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ビジネスにしないとリサイクルじゃない!技術で社会問題を解決するヴェラパン・スワミナサン【連載:高須正和】

タグ : MAKERS, Sustainable Living Lab, 高須正和 公開

 
高須正和のアジアンハッカー列伝

高須正和(@tks

無駄に元気な、チームラボMake部の発起人。チームラボニコニコ学会βニコニコ技術部DMM.Makeなどで活動中。MakerFaire深圳、台北、シンガポールのCommittee(実行委員)、日本のDIYカルチャーを海外に伝える『ニコ技輸出プロジェクト』を行っています。日本と世界のMakerムーブメントをつなげることに関心があります。各種メディアでの連載まとめはコチラ

技術のチカラで新しいビジネスを作ることで持続可能な未来を

今回はまたシンガポールのハッカーを紹介します。

シンガポールのMakerグループ、Sustainable Living Lab(サステイナブル・リビング・ラボ /持続可能な生活を研究する、の意味。以下は彼らの略称であるSL2を使います)を運営するVeerappan Swaminathan(以下、ヴェラパン)です。

日本だと、サステイナブル(持続可能)を旗印にする人たちは、なるべく現状を変えなかったり、技術が発展する前の時代を指向する形が多いように思います。SL2はそうした活動とはかなり違い、自分たちも“Maker”を標榜し、実際にテクノロジーが好きな人たちのお祭りであるMini MakerFaireシンガポールに大きなブースを構え(ラボもOneMakerGroupというシンガポール最大のMakerスペース内にあります)、自らを「技術力で社会的な問題を解決する会社」と答えます。

MakerFaireシンガポールでプレゼンするヴェラパン

デザイン、ストーリーの力で製品を成り立たせる

■竹のスピーカー『iBam』

彼らは例えばこの『iBam』のようなものを作っています。これはバンドンの竹からリサイクルして作ったスマートホンのスピーカーで、アコースティックに音を広めるものです。彼らは「グリーンアンプ」と呼んでいます。

竹のiPhoneスピーカー『iBam2』(提供:SL2)

これはいいデザインで、生成りの布で包まれて売られています。$49シンガポールドル(4500円ぐらい)の価格に見合うものです。

■消火ホースをリサイクルする『FireUP』

こちらの『FireUP』は、シンガポールの消火部隊が実際に使っていたものをパスケースにリサイクルしようとしています。リサイクルの作業そのものも引退した消防士が行うようにしたい、とのこと。防火とか防衛の博物館などで、記念品として売っていくのであれば人気が出そうです。

消火ホースをリサイクルした『FireUP』

彼らは単にリサイクルやエコロジーをするだけでなく、それを製品として成り立つクオリティまで、テクノロジーやデザインの力を借りて向上させ、収入を得てはじめて「サステイナブル」と考えています。

素材そのものを循環させることよりも、これまでビジネスが成り立たなかったところにビジネスを興して、同じことを続けさせることを「サステイナブル」と考えています。

以下は、サステイナブル・リビング・ラボのサイトに掲げられている彼らの活動のシンボルです。

Sustainable Living Labのポリシー

社会(Social)・環境(Environment)・経済(Economical)が重なり合うところに持続可能(Sustainable)が成り立つことを表しています。

エンジニアとして、また知財のスペシャリストとして、そして起業家として

SL2の創業者ヴェラパンはまだ30歳になったばかりの起業家です。

シンガポール国立大で生物工学とエンジニアリングを学びました。学校ではWebデザインとLANゲーム(ローカルでチーム対戦をするオンラインゲーム)のサークルをそれぞれ立ち上げ、軍隊では情報処理を担当、ビジネスとしてアメリカのバイオ医療会社で働き、公務員としても太平洋の違法操業に対する政策を提唱したり、国営のビジネスプランコンテストのリーダーを務めるなど、これまで、ビジネスとホビーそれぞれの分野で、さまざまな経験を積んできました。

水政策の研究ネットワークの共同創設者でもあり、この連載でもギーク大臣として紹介した今の水資源・環境大臣ヴィヴィアンともつながりがあります。

エンジニアおよび知財のスペシャリストとしていくつか特許を取得し、起業家としてもユネスコのビジネスプランコンテストを受賞したシンガポールチームのリーダーを務めています。

社会的な問題を解決すること、何かを作ることの両方に喜びを感じていた2011年、Makerムーブメントの高まりに触れ、「これで、持続可能性の問題と何かを作ることを会わせられるのではないか」と考えてSL2を創設。同時に、シンガポールで最初のMakerスペース(Fablab、Techshopなどのように、Makerが集まって知識や機材をシェアする場所)を設立しました。

「子供のころ、メカーノ(組み合わせることでさまざまな機構が作れるオモチャ)とレゴのセットで遊んで、いくつか技術的なことを学んだことが、Makerを志すきっかけになった」とヴェラパンは語ります。

その後も技術的な授業やワークショップを多く選んで受講。学生時代に、ダイムラーとユネスコが共同で実施した大会で、インドの農民のために太陽光乾燥機を応募したことが、技術で問題を解決する活動のきっかけになったといいます。

また、2008年にアメリカ資本の医療機器メーカーの仕事のために1年カリフォルニアで働いていた際、Make:MagazineとMakerFaireに直接触れています。

米Make:MagazineとベイエリアのMakerFaireは日本とはだいぶ異なり、かなりDIY、ヒッピー感あふれたものです。グリーンテクノロジーのために多くのスペースが割かれ、「客席がすべて自転車型発電機になっていて、客が発電する電気で演奏するロックバンド」のような出展があります。

ゼロから作ることを教える

「今は、やりたくてたまらなかったことを仕事にしている。多くの人は生計を立てることと楽しみを得ることを別々にしているけど、幸い僕はその2つを一緒にできている。SL2の活動も4年目を迎え、シンガポールの外側を見据えて活動を刷る段階に来ている。今のところ、ワークショップのほとんどはシンガポール内でやっているけど、呼んでもらえればどこでも行くよ」

シンガポールはマネジメントに特化した国家のため、起業家やプロデューサは多いですが、自分が手を動かしてもの作りをする人たちは少ない国です。実際的な労働は移民が担っています。

シンガポールMakerFaireで行われている、ノコギリの使い方ワークショップ。シンガポールにはそもそもノコギリを握ったことがない人が多い

SL2はシンガポールの人たちがMakeを始めるために、まず「ノミでスプーンを掘ってみる」、「ノコギリで切ってみる」というところからワークショップをはじめています。

「Makerムーブメント、特にシンガポールでのそれは始まったばかりで、まだまだ、『これがMakerだ!』という成功事例を生み出すには多くの時間がかかるけど、そのぶんすごい可能性を秘めている。“Make:”をやることで、新しい工芸品を生み出すことができるし、何より自分自身が“できる”という実感を得ることができる」

ヴェラパンはそう話ながら、今日もシンガポール最大のMakerスペース OneMakerGroupで活動をしています。

>> 高須正和の連載一覧




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