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業界初、TBS主催のハッカソン『TBS TV HACK DAY』発起人が、Webエンジニアに解決してほしいテレビの2つの悩み

タグ : TBS, TBS TV HACK DAY, がっちりマンデー!!, ジンロリアン, ハッカソン, リアル脱出ゲーム TV, 松山大河, 谷英之, 高須光聖 公開

 

「これまでもいろんな取り組みをやってきましたが、正直に言うと、われわれは今、若い人にテレビを楽しんでもらう方法が分からなくなっています」

そう語るのは、TBSデジタルビジネス推進部担当部長の谷英之氏。「若者のテレビ離れ」はテレビ業界全体の喫緊の課題となっているが、その解決策を見出せていないからだ。

「自分たちだけで解決策を考えると、やはり従来のテレビ的な発想や、権利関係の規則に縛られて、自由な発想が出てこないんです。であれば、思い切って外の人たちにアイデアを求めれば、突破口が見つかるかもしれないと考えました」

そんな思いから、2014年3月初旬、テレビ局初となるハッカソンイベントがTBS主催で開かれる。『TBS TV HACK DAY』と銘打たれたそのイベントは、予選となるアイデアソンと、本戦のハッカソンの2段構成だ。

テーマは、「未来のテレビの楽しみ方を追求するアプリケーションやWebサービス」の発掘。審査委員長にEast Venturesパートナーの松山大河氏、ハッカソン審査員に放送作家の高須光聖氏や『TechCrunch Japan』編集長の西村賢氏などを迎え、約100名のエンジニアやプランナー、デザイナーが新サービスの開発に取り組むことになる。

最優秀賞には賞金100万円が贈呈され、テレビ番組内での放送も予定されている。

「今までにない、新たな発想を求めている」と語る谷氏。果たして、エンジニアはテレビ業界に対して何ができるのだろうか?

若い世代に増加中の「テレビのながら観」に活路を見出したい

「テレビ業界でも初の試みに、今から期待を膨らませています」と語る谷氏

谷氏によれば、現状のテレビ業界が抱える「Webとの連動」における課題は大きく2つある。

「まず、1つ目に『長期的にユーザーを確保できるサービスがない』こと。現状のセカンドスクリーンなどの試みだけでは、手の届かない部分です」

現在、テレビ業界が開発している番組とインターネットの連動サービスとして主流になっているセカンドスクリーン。日本テレビの『JoinTV』、フジテレビの『フジテレビアプリ』など、各局がセカンドスクリーンを用いた番組制作に積極的な姿勢を見せているが、谷氏によれば一長一短があるらしい。

「TBSも、『リアル脱出ゲーム TV』や『ジンロリアン』など、Webを絡めた視聴者参加型の番組は何度か放送してきました。しかし、こうした番組は単発で終わってしまい、先につながらないし、ITリテラシーがある程度高い人じゃないと楽しめない。最大瞬間風速はあっても、数も時間も限定的なんです」

『リアル脱出ゲームTV』は特設サイトへのアクセス数が最大170万を突破し、成功と言ってもいいほどのユーザー数を集めた。しかし、テレビ全体の視聴率の底上げや、サービスの継続性にまで至っていないところに、谷氏はもの足りなさを感じているそうだ。

「2つ目の課題は、テレビ業界が若者のテレビとの接し方の変化に対応できていないことです。インターネットに費やす時間が増え、テレビが観られなくなったというのが昨今の『若者のテレビ離れ』の定説。しかし、実際は『ながら観』をしている人が多いのです。テレビの前に、PCやスマホを持った若者はいるのに、うまくリンクしていないことにもったいなさを感じています」

事実、2013年4月にNHK放送文化研究所が行った調査によると、1日に2時間以上インターネットを利用する20~30代のうち約50%が、テレビ番組を流しながら利用しているという。

「極端な例かもしれませんが、『2ちゃんねる』で番組の話題が盛り上がっても、実際の視聴につながることが少ない。インターネット上の『テレビの話題』を視聴へと結び付ける施策を模索しているのですが、なかなか良いプランが浮かんでいません」

これらの課題に頭を悩ませていた谷氏が、ハッカソンイベントを開催するのは、同僚からの誘いがきっかけだった。

「『がっちりマンデー!!』の大松雅和プロデューサーから『ハッカソンが盛り上がっている』という話を聞き、TechCrunch主催のハッカソンイベント、『TechCrunch Tokyo』を見にいったのです。そこで、エンジニアをはじめとする若いクリエイターたちの熱気に圧倒されました。レース的な要素もあるハッカソン自体の面白さはもとより、彼らの発想力や実行力の高さに感銘を受けたのです。そうしたエネルギーを、テレビの活性化につなげたいと思い、ハッカソンイベントの立ち上げを決めました」

「テレビ向けのエンジニア」を育てなければいけない

長期的なユーザーの確保、若い世代の変化するテレビ視聴法への対応。これらの課題を解決するような、サービスの誕生を狙い開催される『TBS TV HACK DAY』。

仮に理想のサービスが誕生した先には、どのようなビジョンがあるのだろうか?

最大170万人を集めた『リアル脱出TV』。こうしたコンテンツでの成功例を継続させる術が必要だ

「ハッカソンによって生まれたWebサービスは、必ずしもTBSが独占するつもりはありません。今回のハッカソンのゴールは、テレビ業界全体を盛り上げること。ほかの局も使えるような、スケールの大きいサービスを望んでいます。そうしたサービスを活かすも殺すも、われわれの腕次第ではないでしょうか」

加えて、『TBS TV HACK DAY』の開催には「人材発掘」という側面もあるらしい。その背景にあるのは、テレビ業界における「エンジニア不足」だった。

「番組企画と連動したWebサービスやアプリ開発は、外部の開発会社に協力してもらうことがほとんどです。しかし、番組企画と密にかかわるUI設計を外部スタッフと行うのは時間が掛かる。また、コミュニケーション不足から、サービスのクオリティが下がる例が多いのも現状です。そうした問題を打開するために、テレビ向けコンテンツ制作のノウハウに精通したエンジニアを育てる必要性を感じています」

では、具体的に「テレビ向け」とはどういうことなのか。

「例えば、番組放送時の瞬間的なアクセス集中への対処法、テレビを観ながらの操作を想定したUI設計、などのスキルは求められます。あとは、番組の企画趣旨を汲み取り、相乗効果的に娯楽性を高める技術を提案してくれるようなエンジニアが理想的です」

募集開始初日で定員に達し、キャンセル待ちの問い合わせが絶えないほど、参加者側からも高い注目を浴びている今回のイベント。

テレビ局が初めてハッカソンイベントを行うことに加え、「表現の場を求めるエンジニアが増えてきている証拠では」と、谷氏はその注目度の高さを分析する。

「『TechCrunch Tokyo』でエンジニアの人たちと話をした際、自分の持つ技術を活用して、表現をしたがっている人たちが多いと感じました。であれば、われわれが彼らにチャンスを提供することが、ひいてはテレビの盛り上げにつながるはず。意欲的な参加者によって、『TBS TV HACK DAY』がテレビ業界の新しい未来を築くための、第一歩になることを願っています」

表現の場、活躍の場を求める若手エンジニアにとって、TV Hackは大きなチャンスになるかもしれない。

取材・文/長瀬光弘(東京ピストル


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