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ソシャゲブームが終わり、インフラ整備のニーズが上昇~急変する採用動向に見る「スマホ普及期」の開発トレンド

タグ : SI, アプリ, スマートフォン, ソーシャルゲーム, 転職 公開

 

「採用」は、その時々の世相やビジネストレンドを反映する一つの指標である。この視点で見た時、今年のゴールデンウィークは、大きな転換点になったといえるだろう。

過去2~3年、エンジニアの中途採用で最もホットな分野だったソーシャルゲームやアプリ開発職の採用が、5月に入って急速にブレーキがかかり始めているのだ。

それだけでなく、2008年のリーマン・ショック以降、企業のシステム投資抑制で「ピンポイント採用」が主となっていたSI系の求人マーケットがにわかに盛り上がりを見せ始めた。

キャリアデザインセンターが運営する「typeの人材紹介」のキャリアアドバイザー後藤和弥氏によると、こうした変化が同時に起きた背景に、「ガラケーからスマートフォンへの乗り換え」が関係していると語る。その詳細を見ていこう。

ソーシャルゲームでは「3ケタ採用」から「ゼロ採用」に変更する企業も

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From fukapon
スマホのシェア率は年々増えているが、ゲームやアプリ開発各社が「スマホシフト」に成功しているわけではない

まず、どのくらい増減しているのか数値データを見てみると、実は各企業の「募集職種数」には、まだ特筆するほどの変化が出ていない。

「typeの人材紹介」における2013年1月~5月20までの推移を見ても、近年はソーシャルゲーム関連がメインだった「Web(B2C)分野」の募集職種数と、「SI/コンサル(B2B)分野」の総数は両方とも4ケタほどあり、1~4月の月間平均求人数と5月20日時点の求人数を比べてもそれぞれ20~50程度の増減しかない。

それでも、前段で「ソーシャルゲーム開発者の採用ニーズが急激に減っている」と記した理由は、採用の緊急度や切迫度を示す指標となる「書類選考通過率」が大きく変わっているから。

「typeの人材紹介」の山浦幸一郎氏によると、「Web(B2C)分野」では今年1~4月までの平均的な書類通過率に比べ、5月は6.1%もダウンしているという。

誤差の範囲と感じるかもしれないが、「2011年の後半から今年頭まで、書類通過率がこれほどの割合で落ち込んだことはなく、むしろ上がり続けていた」と山浦氏は言う。

つまり、突如少数の厳選採用にシフトしたということだ。

その最大の理由が、大手SNS企業やSAP(ソーシャルアプリプロバイダー)の採用意欲が急激に衰えたこと。某有名ソーシャルゲーム会社では、今年4月まで「年間3ケタ採用」を謳っていたにもかかわらず、GWを境に急遽「当面採用ゼロ」に変更したほどだ。

先の決算発表で大幅な減収減益となった会社がある一方、ガンホーが時価総額で任天堂を越えるほどの活況を見せたように、ゲームのようなエンタメ分野はリリースした作品がヒットするかどうかで経営状態が一変する。ただ、それ以上に本質的な要因があると後藤氏は指摘する。

「業界全体がガラケー向けからスマホシフトをしたまでは、『デバイスの進化』という外部要因による既定路線の成長でした。ここまでは各社、新しい開発にトライするベースがあったわけです。でも、“坂”を上り切った今、成長の外部要因となるネタは差しあたってはありません。そうなることは各社分かっていたのに、これといって新しい事業ネタを見つけ、生み出せていないことが、採用減の背景にあるのです」(後藤氏)

個別に見ていくと、今も開発者を積極採用しているゲーム会社/SAPはある。それらの企業の特徴は「ゲームを入り口としたインタレストグラフの構築など、ソーシャルゲーム以外のところで次の一手を意識したアプリ開発に注力してきた企業が多い」(山浦氏)とのこと。

ソーシャルゲーム各社の海外進出が軒並み不調という現状と合わせて考えると、業界全体が盛り上がっていたフェーズはいよいよ終わりを告げ、勝ち残りのため各社が新たな手を打つ必要に迫られているということだろう。

スマホシフトの踊り場を迎え、今後どう動いていくのか様子を見ていきたいところだ。

大規模データ処理やO2Oビジネスの勃興がSI復活の要因

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From Haydn Curtis
「持ち歩くデバイス」の普及で、リアルな店舗やアプリ以外のビジネスも「どうユーザーとつながるか」を模索し出した

では、もう一方の「SI/コンサル(B2B)求人」のマーケットが盛り上がり始めた理由は何か。

同じく中途採用時の書類通過率を見ると、こちらは今年1~4月の月間平均と比べ、5月は9.12%も高まっている。

採用ニーズが急激に高まった理由の一つに、「5月は新卒社員の受け入れが一段落して次年度の事業計画を本格的にスタートさせる時期だから」(後藤氏)という季節要因はあるものの、約10%もの上昇を見せたのは冒頭で説明したリーマン・ショック以降ほとんどなかったという。

「SI/コンサル分野の採用意欲は今後もっと高まるはず」(山浦氏)と予想する背景には、非IT産業の活況がある。

金融・証券や不動産などの業界では、今年に入って営業職の採用数が増えている。「過去の傾向を考えても、これらの業種が好況に転じていく時、次に行うのはシステム投資。特に売り上げに直結するシステムの構築が不可欠という判断が広まっている」(後藤氏)のだ。

中でもインフラエンジニアの採用ニーズが高まっているというが、これはスマホの普及で増えたサイトへのトラフィックをどうさばくか? に始まり、ネットでの購買促進、大規模データ処理をどうするかが課題となっている企業が多いから。

「証券分野だけを見ても、直近でネットでの取扱量が非常識なくらい増えています。これまでシステム投資に資本を割けなかったような企業にもベンダーがどんどん営業をかけているので、必ず『使いやすく量に対応できるインフラサービス』への切り替えが進むはずです」(後藤氏)

さらに、SNS系ではない企業の、O2Oビジネスへの進出も見逃せない。いずれもリアルとバーチャルをつないで利用価値を生み出そうと模索しており、比較的実業のシステムと同じシステムを構築している。

「最近は、SI案件といってもほぼWeb開発と同じように進むケースが増えています。システムを高品質・ハイスピードで作り、データセンター利用を含めたトータルパッケージとして提供する。課金システムなどのラインナップもそろえ、正直かなりの戦闘力になっています。技術者個人として、総合的に市場価値が高められるような場になってきたと感じています」(後藤氏)

余談になるが、採用意欲が減っている「Web(B2C)分野」でも、その内訳を見るとアプリ開発関連の募集数が減る一方、デザイン関連の募集数はいまだに増え続けている。

これらの状況を鑑みると、スマホやタブレットのような「持ち歩くデバイス」が本格普及したことで、ユーザーの接点となるUIと、増え続けるトラフィック&データ量に対応するためのインフラ分野に、開発の主軸が移ってきたといえるだろう。

取材・文/伊藤健吾(編集部)




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