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わずか15分で709個のアイデアが~Tech Kids CAMPで知った、プログラミング教育で大切なこと【特集:New Order】

タグ : CA Tech Kids, iPhoneアプリ, Tech Kids CAMP, アメーバピグ, サイバーエージェント, プログラミング教育 公開

 

CA Tech Kidsの『Tech Kids CAMP(テックキッズキャンプ)

サイバーエージェントグループのCA Tech Kidsが運営する、小学生のためのプログラミング入門コース。3日間の短期プログラムで、【1】XcodeでiPhoneアプリを作る、【2】GameSaladで2Dゲームを作るの2コースを展開している。「楽しく、学びのある内容」をモットーに、キャンプ中はPC操作のイロハからコーディングの基礎のほか、チームで新しいモノを作り出す体験を教えるために工夫をしている

「楽しい」は正義。子どもにとっては、大人が思っている以上に学びの原動力になる。

目の前で繰り広げられる光景を見ていて、改めてそう思わされた。

それは今年4月3日、小学生向けプログラミング教室を運営するCA Tech Kidsが行っている3日間の短期プログラム『Tech Kids CAMP(テックキッズキャンプ)』での一幕だった。

昨年から義務教育化の議論も出始めたプログラミング教育について、

《未来を変える作り手を育てる上で、子どもと大人はどういう関係を築けばいいか》

を考える場を持ちたいとCA Tech Kidsに相談したところ、キャンプ中日のレクリエーションとして“ゲーム・アイデアソン”を初開催するとのことで、編集部を招いてくれたのだ。

アイデアソンは、4月2日~4月4日のTech Kids CAMPに参加していた小学3、4年生が中心の約40名で実施。特別講師に、サイバーエージェントのコミュニティサービス『アメーバピグ』を運営するピグ部門統括の田久保健太氏を迎えて

【1】田久保氏による、アメーバピグの解説(約10分)
【2】4~6人のチームに分かれ、ピグ内の「つりゲーム」をプレイ(約20分)
【3】その後、ゲームをもっと面白くするアイデアを紙に書き出す(約15分)
【4】どのチームが一番多くのアイデアを出せたか競う(約15分)

という流れで進んでいった。

アメーバピグの「つりゲーム」

はじめに田久保氏が「ピグのこと知ってる人ー?」と聞くと、8~9割の参加者が「はーいっ!」と手を挙げる。続いて田久保氏が「みんなが考えるアイデアが、ピグの次期開発で採用されるかもよ」と話した途端、子どもたちの目が輝いた。

ゲームをプレイし、田久保氏やメンター(子どもたちの学習をサポートする役割の学生)たちに質問しながらルールを覚えた後は、用意された「アイデアいっぱいシート」に思いついた案を書き連ねる。

結果、「釣った魚を売る市場を作る」、「お寿司屋さんを開店する」、「潮干狩りもできるように」といった新たなイベント案や、「イルカに乗って遊びたい」、「素もぐりでも魚を獲れるようにする」などの機能追加プラン、釣り上げるまでの反応速度やUI改善について、果ては課金の案まで、本当に幅広い観点からアイデアが出てきた。

その合計はなんと709個。中には、わずか15分の間に1人で110以上のアイデアを書き出す子どももいた。

小学生に「技術ありき」で教えてもうまくいかない理由

子どものゲームに対する“熱狂”ぶりは見ていて驚くほど

その一部始終を見ていた田久保氏は、「普段ピグの開発をしているチームとブレストをしても、これだけの短時間で700個もの改善案が出てくることはない」と驚いていた。

「それに、子供たちは『イベント』、『機能追加』、『技術・UI』など異なるカテゴリーのアイデアを同時に出してくることにも驚きました。僕ら大人は、ミーティングのテーマや技術的な制約に縛られて、あそこまで柔軟にアイデアを広げていくのが難しくなっていますからね」

今回、CA Tech Kidsがこのような形のゲーム・アイデアソンをプログラムに組み込んだのは、まさにこの「制約に縛られる」のを避けながら、自由に物事を発想する大切さを参加者に伝えたかったからだという。

代表取締役社長の上野朝大氏は、「プログラミング教育では、『作れるようになること』よりも、『楽しいから作りたくなる』という初期衝動を生むことの方が大切だ」と持論を語る。

「小学生に“技術ありき”な教え方をしてもうまくいかないだろうという考えは、Tech Kids CAMPを始める前からありました。まずは自由にアイデアを出し、『そのアイデアを実現したいからプログラムを学ぶ』というサイクルを生み出さなければ、学習って長続きしないよねと思ったのです」(上野氏)

つまり、ゲーム・アイデアソンも上野氏が言う「プログラムを学ぶサイクル」を生み出すきっかけづくりを目的に行われたことになる。Tech Kids CAMPではこれまでも、この視点で教育プログラムを組んできたという。

「通常の授業の中でも、子どもたちがどのようなアイデアを実現したいかを思うように書いてもらい、そのアイデアを実現(実装)するためにどのような技術を使うかをメンターと一緒に考えてもらうような流れを採り入れています(下の「アイデアシート」参照)。そうすることで、プログラムだけでなく、モノを作るプロセスそのものを学んでほしいと考えているからです」(上野氏)

CA Tech Kidsが使っている「アイデアシート」の例

今の子どもたちは、幼少のころからスマートフォンやタブレットに触れ、プレステやニンテンドー3DSなどのゲーム機を通じてすごいグラフィックのゲームもやり込んでいる。「こんなアプリやゲームを作ってみたい」と思う対象が、身近にあふれているのだ。

だからこそ、Tech Kids CAMPのプログラミング教育では「アイデア次第でもっと面白いものが作れるんだと体感してもらう」(上野氏)ことを大切にしてきた。

大人が伝えるべきは「技術」より「創る楽しさ」

アイデアソンで子どもたちが出したアイデアを眺めながら語る、上野朝大氏(左)と田久保健太氏(右)

この動機形成の大切さは、田久保氏も痛感しているという。

「IT業界では、プログラマーのことを『IT土方』と呼ぶ風潮がいまだに残っています。これは、プログラマーをシステム開発の歯車として扱っていた時代の名残です。ただ、現在のWebサービス開発では、ディレクターもプログラマーも関係なく積極的にアイデアを出しながら、より良いものにしていくことが求められます」(田久保氏)

プログラミングはアイデアを実現する術であり、誰も解消できなかった課題を乗り越えるための手段である――。

こう書くと、「当たり前だ」と感じる大人は多いかもしれない。しかし、日々開発に取り組むプログラマーの中で、本当に“アイデア駆動”、“ビジョン駆動”でコードを書いている人はどれくらいいるだろう。

仕事が作業になり、時に苦痛と感じるようになる時期は、どんな大人にも一度や二度は訪れる。が、そんな毎日が恒常化してしまうと、初期衝動はなくなり、「プログラムを始めたころはもっと楽しかった」と嘆くようになってしまうのだ。

これからの業界を担っていく未来のプログラマーたちに、そんな苦い思いをさせないためにも、大人であるわれわれは「技術」だけでなく「創る楽しさ」を伝えていかなければならない。

「子どもたちの成長スピードって、僕らが思っている以上に早いんですね。CA Tech Kidsのプログラミング教室に通う子どもの中にも、最初はPCすら触ったことがなかったのに、3カ月後にはオリジナルイラストの入った元素図鑑アプリを作ってしまった子がいるほどです。なぜそんな短期間でプログラミングを習得できるのかを考えると、やはり『作りたい!』という思いが強かったからだろうと。CA Tech Kidsでは、この思いを育むための取り組みを、今後もいろいろと仕掛けていきたいと思っています」(上野氏)

この日、大盛り上がりしたゲーム・アイデアソンが終わった後、再びプログラミング学習を始めるまでに15分程度の休憩時間があった。

その間、同じチームの仲間とじゃれ合う子や、メンターと会話する子がいる中で、脇目も振らずTech Kids CAMPオリジナルの『iPhoneアプリ開発の教科書』を読みふける子どもが何人かいた。

「作りたいから学ぶ」というサイクルが、見事に回り出す瞬間を見た気がした。

>> 特集「New Order」過去記事一覧はこちら

取材・文・撮影/伊藤健吾、鶴田友子(ともに編集部)




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