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“ウェアラブルの伝道師”が考える、日本メーカーがGoogle Glassを作れなかった本当の理由【連載:匠たちの視点-塚本昌彦】

タグ : Google, Google Glass, HMD, ウエアラブル, メーカー, 塚本昌彦, 研究 公開

 

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プロフィール
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神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻 教授・工学博士
NPO法人ウェアラブルコンピュータ研究開発機構(チームつかもと)理事長

塚本昌彦氏

1989年、京都大学大学院を修了後、シャープに入社。主に通信システムの研究開発に携わる。1995年、同社を退職し大阪大学工学部情報システム工学科講師に転身。同大学院で情報科学研究科の助教授を経て、2004年、神戸大学工学部・電気電子工学科教授に就任。2007年からは現職。2001年3月から、ほぼ日常的にウェアラブルコンピュータを身に付け生活していることから、「ウェアブルコンピューティングの伝道師」の異名を持つ

2012年の『Google I/O』で、その開発コンセプトが明らかになった『Google Glass』。

正式発売は2013年末から2014年初頭あたりと見られているが、1年前の『Google I/O』の会場で早期試用プログラム『Explorer Program』に申し込んだ人々の手元に、『Google Glass』が届き始めている。

「実際に『Google Glass』が一般向けに発売されれば、ウェアラブルデバイスの世界はさらに大きく広がるでしょう」

神戸大学大学院教授で、“ウェラブルコンピューティングの伝道師”の異名を持つ塚本昌彦教授は、『Google Glass』によって口火が切られることになるであろう本格的なウェアラブルコンピューティング時代の到来をこう見ている。

「『Google Glass』が今年の年末から来年にかけて順調に立ち上がれば、おそらく数年以内に、高視野角を持った両眼シースルー型の大型のヘッドマウントディスプレー(以下、HMD)を街中で装着する人が増えてくるはず。視野の中に現実世界とARが重なり合った状態で、情報を得たりすることがごく当たり前になると思います」

12年間ウェアラブルコンピュータを付け続ける男が感じる、喜びと悔しさ

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自身が開発したHMDを、日常的に装着して生活するようになった経緯を話す塚本教授

塚本教授がウェアラブルコンピューティングの世界に足を踏み入れたのは、1995年にシャープの研究職を辞し、大阪大学工学部の講師になって以来のこと。

2001年からは、HMDを自身の日常生活にも取り入れ、世界中から取り寄せたさまざまなデバイスを使い分けながら、ほぼ一日中装着して生活することも始めた。

「HMDを付け始めたころは、研究者仲間だけでなく、すぐに世間の人たちも生活に取り入れるだろうと思っていたのですが、自分以外の誰も身に付けていない状況が12年も続くなんて思いもしませんでした(笑)。でも、Googleのおかげで、今年から来年にかけて大きな波が来ようとしている。『いよいよ来たな』というのが正直な感想です」

当然のことながら、研究者としてウェアラブルコンピューティングに世間の関心が集まることを歓迎する気持ちは強い。しかし、これまでの経緯を振り返ると、必ずしも手放しでは喜べないのではと塚本教授は感じている。

「ウェアラブルコンピューティングが注目され、実際に多くの人が身に付ける時代が来ようとしている状況は、研究者としてもちろんうれしいですし、前向きにとらえています。でも、結果的にその口火を切ったのは日本のメーカーでなかったというのが悔しいんです」

日本メーカーには優れた製品を作る実力があったにもかかわらず、この10数年というもの、世界を驚かせるような製品づくりができていない。目に付くのは、アメリカ企業と韓国企業の製品ばかり。

「日本メーカーにもチャンスはあったのに、と思うと残念で仕方ありません」

リスクへの過度な恐れが、日本メーカーを世界の舞台から下ろした

デフレによる国内需要の低迷と世界市場での出遅れ、円高による国際競争力の低下など、日本メーカー凋落の要因はいくつもある。しかし本当の敗因は、負け戦に慣れ切ってしまったメーカーの社内風土にあるのではないか。

話がモノづくりに対する姿勢におよぶと、塚本教授の視線が途端に鋭くなる。

「90年代以降、経済状況が厳しくなっていく中で、メーカーの内部では面白いものを作ってやろうという気概が急速に失われていったような気がします。例えば日本のメーカーに勤める若い人が『Google Glass』のような新しい企画を提出したとしても、おそらく『PL法(製造責任法)に抵触する』などと、もっともらしい理由をつけてあっさりと潰してしまったでしょうね。わたし自身、似たようなことを見聞きしたことがありますし、メーカーに就職した教え子たちからそうしたつらい現実を聞かされることもあります。

つまり、日本メーカーにとってリスクは乗り越えるのではなく、避けるのものというのが、常套手段になってしまっていたわけです。上に立つ人間が保身に走ったら、世界を驚かせるような製品なんて生まれません。そうやって失敗を恐れ避けてきたことが、日本メーカーの力を削ぐことになったのではないかと思います」
(次ページへ続く)


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