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エンジニアとビジネスサイドの意識を1つにするには?トークノート開発責任者が語る、機能改善の上手な進め方

タグ : スタートアップ, トークノート, 機能改善, 藤井拓也 公開

 
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トークノート開発責任者の藤井拓也氏

社内のコミュニケーションを支えるメール、チャット、SNSのメリットをまとめたツールとして、Web業界だけではなく、美容、飲食、介護など幅広い業界で導入が進んでいる『Talknote』。

2011年6月のリリースから4年で導入企業数1万5000社。これは、社内SNSとして業界No.1の導入実績だ(出典)。2015年4月にはC Channel代表取締役の森川亮氏が社外取締役に就任するなど話題を呼んでいる。

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社内SNSとして業界No.1の導入実績(デジタルインファクト調べ。出典は記事内)を誇る『Talknote』

そして2015年5月25日、トークノートは社内SNS『Talknote』のタスク管理機能をリリースした。これにより、担当タスクを一元管理するだけではなく、進捗共有も容易。個人のタスク管理では成し得なかった、組織全体としての滞りのない業務推進を可能にするという。

だが、このタスク管理機能、5月7日の時点で1度リリースを行い、改めてリリースした経緯がある。なぜ、『Talknote』はタスク管理機能の再リリースを行うことになったのか。

『Talknote』の開発責任者である藤井拓也氏にその裏側を聞いたところ、エンジニアが意識すべきビジネスサイドと議論する際の考え方と、コミュニケーションの大切さについて知ることができた。

シンプルさへのこだわりが落とし穴になることも

藤井氏は高校在学中に小説家を志した後、SIerに入社。その後、ベンチャー企業でCTOを務め、2013年5月にトークノートに入社した。

以下のSpeaker Deckに記載があるように、藤井氏は『Talknote』の開発基盤を作り直した実績を持っている。CIを実践し、196万行あったコードを書き直し、純減9万行を実現した。

スタートアップの”カオス”を生き抜く開発術 from takuya327

この他にもインフラをAWSへ切り替えるなど、技術的負債を逐一潰してきたという。そのおかげもあって、現在の『Talknote』は新機能を実装する際、技術的な障壁はそれほど大きくなかったとのことだ。

ではなぜ、タスク管理機能は再リリースという結果になってしまったのか。2015年2月から始まった開発の裏側について、藤井氏はこう語る。

「タスク管理機能を実装した理由は2つあります。まず、ユーザーさんからの要望。次にトークノートの社内でも、以前からタスク管理機能をつけるべきか? という議論が起こっていたこと。2つの意見が一致したことで、開発が決定しましたね」

「前提としてユーザーの意見を全て真に受けることはしない」と藤井氏は強調した上で、タスク管理機能が再リリースに至った理由はUI面にあったと振り返る。

「ユーザーがより使いやすいよね? と思って着地したUIだったのですが、リリースが差し迫った際、最初のユーザーさんにとってアンマッチなモノになっていました。『Talknote』は社内SNSですので、各ポジションのニーズを汲み取りながら最適化する必要があります。再リリース以前は、メンバー側が使いやすいUIや機能になっていて、管理側からすると不便な点がありました」

『Talknote』の開発方針に、よりシンプルなモノを追求するという考え方があるという。タスク管理機能についても同様に、シンプルさを追い求めた。しかし議論を重ねた結果、今回は削除した機能の中に、タスク管理機能を希望したユーザーが最も求めていた機能があった。

「現状は完了したタスクを簡単に見ることができますが、当時はタスクの結果が分かりにくいUIになっていました。プロジェクト管理側の視点で見た時に、どんなタスクが発生しているのか分かりにくいということですね」

タスク情報が重なると情報が埋もれてしまう。そのリスクを踏まえ、画面上のシンプルさを追求した結果だったが、裏目に出てしまった。

結果、UIへの指摘から1週間で『Talknote』は改善を行い、タスク管理機能を再リリース。ユーザーとコミュニケーションを取ることで、より多くのユーザーに根付くサービスになったと藤井氏は考えている。

プロダクト開発に銀の弾丸などない。徹底した議論を

思考が違う者同士が議論する場合、エンジニアはどのような発想を持てば良いのか

エンジニアとビジネスサイドは立場が異なる。議論の場では、意見や主張が食い違うケースも珍しくない。それぞれが愛着を持ってサービス作りに取り組んでいればなおさらだ。

「ビジネスサイドはチャンスにすごく注目して、ロジックを積み上げていく。一方、エンジニアは実現性を担保する責任があるため、実現可能性から加算式にロジックを組み立てていくんですね。お互いに立っている土俵が違うまま議論が進むため、コミュニケーションが難しいなと思っていました」

藤井氏はソフトウエア技術者のフレデリック・ブルックスが1986年に発表した論文「銀の弾丸などない-No Silver Bullet –」を引き合いに出しながらこう語る。

「プロダクト開発に『魔法のような解決策』は存在しない。議論に正解はないということを踏まえた上で、エンジニア側のリーダーがビジネスサイドに歩みよる必要があります。結果的にエンジニアが相手の地表に立つしかない。これが僕の結論です。ビジネスチャンスを理解し、実現する可能性を逆算する考え方ですね。エンジニアとして、ここまでならできる。この考えを持つことが重要なのかなと思います」

ビジネスサイドの人間は多くの場合、クリエイターではない。作り手の考え方を汲み取ることは、技術理解を含めて大きなコストが掛かる。そのため、エンジニアサイドが歩み寄ることが大切だという。

そして、藤井氏のようなエンジニアチームのリーダーはもう1つ大きな役割を持っている。チームに決定事項を伝えなければならないことだ。

「自分が腹落ちしていない状態でメンバーに仕事を依頼する。これが一番やっちゃいけないこと。ですので、ビジネスサイドとの議論は徹底しなければならないでしょう」

メンバーから「なぜ作るのか?」と問われた際、「プロダクトを前に進めるために必要だ」と開発責任者が自信を持って伝えなければ、チーム同じ方向を見ることができない。藤井氏はそう考えている。

ユーザーにとって「吸着力」のあるサービスを作るには

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『Talknote』が目指す次の一手の考えに迫る

『Talknote』は今回実装したタスク管理機能の影響もあり、契約をアップグレードするユーザーも増えているという。藤井氏は『Talknote』の今後についてこう語る。

「コミュニケーションのスピードはどんどん上がっていますよね? LINEくらいの情報伝達速度が当たり前になった時代にマッチしたサービスでなければ、あっさりと取り残されるだろうと感じています。『Slack』も話題になっていますが、コミュニケーションのツールを作るというよりも、日本の文化に適したモノを作る必要があると感じています」

一方で、『Facebook』や『Instagram』、『Slack』など海外発のサービスが世間では普及している面もある。その打開策について藤井氏はこう考えている。

「会社やチームはそれぞれ独自の文化を持っています。そのため、各企業の最大公約数を射止める発想でサービスを作ると、新しいサービスが登場した場合、一気に地盤が緩んでしまうんじゃないでしょうか。僕たちの理想は、最大公約数ではなく“個”を見てサービスを作ること。ただし、最大公約数と個の意識の違いを見いだすことはとても難しいんです。1人の人間を見立てた時に、それぞれにとって馴染むサービスある必要があるためですね。この点が今の課題です」

『Talknote』は仕事で使うツールなので、スティッキネス(吸着性)が高い。この状況を作り出すことを目標としていると、藤井氏は語る。

「僕は嫁さんと結婚して10年が経ちますが、ナイスバディのお姉ちゃんが来たから結婚関係を解約しますなんて言わないじゃないですか(笑)。これがサービスが根付く、ユーザーにとって吸着力が高いということ。使っていることが当たり前。この状況にまでユーザーに馴染むモノを作るということです」

ユーザーに対して、決定的に馴染んだサービスは価値を持ち続けるというのが、藤井氏の持論。事実、日本最大の電子掲示板サイトである『2ちゃんねる』は1999年にリリースされたサービスだが、いまだユーザーに支持され続けている。時流に関係なく、心をつかんだサービスは継続的に選ばれるのかもしれない。

「そもそもコミュニケーションツールって、対話を補ったり促進させるものであり、完結させるものではないんですよ。人はコミュニケーションを言葉だけで取っているわけではもちろんない。それぞれが発する小さな信号をいくつもキャッチして成立していると思うんです。オペレーショナルな部分ではなく、メンバーをモチベートする場合やサービスについて議論する際、非言語的なコミュニケーションもセットでなければ、良いアウトプットは生まれないと思います。

だから僕は時に、顔を真っ赤にしてプロダクトオーナーである、小池(代表取締役の小池温男氏)と対面で議論するわけですよ。そうする中で、ポジショントークを越えた議論が生まれると思っています」

取材・文/川野優希(編集部) 撮影/竹井俊晴




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