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旅人→梨農家→エンジニア。ユーザベース中島泰氏が開発未経験からリーダーに就けたのは「多様な価値観を学んだから」

タグ : SPEEDA, キャリア, スタートアップ, ユーザベース, 中島泰 公開

 

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グーグルの創業者ラリー・ペイジ氏、オックスフォード大学の人工知能研究者マイケル・A・オズボーン准教授、その他多くの識者が指摘するように、テクノロジーの進化で、10年~20年後には現在ある職業の多くが失われると予測されている。

そのような状況下で、私たちは人生で何度か職業を変える必要も出てくるかもしれない。実際、2015年時点でも、グローバル化の進展や新興国の台頭で、仕事を取り巻く状況は大きく変わっており、場所や専門性を変えるケースは増えているという声もある。

このことを考慮すると、異なる専門性を身に付けることがこの先「普通のこと」になるとも予想される。

しかし、まったく新しい領域に飛び込み結果を出すことは、誰にでもできることではないだろう。なぜなら、新しい領域で自分の能力を発揮し結果を出すためには、もちろん自身のやる気が必要だが、周囲の人間に恵まれるということも同等以上に重要なファクターかもしれないからだ。

急成長中のあるベンチャー企業の開発部門ナンバー2のストーリーが、このことを示してくれている。そのベンチャー企業とは革新的なビジネス情報プラットフォームを提供する「ユーザベース」。同社の創業期に梨農家から転身し、エンジニアとして入社した人物が、中島泰氏だ。

プロフィール

ユーザベース テクノロジーチーム・ディレクター
中島泰氏

鹿児島県出身。埼玉大学大学院にて電気電子工学を専攻。卒業後、一度梨農園で働くが、ユーザベース現COOの稲垣裕介氏に誘われ創業直後に入社。現在はプレイングマネジャーとしてグローバルチームをまとめながら『SPEEDA』の開発に従事している

梨農家からエンジニアに

中島氏は学生時代、埼玉大学大学院で電気電子工学を専攻していたが、将来何をやりたいのか分からなかったという。

小中高は地元鹿児島県の学校に通い、野球漬けの日々を送っていた。高校時代には、甲子園を目指し、卒業後はプロ野球に入ることを考えるほど野球好きだった。しかし、甲子園への夢は破れ、大学に進学することになるが、野球以外でやりたいことがなかった。

そんなモヤモヤ感を抱えながら、大学生活を送ることになる。

大学院に進学したが、まだやりたいことが見つからず、大学院卒業後も中国1周旅行をしたりするなどした。それでも、自分がやりたいことはぼんやりしたままで、いったん地元鹿児島に帰ることにした。そんな中、鹿児島に住む旧友から「梨農園で働いてみないか」という声が掛かった。

昔から農業に興味があったため、そのまま梨農園で働くことになった。

一方、同時期に東京では新野良介氏、梅田優裕氏、稲垣祐介氏が中心となりユーザベースの立ち上げを行っていた。同社の主力プロダクトは、ビジネス情報プラットフォーム『SPEEDA』。プロダクト開発にはエンジニアが欠かせないが、立ち上げ当初、同社にはエンジニアを雇うだけの十分な資金がなく、現在COOを務める稲垣氏が開発のほとんどを担当していた。

プロダクト・ローンチまで差し迫ったスケジュールを考えると、どうしてもエンジニアを雇う必要があった。が、エンジニアを雇うだけの十分な資金がない。困った稲垣氏は、大学の同級生だった中島氏に声を掛けることにした。

当時の様子を語る稲垣氏(写真左)と中島氏(写真右)

当時の様子を語る稲垣氏(写真左)と中島氏(写真右)

稲垣氏が声を掛けた時、中島氏はすでに梨農園で1カ月目を終えようとしていた。梨農園で働きながらも「今しかできないことをやりたい。自分の可能性を高めることがしたい」と思うようになっていたという。

そこに、稲垣氏から「世界一の経済メディアを作りたい。そのためのエンジニアとして参加してほしい」と声が掛かったのだ。

中島氏は「ゼロからかかわれることにワクワクする」と迷いなく参加を決めた。

プログラミング経験ゼロから開発部門のチームリーダーへ

とはいえ、当時の中島氏はWebプログラミングをまったくやったことのない素人。中島氏と稲垣氏は、お互いが今後も一緒にやっていけるのかどうか、本気でやる覚悟があるのかどうか、3カ月ほど鹿児島と東京でのリモートワークを通じてお互いを見極めることにした。

この間の給与はゼロ。中島氏が一番最初に携わったのはHTML、CSSなど。東京からタスクをもらい、それを自分で調べながらプログラミングしていく作業を続けた。

この3カ月の“試用期間”の後、中島氏は覚悟を決め、東京に行くことになる。

創業当時(2008年)、品川のマンションの1室がオフィスだったユーザベース。中島氏がジョインした際は、創業者の3人に加え、エンジニア数名、インターン数名の計6人が働いていた。このオフィスに来て感じたことは、チームのみんながやさしく、人間的な魅力であふれているということだった。「世界一の経済メディアを作る」ことを目指しチーム一丸となりがんばっている光景は、甲子園を目指していたころを思い出させてくれたという。

また、創業陣が毎日ビジョンを語る姿は、中島氏にとっての光明となった。

「ITに携われることよりも、この人たちと一緒に仕事ができることに魅力を感じた。こんなチャンスはもうないだろうと思った」

当時はリーマン・ショックの影響で、日本国内では経済の先行きが不透明な状態が続き、多くの人たちが不安を抱えていた時期だ。だが、「不況の時でも売れるプロダクトを作ることができれば、この先何があっても大丈夫」という梅田氏の言葉に、勇気付けられたという。

東京に移った後、自分のできることはまだ少ないと考え、営業時間内は電話番など雑務をこなしながら、できる範囲で『SPEEDA』の開発に携わった。実践で直面する課題に対応する形でプログラミングを習得しつつ、寝る前に2時間ほど書籍で体系的に勉強を続けたという。

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企業・業界のファンダメンタル分析に必要となる情報が網羅的・体系的に整理されたオンライン情報サービス『SPEEDA

毎日の睡眠時間は3~4時間ほど。体力的にキツかったが、「少しでもみんなの役に立ちたい」と毎日がむしゃらにインプットとアウトプットを続けた。

そして中島氏がユーザベースに入社して約1年半後、『SPEEDA』がローンチされた。ローンチ後も出てくる課題への対応や追加する機能などの開発に取り組んだ。この時点までにプログラミング関連の書籍を約50冊読んでいたという。

インプットする際に気を付けていたことは、分からないIT用語が出てきたら必ずメモをして、暗記するようにすること。メモはExcelのシートに分野ごとにまとめ、ひたすら覚える作業を続けた。

この地道な努力を続けた結果、入社2年後には『SPEEDA』開発の全体が理解できるまでになっていたという。

『SPEEDA』開発で、中島氏はHTML、CSS、デザイン、登録画面、検索部分、レポート登録画面などを担当。一方、開発の総責任者だった稲垣氏は、DB開発、バックエンド開発を担当していた。

マンションの1室、数名から始まった同社だが、今では社員数200人に迫る、注目のベンチャー企業となった。エンジニアも今では外部を含めると30人ほどに増えた。

中島氏は今、開発部門のリーダーとして、エンジニアを束ねる重要なポジションにいる。これまではプログラミングが主なタスクだったが、今は社内を俯瞰しながら、チームの一体感を醸成する役目を担っている。

入社当時、中島氏にビジョンを語り、光を示してくれた創業陣のような役割を担っているといえる。

グローバル時代のエンジニアに必要な3つのこと

ユーザベースはこの1~2年で海外人材の採用も増やしており、社内にはさまざまな国籍のメンバーがいる。こうした、価値観・文化の異なるグローバルチームをまとめるのも中島氏の役目だ。

現在、中島氏が率いる開発チームには、日本人だけでなく、フィリピン人、スペイン人がいる。このグローバルエンジニアチームの一体感を醸成するには、ビジョンを示すこと、どんなプロダクトにしたいかを示すこと、そして密なコミュニケーションを取ること、が重要という。

各メンバーのバックグランドが異なるので、得意分野も異なる。そして、それがチームとして大きな強みになっている。

同社では7つのルールを掲げ、これら以外にルールを作らず、自由にやっていこうという文化がある。この7つのルールの中に、個性を尊重する「異能は才能」という項目がある。

この考えがあるから、個性を尊重することを常に意識できるという。

中島氏は、毎日の朝会でメンバーの困っていることを必ず確認し、課題がある場合はチーム全員で解決策を考えることを実践している。また、メンバーとタスクのやりとりをする場合は、要点をリスト化して送ることやメンバーが仕事・プライベートを通じて人生で何を成し遂げたいかを一緒に考えるなどしている。

人と人の絆を強めるには「愛」を持って接することが必要ということを、新野氏から学んだからだ。

中島氏は自らの体験を踏まえ、

【1】異能を尊重できること
【2】共感できる力
【3】問題解決能力

これら3つがグローバル時代に必要なことだと語った。

確かに、個性を尊重するという規範は、グローバル時代の生き残りには必要不可欠なものかもしれない。グローバル化が加速する中で、同社のように個性を尊重するという考えを全面に押し出し、しっかりと実践できる企業が、多様な強みを持ち、生き残っていくことができるのだろう。

最後に今後やりたいこと・挑戦したいことを語ってもらった。ユーザベースは現在、上海、香港、シンガポールに拠点を構えており、今後も海外拠点を増やす方針だ。

中島氏は、海外拠点の立ち上げをやってみたいと意気込みを語ってくれた。現地人材の採用など、これまでやったことのないことに挑戦したいという。

プライベートでは、世界中を旅行したいという。大学時代に1年間オーストラリアに留学したことがあり、その時体験した自然の雄大さ、さまざまな人に会う楽しみが忘れられないとのことだ。

中島氏の夢の一つが「旅人になること」。ユーザベースでの“旅路”を楽しみ尽くした後に、ぜひこの夢をぜひ実現させてほしい。

取材・文/細谷 元(Noriyuki Oka Singapore) 写真/ユーザベース提供




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