パワハラと指導・教育の線引きは? 裁判事例から見る、上司の指導とパワハラの違いとは?

上司からパワハラを受けたら……。部下の立場なら、考えただけでも胃が痛くなりそうです。しかしその気持ちは上司も一緒。業務上の指導がパワハラと受け取られたら、仕事に支障が出てしまいます。

パワハラと指導の線引き

上司からパワハラを受けたら……。部下の立場なら、考えただけでも胃が痛くなりそうです。しかしその気持ちは上司も一緒。業務上の指導がパワハラと受け取られたら、仕事に支障が出てしまいます。
では上司の指導とパワハラの『線引き』はどこにあるのでしょうか? ある判例から、指導とパワハラの線引きを紐解いてみましょう。

厚生労働省が運営するHP『あかるい職場応援団』では、職場のパワーハラスメントに関して行われた『裁判事例』を公開しています。実際に裁判にまで発展してしまったものの、中にはパワハラとは認められないような事例も存在しています。
公開されている裁判事例『上司の注意指導等とパワーハラスメント』の中で、指導とパワハラの線引きがしっかりとされていました。
いったいどんな裁判だったのでしょうか?

争われたふたつの争点

従業員Xが会社と上司に対して起こした裁判の、争点となったのは次の2点です。
1. Xが業務上使用している機械の電源を切らずに退社したため、上司は安全衛生上の問題から注意、反省書の提出を求めた。また業務上危険な行為を行っていたため再三に渡る注意を行ったものの、改善が見られなかったため、反省書の提出を求めた。
2. Xが事務員を通して年休の申請を行おうとしたが、上司は年休の申請は上司に直接行うと考えており、従業員Xに反省書の提出を求めた。なお他の社員は、年休申請は事務員を通して行うこともあった。
またXは就業時間前に作業を切り上げることがあったため、上司はXに片付けを再現させた。
この2点がパワハラにあたるとして争われました。さて、結果はどうなったでしょうか?

1と2で判決に違いが! その理由とは?

この裁判では1.は棄却、2.は会社と上司の違法性が認められました。
1.について、上司は指導の目的について、違法性は認められないという判決です。再三の反省書の提出命令がXにはパワハラだと感じたようですが、業務上必要な指導でしたので、違法性はないということです。
そして2.については「年休の申請という軽微な過誤」に対して反省書の提出を求めたことと、片付けを再現させたことは「行き過ぎ」という判決となりました。
これがパワハラと認められた理由は「感情的に走りすぎたきらいがある」ということ。上司と部下の関係は『人間関係』のひとつ。お互いの感情のもつれが態度に出てしまうと、パワハラと認定されてしまうんですね。

感情のコントロールがパワハラを防ぐ!

上司としては部下を指導・教育していくことは業務上必要なことです。しかし部下が誠実な態度を見せないと、上司としては良い気分ではありません。それでも上司なら、その感情を抑えて、今まで同様の指導・教育をしていくことが必要です。
また部下も仕事に対して真摯な姿勢を見せていくことが大切です。ミスがあってもそのミスを無くそうとする努力をしていけば、上司の感情を悪くすることはありません。
上司も部下も同じ人間同士。感情のもつれが態度に出てしまうことがあるかもしれません。しかしパワハラと認められるのは、感情が指導・教育方法に出てしまう場合です。感情のコントロールをすることが、パワハラを防ぐ一つの予防策になりそうです。


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