾向が多い背景には、ディベロッパーの影響があるのでは?と思っていますね」(鶴崎氏)

「シード期で数十万ダウンロードほどのアプリサービスであれば、iOS、Androidいずれかでいいのではと思っています。サービスをアップデートし続けることも多くの労力につながりますしね」(松山氏)

スタートアップの限られた資源でプロダクトの品質を高めるには、いきなり複数のOCに対応するよりも、OSを絞ってサービスを磨き上げることの方が重要だということだろう。

【3】アメリカ、ヨーロッパだけを見る必要はない

そして、日本企業が海外に進出する際、「マーケット規模だけでなく現地の価値観を知ることも重要」であると、海外進出を視野に市場調査を行っているラクスルの松本氏は語った。

「アメリカには日本の印刷市場と比較し、約3倍の18兆円という相場があります。そのため、アメリカ進出を狙うことがマクロな戦略には向いていると考えました。しかし、各地のCPA(顧客獲得1人あたりの支払額)とLTV(顧客生涯価値)を調べてみると面白いこと分かりました。例えばeコマース市場では、アメリカや日本、ヨーロッパはCPAとLTVがイコールになっているというデータがありました。LTVよりもCPAが高いケースもあるほどです。一方で、東南アジアはCPAが小さいという事が分かりました」(松本氏)

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先行者メリットを活かし、勝ち切ってしまうことも重要だと考える松本氏

早期に事業を起こすことと、後から参入するのでは、事業成功の難易度が大きく異なる。大きなマーケットを狙うことも重要だが、まずは小さなマーケットで勝ち切るという選択も大切だ。

「アジア新興国はマーケットだけを見ると小さいと言われますが、5年後、10年後の市場はどうなっているのか。その将来性を意識することが必要だと思いますね」(松山氏)

とはいえ「海外とのつながりづくり」は必須

最後に松山氏は、日本市場そのもののグローバル化を推進することが、国内のスタートアップが海外展開する上でプラスになると語る。

「日本の企業が海外に出るだけではなく、海外の会社を日本市場で受け入れていく体制も重要だと考えています。そのためには、コミュニケーションスポットが必要。もっと海外と接点を持つ人的交流を行った方がいいと思います」(松山氏)

そうした海外とのつながりづくりの一環になりそうなイベント『Slush Asia』が、4月24日に開催される。

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2015年4月24日に開催される『Slush Asia

企画・運営は、孫泰蔵氏らの応援のもと『Team Slush』が行い、『Angry Birds』で大ヒットを記録した実績を持つアンティ・ソンニネン氏が牽引する。発祥の地フィンランドのヘルシンキで開催された前回イベントには、世界中から1万4000人のスタートアップ関係者が参加するなど、欧州のみならず世界規模で一大コミュニティとして注目を集めているという。

こうした場に日本の起業家たちが集まり、日本のグローバル化を促進していくことで、世界展開で成功するベンチャー企業が生まれるのかもしれない。

取材・文・撮影/川野優希(編集部)




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