失業したらすぐ転職、とはいかない日本。『解雇規制の緩和』と共に議論されなくてはいけないこととは?

今政府で議論が続いている『解雇規制の緩和』。社員を解雇しやすくすることで、雇用の流動性を高めようという目的があります。解雇規制は主にアメリカのやり方を踏襲しようとしていますが、雇用契約はどのように結ばれているのでしょうか?

失業しやすい環境が生まれる?

失業しやすい環境が生まれる?

今政府で議論が続いている『解雇規制の緩和』。社員を解雇しやすくすることで、雇用の流動性を高めようという目的があります。解雇規制は主にアメリカのやり方を踏襲しようとしていますが、雇用契約はどのように結ばれているのでしょうか?

アメリカでは、まず入社時に雇用契約を締結します。そこには『At Will』という言葉が記載されています。直訳すると『自由に』という意味。雇用契約を結ぶ際には『双方合意のもと、理由に関わらず退職/解雇ができる』という契約を結ぶことにもなるのです。日経アカデミーに掲載されている柴田尚樹氏の『シリコンバレー企業日記』によればこの契約があるために、あっという間にクビになるといいます。そして先輩からは「リストラされても自分ではなく経営者が悪い。リストラされても気楽に」というアドバイスがあったそうです。

解雇される場合は一定の金額が支払われ、解雇された人には当分生活できるだけのお金が手に入ります。日本でも『解雇時の金銭手当』の導入が検討されていますが、この部分だけを取り入れても、定着はしないかもしれません。

転職マーケットが全く違うアメリカと日本

先の参議院選挙では、この雇用の問題がクローズアップされていました(朝日新聞デジタル 7月18日付)。記事によると安倍晋三首相は秋に、政府、労働側、経済界が話し合う場を設ける予定だといいます。労働側には解雇しやすくして転職を促し、経済界には賃上げを要求し、政府は転職支援に力を入れるということが話し合われる予定になっています。

アメリカと日本の大きな違いは転職マーケットです。解雇されるなどの非自発的失業者の離職期間は、アメリカでは25~34歳で4.0週、35~44歳で8.2週でした。しかし日本では25~34歳で9.4週、35~44歳で11.1週と、失業してしまうと転職しにくいという事実が浮き彫りになっています(平成18年版 国民生活白書 3厚生労働省「賃金構造基本統計調査」における一般労働者より)。また賃金もアメリカでは25~34歳は+5.5%、35~44歳は+0.5%だが、日本では25~34歳は+0.52%、35~44歳では-0.73%。賃金の面においても、日本では転職が不利になっています。

この秋に始まる議論は、すべてのビジネスパーソンが注視すべき!

この秋は政府の話し合いが始まります。今のところ解雇規制の緩和だけが先走っている感がありますが、この解雇規制には賃上げと転職環境の整備が不可欠です。このままでは本当に解雇だけがしやすくなり、転職するのが難しい国になってしまいます。

これから始まる議論を注視し、必要であれば声を上げる。働きやすい環境を整えるためにも、すべてのビジネスパーソンが真剣に考える必要があります。


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