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2014年はゼロ→2015年はCTO・CEO経験者が3名入社。ZUUが「エンジニア採用力」を劇的に高めた3つのポイント

タグ : FinTech, ZUU, 原田佑介 公開

 
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(写真左から)執行役員COOの原田佑介氏、谷本洋平氏、浅野隆文氏、飯野正之氏

AppleやGoogleなど一部のメガカンパニーを除けば、多くのテクノロジー企業は共通の悩みを抱えている。それは、サービスづくりの核となる「エンジニアの採用難」という課題だ。

事実、2015年3月に発表された転職求人倍率レポートを見ると、IT/通信は2.66%の求人倍率を記録している。これは、特に世の中に新しい価値を生み出し続けるスタートアップにとって死活問題と言えるだろう。

サービスの新機能追加や改善、改修……。組織として、作り手不足を抜け出せないことは、事業スケジュールの後ろ倒しにつながるだけでなく、競合や後発に出し抜かれてしまう可能性もある。

そんなエンジニア採用難がまん延する時代に、エンジニアのキャリアの頂点とも言ってもいいCTOと、自身で事業を起こした経験を持つ技術者出身のCEOを2カ月間で3名採用した企業がある。

「Fintech(金融×IT)」の領域で事業を展開するZUUだ。2013年4月に設立した同社は、2015年2月に世界一シンプルな投資判断用サービス『ZUU Signals』のβ版をリリースし、日本最大のFintechのイベントであるFIBC2015にて副賞に当たるソニー銀行イノベーション賞を受賞した。

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2015年2月に『ZUU Signals』のβ版がリリースされた

同社の執行役員COO原田佑介氏が「日本におけるFintechの盛り上がりもあり、今では多くの志望者からご応募をいただくようになりました」と語るように、事業への注目も相まって、エンジニアが集まる組織へと着実に進化し始めたと言ってもいいだろう。

だが、そのZUUも、昨年までは現場エンジニアが1名も採用できず、苦汁を飲む日々が続いていたという。

なぜ、ZUUは突然エンジニア採用力を身に付けることができたのか。その裏側には、エンジニア採用を実現するために取り組んだ3つのポイントがあることが分かった。

【1】エンジニアが認めるCTOを採用した
【2】CTOが全てのエンジニア採用面談に同席した
【3】開発サイドの悲鳴を聞いても納得できない人材は採用しない

エンジニア採用力強化に必要な考え方と、行動とは何か。ZUUが1年間で歩んだ軌跡を紐解く。

創業メンバーにエンジニアがいない場合の戦い方

弊誌でも以前記事にした通り、ZUUにはオンライン英語学習の『ベストティーチャー』で取締役CTOを務めていた後藤正樹氏が、2014年10月にCTOとして加入している。

>>新サービスをリリースしたFinTechベンチャーZUUが、教育業界出身のCTOと進めてきたゼロイチを生むチームづくり

後藤氏の加入以前は1名しかエンジニアが在籍していなかったZUU。WordPressで作ったサービスだけでは、多くのエンジニアは興味を抱かなかったそうだ。

ただ、前職のエンジニアや知人の人事担当にエンジニア採用の話を聞くうちに、光明が差したと原田氏は振り返る。

「優秀なエンジニアを採用するためには、まず、優秀なCTOが必要だ」

言葉にすると“鶏と卵”のような話になる。優秀な1人目の技術者が創業メンバーにいない場合、最初の採用が大きな壁となる。

では、ZUUはどのようにその壁を突破したのか。その裏側には2つの答えがあった。1つは泥臭く情熱を伝えること、次にエンジニアとしての課題解決欲求を満たすミッションを提示することだ。

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経営層にエンジニアが居ない状況でのCTO採用。その裏側で行ったこととは

「当時、事業を拡大するためにCTOを採用することが冨田(CEO・冨田和成氏)と私の最重要ミッションになっていました。そして、冨田が『未踏IT人材発掘・育成事業』の発表会に足を運び、後藤と出会いました。

そこから冨田は、なぜあなたが会社に必要なのか? を後藤に対してとにかく訴え続けていました。正直、特別なことを言っていたわけではありません(笑)。ただ、目の前にいる人に対しての“前のめり感”というか、本気さがやっぱり大切だとその時に感じました」(原田氏)

だが、熱意だけではエンジニアが新天地を選択するキッカケにはなり得ない。そこで伝えたのが、金融領域というIT化が遅れている業界を、共に変革してほしいという大きなミッションだった。

「自分たちが手がけるサービスやビジョンが世の中に対して、どんな価値を生み出すことができるのか。この点について、じっくりと伝えることも不可欠でした。そしてそこに共感してもらえるか。

金融はインターネット化が遅れ、根深い問題を抱えている領域です。そうした課題を共に解決したいと、何度も伝えた上で、それが後藤がエンジニアとして解決したい課題や目指す思いと擦り合った結果、加入してくれたんだと思います。それが、第一歩でしたね」(原田氏)

サービスを作る力を持っているから採用を打診する。スタートアップにおいては、この考え方ではダメだと原田氏は考えている。

ビジネスにおける課題解決の志向性が心底擦り合った上で、「あなたと事業を成し遂げたい」と、ストレートに伝えることが重要だという。シンプルな話だが、CTOを経験した後藤氏の胸に刺さったのは事実。CTOの加入という結果につながっている。

こうして、【1】エンジニアが認めるCTOを採用しことに成功したZUUは、エンジニアの面談から環境づくりにまで、後藤氏の声を反映させながら、企業文化を変化させていく。

技術と人物を切り分けて面談する重要さ

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元CTO、CEOという背景を持つ3名のエンジニアが加入した

ZUUは後藤氏の加入後、エンジニア選考フローを一新した。【2】CTOが全てのエンジニア採用面談に同席したのだ。

「エンジニアのことはエンジニアにしか理解できない。エンジニア採用に優秀なCTOが不可欠であるポイントはこの点にありました。また、『彼がジョインしたから興味を持った』という方もいます。ZUUの魅力をエンジニアに伝えられなかった状況から一変したのは、後藤の力が大きかったと思います」(原田氏)

エンジニアの目から見た技術力の判断軸を採用活動に盛り込むだけでなく、優秀なエンジニアからZUUの魅力を十分に伝えられるようになった。

こうして、後藤氏の加入から半年後の2015年2月にインフラ系ベンチャー企業でCTOを務めた浅野隆文氏、4月にはグリーの経営企画を経て、ロノトのCEOを務めた谷本洋平氏。そして、ブイキューブ、サイバーエジェントを経て、過去はにスタートアップでCTOを務めた飯野正之氏がZUUの開発チームに名を連ねた。

3名ともに金融×テクノロジーの経験はなかったが、谷本氏は多かれ少なかれ、金融に興味はあったと振り返る。

「私は業務における必要性から金融の勉強をしていたり、業界にたくさん友人がいただけに、正直金融業界に対してあまり良いイメージを持っていませんでした。ですが、ZUUのように外から業界を変えるということには、とても面白さを感じましたね。

また、ZUUへの転職を念頭に置いていないタイミングで原田と食事をすることになったのですが、ZUUという会社についての課題や提案をお話させていただいた際に、そのディスカッションがとても楽しかったんですね。議論を深めることができる会社は、とてもいいなと感じたのがキッカケです。

その後、後藤と話したときもそう。今度は技術的な視点を含めた議論ができました。自分の会社で作りたかった環境はこういった環境だったなと思いましたね」(谷本氏)

未知の領域を自分たちの技術力で変革していくことは、エンジニアにとって魅力の一つだ。そのミッションを体現しているCTOの存在は、志望者にとって興味を惹くことにつながるのだろう。

自分より優秀なエンジニアと働きたい気持ちを汲み取る

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ZUUがエンジニアの人数を一気に拡大させない理由とは

CTO後藤氏の加入から面談同席を経て、エンジニアから興味を抱かれることが多くなったZUU。一般的には、急速な組織拡大を図りたいと考えるのが定石だろう。だが、ZUUとしては、採用に1つのこだわりを持つようになったという。

それは、【3】開発サイドの悲鳴を聞いても納得できない人材は採用しないということだ。

「面談時に人物の志向として重要視しているのが、プロダクト志向であるか否か? ということです。事業を創ることを第一に志望される方でなければ弊社メンバーと目線が合いません、入社時の立場や報酬を第一に考える方は、技術力が高いことが分かっていてもお断りしてきました」(原田氏)

急成長するスタートアップにおいて、チームの考え方を1つにできる状態を保ちたいという考えだ。また、ベンチャー各社で経験を積んだ飯野氏はこう考えている。

「自分よりできるエンジニアと働くことに魅力を感じます。またエンジニアはノイズというか、同じ思想じゃない人間と働くことを好まない傾向もある気がしています。正直、猫の手も借りたい状況ではありますけどね(笑)」(飯野氏)

こうした考え方があってか、前職では参画2年目からCTOを務めていた浅野氏は「現時点では、過去最高に働きやすい」と感じているという。

「ZUUにジョインしているエンジニアは、専門性を持っていながらも、得意分野が少しずつズレている。トータルでバランスが良いチームだと感じています。また、そもそもの技術力が高いメンバーが集まっているだけに、新しい技術を早いタイミングで取り入れることもできています。

基盤の技術や開発のツールに関してもモダンなモノを使っています。例えば、まだまだ課題はあるものの、コンテナ型仮想化の技術を使って開発環境からCI環境、ステージング環境、本番環境を同一構成のコンテナで実現するなどの取り組みを行っています。インフラも全てコードになっているため、ソフトウエア開発の文脈で差分追跡と検証が可能です。

Tech系のサイトで今、踊っているような技術や、これから注目を集めそうな技術を他社が検討している間に、ZUUでは実装していると感じています」(浅野氏)

「得意分野がズレているのは結果論の側面が大きいのですが、ただ、後藤が候補者の方たちと面談をしながら、現状のチームにはいないZUUのプロダクトをグロースするできる存在、サービスを前に進めることができる人材という点を見極めているのだと思います」(原田氏)

現在、開発チームは『ZUU Signals』のβ版から正式版をリリースするために、開発チームは多忙を極める状況にある。だが、ZUUのエンジニア文化を保つためには、いっさいの妥協を許さない方針だ。

「後藤の加入により、エンジニア採用の好循環が生まれました。今ではCTOやCEOを経験した仲間たちに候補者との面談に立ち会ってもらうだけで、とても興味をお持ちいただける状況になっています。また、今のメンバーたちも優秀な仲間たちとチームを組んでいることが、ZUUで働くプライドにつながり、とても活気があります。今の好循環を維持するためにも採用の軸はブラしません」(原田氏)

2015年5月時点でZUUに集ったエンジニアは6名。今後、エンジニア採用のために重要なステップを踏んだZUUの開発チームは、どのようにスケールしていくのだろうか。

冒頭でも語ったように、今やエンジニア採用は企業や人材サービス会社によって熾烈な争いが巻き起こっている。そこで、“急がば回れ”ではないが、自社の課題を人員不足に向けるのではなく、組織の見直しから逆算してみるのはどうだろう。

取材・文/川野優希(編集部)   撮影/竹井俊晴




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