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この5年で女性のキャリア支援はどう変わったか~育児サポートや女子会普及の一方で課題も【連載:五十嵐悠紀】

タグ : キャリア, 女子会, 女性コミュニティ, 女性研究者, 育児 公開

 
天才プログラマー・五十嵐 悠紀のほのぼの研究生活

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 講師
五十嵐 悠紀

2004年度下期、2005年度下期とIPA未踏ソフトに採択された、『天才プログラマー/スーパークリエータ』。日本学術振興会特別研究員(筑波大学)を経て、明治大学総合数理学部の講師として、CG/UIの研究・開発に従事する。プライベートでは三児の母でもある

エンジニアtypeのリニューアルをもって、私の連載も今回で最終回となりました。

エンジニアtypeの創刊時から、連載記事を書かせていただき早5年。これまでご愛読いただいた読者の皆さまには、心より感謝しています。

過去記事を振り返ってみると、コンピュータグラフィックスやユーザインタフェースの研究者としての視点から書かせていただいた記事もあった一方で、女性研究者・育児中のママとしてワークライフバランス的な側面から書かせていただいた記事もありました。

今回は、この5年間で女性のキャリア支援がどのように変わってきたのか、連載を振り返りながら、考えてみたいと思います。

仕事場での託児所併設が増加

エンジニアtype創刊の2011年4月。日本は東日本大震災の直後で情報が飛び交う中、Twitterでの情報通信の利便性と、信頼性の欠如した情報が飛び交うという負の側面の両面から、情報管理の必要性がさまざまな場所で議論させるようになりました。そして、家族という絆を改めて感じる時期でもありました。

私は東日本大震災が発生したあの瞬間、『インタラクション』という学会に参加するためにお台場・日本科学未来館の7階にいました。

震災が起きてすぐに、当時2歳だった息子と合流。というのも、学会併設の託児所が用意されていたため、地元の保育園ではなく、会場まで連れてきて預けていたのです。

From Kids Work Chicago Daycare 最近は企業内・施設内の託児所も増加傾向に

From Kids Work Chicago Daycare
最近は企業内・施設内の託児所も増加傾向に

震災直後の混乱する交通状況の中、地元に戻れたのは21時半を回っていました。地元の保育園に預けていたらこの間どんなに不安だったか。この時ほど、学会併設の託児所がありがたいと思ったことはありません。

その後、学会併設の託児所はとても増えてきました。情報処理学会の全国大会でも託児所併設になりましたし、独立行政法人日本学術振興会の講演会・懇親会でも託児所併設でした。

職場保育園も普及してきましたし、大学では祝日授業の日や入試業務の日には託児所が開設されるようになっています。

預け先の種類の増加

連載スタート時は2歳だった息子も早7歳。下に2人の弟妹が生まれ、私は3人の母となりました。

この間、大学敷地内保育園、一時保育専用保育園、地域のファミリーサポートサービス、公立保育園、私立幼稚園、公立幼稚園、小学校に学童保育と、たくさんの種類の場所と人に支えられて、育児と仕事の両立を行ってきました。

私立と公立の違い、認可と無認可の違い、幼稚園と保育園の違い……。多くの選択肢の中で、揺れ動く親御さんが多いのが現状です。最近では待機児童緩和のために幼稚園でも預かり保育を導入する地域が増えてきました。

我が子の通う幼稚園でも18時までの預かり保育があり、年末年始休暇以外はお盆時期も含めて預かっていただけるため、保育園以外の選択肢も選べました。来年からは8時からの早朝預かりも始まるということで、さらに利便性が高まりそうです。

3歳児神話(3歳までは手元で育てた方が良いという意見)や、幼稚園教育の重要性を説く祖父母世代からの圧力などもよく耳にしました。そして、幼稚園と保育園の教育方針、預かり方針の違いから、保育園から幼稚園に移られたり、幼稚園から保育園に移られたりというご家庭にも何度も遭遇しました。

我が家では今は3人別々の施設に預けていますが、「自分の人生一度きり。何事も前向きにたくさんの経験をさせてもらいたい」と思い、毎日を過ごしています。

別々の施設に預けるメリットはなんといっても地域での顔の広さ。あっちのご両親もこっちで会うご両親も知り合いばかりです。「子育ては親育て」とも言われますが、子育てをしている期間はさまざまな人との出会いがあり、本当に助けられてきました。

イクメンの増加

連載で取材をさせていただいた、「イクメン研究者」の平井重行准教授(写真右)

連載で取材をさせていただいた、「イクメン研究者」の平井重行准教授(写真右)

中でも明らかにこの5年間で変化があったのは、イクメンの増加だと私は思います。

保育園の送り迎えがお父さんとお母さん半々なのはもちろん、幼稚園では年々送り迎えにお父さんがいらっしゃるご家庭が増えてきて、今年度はついに専業主夫の方も登場。幼稚園の役員もこなすお父さんも現れました。もちろん女性の活躍も増えており、PTA会長が女性という小学校も増加しました。

特に平日イベントの行事では、どうしても休むのは「お母さん」となりがちだった数年前に比べて、お父さんの参加率が上がってきました。

エンジニアtypeで対談させていただいた、平井重行准教授のイクメントークも記憶に残っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。

>> ベビーカーを押して出勤するイクメン研究者が目指す「育休の一般化」

国会議員が育児休暇を取ると宣言したことで起きた騒動。これも、社会に議論を呼び起こす一端となったと思います。

育児だけでなく、介護にも使える支援を

そして、私自身は母が祖父母を介護する姿などを通して、育児だけでなく介護も避けては通れないと気付かされた5年でもありました。

最近では、育児中の女性研究者支援だけではなく、介護中の人でも使えるような支援が必要とされています。育児はある程度育てば手から離れていくので少しずつ楽になっていくようにも思いますが、介護は何年続くか分からない大変さの中、そしてなかなか周りに説明をできない・したくないという方々も多く、どんな支援が求められているかを洗い出しづらいというのが現状のようです。

働く男女にとって、育児や介護がしやすいような働き方、職場にするためには具体的にどんな施策が必要なのでしょうか。数十年後には大介護時代が来るとも言われる日本。具体的にどんな施策が必要なのか、意見を出していく必要があります。

制度としてだけでなく、実際に使える支援として整えていくために、動き出している職場もとても増えてきました。

キャリアの悩みをシェアできる「女子会」の普及

2014年にお話を伺った土井美和子さんの「キャリアトーク」は今も参考にしています

2014年にお話を伺った土井美和子さんの「キャリアトーク」は今も参考にしています

こういった状況を踏まえつつも、働く女性がどのようにキャリア形成をしていけばいいのかを考える「女子会」も、増えたように思います。

私が女性研究者の集まる学会のランチタイムを利用して『Women’s Luncheon』という女子ランチ会を開くようになったのも、2013年から。この様子もこれまで、記事として掲載させていただきました。

例えば以下のような内容です。

>> 紀元前3000年前からの課題を解決!?ピアス革命を起こした女性起業家から学ぶ発想術

>> サービスの転換期が分かる「Webサイエンス」が盛り上がる理由

>> Microsoftの研究者として北京で就職した日本人女性に学ぶ、目標達成のための図太い生き方

>> キャリア35年、東芝で「女性初」を作り続けてきた研究者が若手に伝えたい、3つの壁の破り方

>> ワーキングママから学ぶ、仕事と育児でストレスを溜めない3つの意識+α

これらの中でも、キャリア35年の東芝・土井美和子さんに語っていただいた

・常に「前例を作る」という姿勢で仕事に臨む
・リスクを見込んで仕事を組み立てる
・仕事と家庭以外の「第3の場」を作る

の3つの柱は、私自身いつも頭の片隅に置いています。

今年2016年も開催が決まっており、5人のお子さんを持ちながらも医師としてご活躍する吉田穂波先生にゲストトークをしていただく予定です。

>> 開催概要はこちら

実はこの女子ランチ会は、アメリカACM学会主催のUIST (User Interface Software and Technology)などをはじめとする国際会議で行われていたWomen’s Luncheonを意識して、「日本にもこういう場があったらいいな」と思い、始めたという経緯がありました。

今年のUIST2016(http://uist.acm.org/uist2016/)は、東京で開催されます。UISTのWomen’s Luncheonのローカル担当にもなりました。

こういったつながりをうれしく思う一方で、国際的な取り組みをどんどん日本にも取り入れていきたいとも感じています。

女性エンジニアの増加と、これからの5年

最後に。少なくとも私の身の回りでは、女性エンジニアが急速に増えているように思います。また、IPAの未踏事業でも女性視点に立った提案が増えています。

IT業界では長らく「業界の女性比率は2割程度」と言われてきましたが、この定説も徐々に様変わりしているように感じています。

一方で、工学分野の女性研究者・大学教員は日本ではいまだ1割に満たず(参考記事)、そういった観点からのキャリア支援施策も求められていたりします。

内閣府男女共同参画局では、働く女性のための政策や支援、企業の支援、女子学生のためのイベントなど多岐にわたって「男女共同参画」といった視点で情報がまとめられています。

これからの5年はどうなるでしょうか。東京オリンピックが2020年に開催されます。日本がますます男性も女性も活躍しやすい世の中になりますように。

>> 五十嵐悠紀さんの連載一覧




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